贋作は金になるのか?美術品で儲ける人の話

『開運!なんでも鑑定団』は20年!なぜ、人は美術品の値段に関心があるのか

誰もが一度は見たことがある、そういったテレビ番組の一つが、テレビ東京 製作の『開運!なんでも鑑定団』でしょう。

1995年開始、といいますからすでに放送開始以来20年が経つ、長寿番組の一つです。

その多くは、個人が所有していた「壺」や「掛け軸」、「茶道具」から「絵画」や「おもちゃ」にいたるまで非常にバラエティに富んでおり、それぞれの分野に詳しい鑑定人がプライスを付けるのが、もっとも興味惹かれる瞬間ではないでしょうか。

この番組がこれだけ長く続くには、司会のトークもありますが、やはり俳優兼画家として有名な 石坂浩二 氏がメイン出演者として支えていることが大きいでしょう。

俳優やタレントでも、やはり自ら絵を描いたり、茶を嗜む人はそう多くはなく、古美術や絵画に触れる機会のある人は、代々旧家の出であったり、先祖が文化人や武士だった人が殆どです。

つまり、この番組は、こうした歴史遺産を現代によみがえらせて、その流通価値を現代の目で見る、という奥深さがある、ということになるのでしょう。

ただ、この番組にも死角がある、と言います。

実は、2010年6月22日の放送内容について、ある団体から「鑑定ミスではないか」との指摘がなされたのです。

問題の鑑定物は、尾張徳川家ゆかりの「将棋盤」「駒」。

徳川時代中期に作成された将棋盤には「葵の御紋」が描かれており、さらに、水無瀬兼成の直筆の「象牙の駒」が目を引きました。

せっかくですので、水無瀬兼成(みなせかねなり)について、表記しておきます。

水無瀬家は、藤原家の子孫で、書家として名高い貴族。

そして、特に将棋の駒を書かせると日本一、ということで時の天皇や、足利義昭、徳川家康にも納められています。

いわゆる「水無瀬駒」という逸品なのです。

さて、本題は、駒ではなく将棋盤の方ですが、この将棋盤や駒などのセット品は、尾張徳川家にお嫁にきたお姫様の調度品だったのです。

そのため、将棋盤の側面4面のうち、3面が実家の家紋を入れ、残りの1面に「葵の御紋」が入っている、という代物だったのです。

この4つの紋は、お輿入れ、つまりお嫁に来た際には、姫様の実家の御紋だったはず…これを、むりやり徳川家の紋に換えてしまったので、価値がぐっと下がった、という鑑定結果がなされました。

これに「まった」をかけたのが、日本将棋連盟です。

将棋にはめっぽう強いのは当たり前ですが、この将棋盤の御紋が「かえられた」とは、鑑定ミスだ!と苦言を呈しました。

将棋愛好者は数千万人もいるわけで、この番組は彼らにとっては気が気でない展開です。

とはいえ、テレビ東京側は、あくまでもバラエティ番組のひとつとしてのお宝発見、鑑定であり、そこまで厳密なサジェスチョンには当惑してしまったのかもしれません。

ですが、歴史的価値を単純に「5,000円」「70万円」「2,000万円」などと査定するのは、時に難しい問題も引き起こすことになるのです。

ネットオークションで絵画を買う、その不思議

ヤフオク、楽天オークション、CBAオークション…絵画のネットオークションサイトの「たった一部」を見てみると、実に面白いことがわかります。

例えば、ヤフーオークション、通称ヤフオクは、おもちゃから趣味の品、自動車から飲料、不動産までありとあらゆるものが出品されています。

楽天オークションも同じく、その規模は無限と言えるほどです。

ですが、絵画をここで買う、ということはどうでしょうか?

確かに絵画も持ち運びさえできれば、オークションに出品し、落札した人に購入してもらえるのは理解できます。

ただ、問題は、その「価値」が果たしてネット上だけで、わかるのか?という点なのです。

「人気画家」「緻密な描写の油絵」というコピー、そして絵画の写真が数枚添付されているのが、ネット上での情報です。

この中には、額縁あり・額縁なし・拡大図・キャンバス裏・サインなど…が映し出されており、オークション参加者は、自分の持っているPC画面かタブレットか、あるいは5か6インチ程度のスマホ画面で、これに希望価格をつけることになるのです。

もちろん、ぱっと見で「2万円」「5万円」と判断して、それで落札できれば当人はラッキーかもしれません。

こうした人は、市場原理の中で絵画の価格が決まることなど御構い無しに、自分の価値観で購入できるタイプなのですから、それでもよいわけです。

ところが、問題なのは「有名画家」「歴史のある絵画」などをうたい、数百万円のプライスをつけるもの。

それどころか、中には「銀座の画廊では1,000万円クラスの絵画」なのに、「わずか100万円」に値下げしたプライスを出す出品業者がいることです。

ここで問題なのは、絵画を買うということは、どれだけ難しいか、ということに帰結します。

有名画家の売り買いは、画廊や画商と呼ばれる中で行われるのが伝統。

ですから、日本画家の「横山大観」(明治期)から、「平山郁夫」「東山魁夷」(昭和期)、「千住博」(平成期)に至るまで、著名な画家の作品はネット上に出されること自体、本来は少ないはずなのです。

ですが、インターネットの便利さは土地を選びませんから、メリットを考えると多くの人に見てもらい、落札してもらう効率の良さは疑いもないでしょう。

ですが、そこにはやはり「落とし穴」があります。

つまり、贋作の可能性です。

ネットオークションに溢れる「贋作」の数々は、危険だ

ちなみに「贋作」と「ネットオークション」をキーワードに、ネット検索してみましょう。

出るわ出るわのオンパレードとは、まさにこのことをいうのです。

例えば、東京練馬にある「いわさきちひろ美術館」の公式サイトでは、次の文章が掲載されています。

「ちひろのオリジナル作品が、ネット・オークション等に出ることはありません! 

 中略

ちひろの絵が、一般の絵画市場に出ることはありません。

模写や複製印刷物を画家の真作や肉筆として公開・販売することは、違法行為です」

ですが、実際にはネットオークションで出回ることがあります。

ちなみに「いわさきちひろ」は、昭和を代表する女流画家のひとりで、作風は水彩画。

こどもの絵が淡いタッチで描かれており、絵本なども人気の作家です。

このように、ネットで絵画を買うには、実は大きな問題があることが、分かってきました。

そこには「著作権」問題も絡んでくるのです。

美術品を仕入れて、売る仕事はこっそりと行われる

例えば、ネット上で公開している「本物の絵画」は、著作権が失効した作品や、著作権を持っている遺族が許可して、美術館がネット上で見られるようにしているもの。 ところが、そうではなく、実在する画家の作品を本人の許可なしに一般公開することは、本物以外には認められません。 もし、偽物だとしたら、犯罪行為になり、それを販売したら、問題なのです。 贋作を商売にすることは、真作を生むアーティストの生活基盤を破壊することになり、結果として新しい芸術は創造されません。 美術品を仕入れて、売る仕事はこっそりと行われる…それがちょうどいい世間でのポジションと言えるのです。

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