日本で「ファイナンシャルプランナー」が食べていけない理由とは

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ファイナンシャルプランナー(FP)は、「職業」なのか?

テレビや新聞、あるいはネット銀行のコラムで「ファイナンシャルプランナー」の存在を知っている方は、おそらく相当な数字ではないでしょうか?

特に、お昼の時間帯のテレビ番組では、年金や国民健康保険料、あるいは生命保険などの「支払い」から「受け取り額」に至るまで、様々なお金に関するアドバイスをしてくれるファイナンシャルプランナーが、活躍しているのを見かけます。

ですが、一般的にファイナンシャルプランナー(FP)は、何をしているのでしょうか?

テレビ出演するFPともなれば、出演料を受け取ることもできるでしょうし、全国各地で講演会を依頼されることもあるでしょう。

ですが、こうした「食べていける」職業FPは、全国に5人程度…これが、実情です。

そもそも、FPという資格はどういうものなのでしょうか?

なぜ、この資格を得ても、それだけで生活できないのでしょうか?

FPの資格は、単なる業界ごとの「ステップアップ」に過ぎない

日本では「AFP」「CFP」「FP技能士(3級・2級・1級)」と、FP自体様々な資格が用意されています。

まず、「日本FP協会」が認定するFP資格は、AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)資格と、上級資格であるCFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)資格 2種類。

この資格を束ねる「日本FP協会」とは、1987年に設立され、2001年に NPO法人 として登記されました。

2016年3月1日現在、
個人会員数 / 193,368名、CFP認定者 / 20,552名、AFP認定者 / 154,126名、一般会員 / 18,690名 と法人会員83社で構成されています。

この中で「ファイナンシャル・プランナー」業として事務所を構え、収入を得ているのはごくわずか。

例えば、FP協会理事長の 白根 壽晴 氏 は税理士として実績を持ち、その傍ら、会社経営上の節税、資産運用、雇用社の退職金税制から、一般個人の家計管理、老後の生活設計(年金・健康保険・介護保険)、教育資金、住宅資金、相続、生命保険、退職金の資産運用など、幅広く相談を受け付けています。

白根氏の会社は、FP業として相談料を徴収して、実際にカウンセリングを行い、また講演活動にも積極的ですから、まさにFP業一本のエキスパート。

ですが、そのバックボーンは「税理士業」という強みが活かされています。

つまり、FP業とはいっても、純粋にAFP、CFP、FP技能士という資格だけで「食べていくこと」はできません。

なぜなら、これらの資格は「年金制度、健康保険制度、法人に関わる税制、個人に関わる税制・特に相続税、雇用保険、家計管理のための方法、金融商品、生命保険、損害保険…」と広い知識を身につけることで得られるものであり、それが単なる知識に過ぎなければ、趣味の領域でしかないわけです。

例えば、相続税について知識があるFPがいたとしましょう。

相続に関わる民法の規定で、配偶者が半分、子供2人なら、そのまた半分ずつ…といった相続配分は誰でも勉強しますし、相続税の計算の仕方も勉強します。

基礎控除が3,000万円、一人当たり600万円で、被相続人の数分(かずぶん)を掛ける…といった方程式を知っていたとしても、実際の相続の場面では「修羅場」には対応できないのが実情です。

つまり、相続とは、相続人の死後に相談するのでは「遅すぎる」のであり、生前に対策を打たなければならないのであり、そのために「税金の想定額」「被相続人たちが金銭でもめないための対策」を立てるのが鉄則。

それには、税理士業や生命保険業、証券業などの力が必要であり、それらの知恵や商品を購入しなければならないこととなります。

ですから、FP業の多くは「税理士」「銀行」「証券会社」「生命保険」「損害保険」のどれかに属しているか、提携しているのが実態なのです。

FPの資格は、こうした個々の専門家が「より高いレベルで」収益を上げるため、というよりも「より一般顧客に近づくための武器」として、生かしている「ステップアップ」の色彩が濃いわけです。

弁護士や社会保険労務士、税理士との違いは何か

さて、グレーゾーン金利問題、という言葉を聞かれたことはないでしょうか?

サラ金(サラリーマン金融)と称される消費者金融各社が、法定金利の引き下げによって過去10年に遡って「貸したお金はもとより、その金利分」まで、事実上償還することを命じられたきっかけが、2006年の最高裁判決でした。

もともとサラ金は、利息制限法 と 出資法 というまったく違う法定金利を持った法律の「スキマ」を狙って契約者にお金を貸していました。

最高裁判決は「借りる方は、法定金利の矛盾を納得して借りていたのか?」という部分に着目し、矛盾点を解消させなければならない、という方針に発表。

その結果、多くの消費者金融は破綻し、弁護士や司法書士がサラ金に連絡することで、借り手側に違法貸付そのものが帰ってくる「ルート」が出来上がります。

債務整理、過払い金の請求…これらが注目され、弁護士の仕事として認知されるようになってからは、弁護士が一般社会に「より近づく」機会を得たともいえるでしょう。

ですが、弁護士の仕事は、民事事件や刑事事件のほか、交通事故処理などが一般的であり、相続関係に関わるにはそれ相応の財産がなければ不要でした。

ですが、FPの資格をもつ税理士や生命保険外交員によって、提携関係が生まれ、お互いの知識と能力で「生活に必要なソフトインフラ」として税理士が見直されてきます。

社会保険労務士は、企業の雇用環境に対するプロフェッショナルであり、雇用争議を起こさせないためには大事な存在。

そして税理士に関しては、企業側がより「納税額を抑えたい」「経費に落としたい」場合に、どうしてもすがりたい存在です。

つまりは、この3つの肩書きはすでに「需要」があり、仕事は多いはずなのですが、その能力如何で人気不人気の差が大きく開いてしまう実態があります。

腕の良い実績のある「士業」は、その道のプロであり、FPのような広く浅からず…という知識とカウンセリング能力に長けている業種とは違うわけです。

本物のFPとは「FPを名乗らない」FP。資格であって、能力ではないのがFP

ここからは、少々辛口のFP論を広げていきましょう。

ファイナンシャル・プランナー…という言葉、馴染みが多少は出てきた感があるのは、テレビで「家計相談」を担当する人たちが番組で活躍してきたことからでしょう。

ですが、こうした人たちは「子育て経験がある」から、教育費用の実感があり、相談する顧客に納得できる説明が可能です。

家計を預かる主婦に「毎月の家計が赤字、ボーナスでなんとかしのいでいる」のは、節約しないから!と上段の構えで言われても、主婦からは賛同の意は受けられません。

節約の細かい方法、ネットスーパーの使い方や、各種カードのポイントの利用方法、家計での出費内容の把握の仕方や生命保険や損害保険、住宅ローン金利の確認による「借り換えのメリット」など、主婦相手なら主婦目線、勤務者ならば勤務者目線で説明納得させる技量が必要です。

と、いうことは昔からいる「近所のおせっかいなおばさん」のような存在が、FPであって、何も新しいスーツをビシッと着こなし、丁寧に社会保険制度を説明するのがFP、というのではないことがお分かりでしょう。

「私はFP」と、自分から名乗り出すような人は、まず「経験値がない」「知識しかない」ことをひけらかすようなもの。

むしろ、様々な経験や知恵を磨き、人の話をよく聞き、納得できる解決方法を編み出す…その結果が「FP」だ、と悟られれば、本物と言えるのです。

最後に。生命保険FPは「保険を売る」のが仕事のFP、ということを覚えておこう

長々とFPの実態を述べてきました。

さて、最後に最近増えている「保険FP」と言われる人たちについて記述しておきましょう。

生命保険外交員の中には、保険会社に勤務している人、代理店に属している人、ネット通販の外交員や、保険FPの広告の紹介で、顧客の自宅を訪れる外交員など、様々なチャンネルが存在しています。

その中で、保険FPという肩書きを全面的に出して、個人で活躍している外交員が増加しているのをご存知でしょうか?

彼らの多くは、一定の挙績(保険販売数)を得て、独立しても食べていける、と自信を持った個人代理店の人たち。

実は、このような人たちの中には「FP資格」を持たずして、保険FPを名乗る人たちが少なくありません。

例えば「ある保険FP」の仕事が、ネットなどで無料相談広告を出し、連絡してきた希望する顧客の自宅に向かい、今ある保険証券を拝見し、顧客のライフスタイルに合っているのかを説明するもの、としましょう。

仮に、その既契約保険が「変える必要のない」納得のいくものならば、保険FPとて、それを認めて顧客の家を後にするほかないでしょう。

ですが、それでは収益に結びつきません。

保険FPの仕事とは、言葉はよくないのですが「既契約をひっくり返す」ことにあります。

つまり、絶対の自信がある保険マンであるからこそ、保険FPと名乗れるわけです。

結果的にそれが顧客の為に、相談者の為になれば「めでたしめでたし」となります。

が、実際には「保険FP」の売りたい保険の「カモ」になってしまう場合もあります。

解約の必要もない保険を無理やり「保険FP」にせっつかれて、新しい保険に入らされるケースも少なくないのです。

こういった「保険FP」は、本物のファイナンシャル・プランナーでもなんでもありません。

ファイナンシャル・プランナーとは、もともとは社会保険や年金、健康保険などが国で整備されていない、アメリカなどで必要不可欠な業種として、発展してきました。

ですが、日本では国が様々な制度を備えています。

FPに相談する前に、まずは自分が支払っている「各種税金」「年金保険料」「健康保険料」と同時に、将来受け取れる年金額などを事前に調べることで、安心感を持つことが先、といえるのです。

社会保険労務士は、年金額の算定が可能。

だからこそ、国家資格であり、まずはこうした分野や資格の人を利用し、その後に「FP」に相談するのが本筋と言えるのです。

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