「人口減少社会」とは?

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人口が減少する社会とは?

    
2015年の国勢調査の結果、全国の1719市町村のうち、8割以上で人口が減少したことがわかりました。

いよいよ日本は、本格的な「人口減少社会」に入ったということが、数字の上でもわかります。

人口減少の原因は何か、人口が減ることでどのように変わるのか、考えてみましょう。

人口減少社会の原因

   
 人口減少社会の原因は、「少子化」です。

日本の人口が戦後の高度成長を境に、順調に増加してきました。

しかし1973年をピーク(出生数約209万人、合計特殊出生率 2.14)として、第一次オイルショック後の1975年には、出生率がついに2を下回り、出生数は200万人を割り込んだのです。

それ以降、人口置換水準を回復せず、少子化状態となりました。

その後さらに出生率減少傾向が進み、1987年には一年間の出生数が「丙午(ひのえうま)のため出産抑制が生じた1966年(約138万人)の出生数を初めて割り込み、出生数は約135万人でした。

1989年の人口動態統計では合計特殊出生率が1.57となり、1966年の1.58をも下回ったため「1.57ショック」として社会的関心を集めました。

同年、民間調査機関の未来予測研究所は「出生数異常低下の影響と対策」と題する研究報告で、2000年の出生数が110万人台に半減すると予想し、日本経済が破局的事態に陥ると警告しました。

その一方で、厚生省(現・厚生労働省)の将来人口推計は出生率が回復するという予測を出し続けました。

1992年度の国民生活白書で初めて「少子化」という言葉が使われ、一般に広まりました。

さらに、1995年に生産年齢人口(15~64歳)が最高値(8,717万人)、1998年に労働力人口が最高値(6,793万人)を迎え、1999年以降、減少過程に入りました。

その後も出生率の減少傾向は続き、2005年には、出生数が約106万人、合計特殊出生率は1.26と、1947年以降の統計史上過去最低となり、総人口の減少も始まりました。

2005年には同年の労働力人口は6,650万人(ピークは1998年の6,793万人)でしたが、少子化が続いた場合、2030年には2006年と比較して1,070万人の労働力が減少すると予想されています。

その後、若干の回復傾向を示し、2010年には出生数が約107万人、合計特殊出生率が1.39となりました。

なお、2011年の概数値は、出生数が約105万人、合計特殊出生率が1.39でした。

しかし、15歳から49歳までの女性の数が減少しており、そのため、合計特殊出生率が上昇しても出生数はあまり増加せず、2005年に出生数が110万人を切って以降、出生数は110万人を切り続けています。

もう一つの原因は、「高齢化」です。高齢化社会は、総人口に占めるおおむね65歳以上の老年人口(高齢者)が増大した社会のことを言います。

人類社会は、一定の環境が継続すれば、ある一定の面積に生存している人口を養っていく能力に限界が訪れます。

そして、人口を養う能力の限界に達し、ある程度の時間が経過すれば、必ず高齢化が顕在化してくるのです。

高度に社会福祉制度が発達した国家にあっては、その負担に応じるため労働人口が子孫繁栄よりも、現実にある高齢化対策に追われるため、少子化が進行して、さらなる高齢化を助長していく場合が多いと言われています。

高齢化と少子化とは必ずしも同時並行的に進むとは限りませんが、年金・医療・福祉など財政面では両者が同時進行すると様々な問題が生じるため、少子高齢化と一括りにすることが多いのです。

人口減少社会と経済成長

    
人口が減少すると、経済成長率が低下するという意見があります。

日本は1999年から労働力人口が減少に転じていますが、成長率が大きく低下したという事実はありません。

ロシアは1992年をピークに10年以上人口が減少し続けていますが、日本より高い成長を続けています。

ロシアでは1995年以降、ほぼ毎年80万人以上の人口の自然減が続いていますが、1999~2008年まで実質GDPで平均6.75%の成長を続けています。

経済学者森永卓郎氏は、「OECDの統計を見ると、人口増加率と生産性の上昇率は明らかに反比例となっている。つまり、人口が減れば労働生産性は上がる」と指摘しています。

同じく経済学者の原田泰氏は、「本来、人口が減少することは、生産性を高めることである。人口が減れば、土地生産性は高まるはずである」と指摘しています。

「人口減少によって国内市場が縮小する」という議論については、経済学者の高橋洋一氏は、「人口の少ない国でも高い一人当たりGDPを維持している国もある。人口減少でむしろ都市における土地・住宅の過密問題・混雑問題が解消される。環境問題に人口減少は有効である」と指摘しています。

「一人当たりGDP」は、人口が少ないほうが増加する傾向があります。

資本の量が一定であれば、人数が少ないほうが「一人が使う資本」は大きくなり、一人当たりの生産は上昇します。

一人当たりが生み出した付加価値が増えれば「一人当たり実質GDP」は増えることになります。

飯田泰之氏は「1950年代に発見されたこの経済成長理論を背景に、中国は『一人っ子政策』を進めたと言われている」と指摘しています。

原田泰氏は、「人口が減少するということは、生産者が減る一方で、消費者も減るということである。同率で減少すれば、一人当たりの豊かさに変化はない。国全体の経済力は、もちろん小さくなる。国民にとって大事なのは、一人ひとりの豊かさであって国全体の経済力ではない」と指摘しています。

さらに原田氏は、「人口が減少すること自体には問題はないが、現実には高齢化を経て人口が減る」とも指摘しています。
 

人口減少社会と生産年齢人口

    
三菱総合研究所政策・研究センターは「人口減少は国内消費を縮小させたり、労働力人口を減少させたりする」と指摘しています。

経済学者の竹中平蔵氏は「労働者が2倍になればGDPはおそらく増えるが、労働者が半分になればGDPはおそらく減る。ただし、労働者が2倍に増えても機械の劣化によって生産性が低下したり、人口が増えても労働者が増えたりしなければ、GDPは必ずしも2倍に増えない」と指摘しています。

原田泰氏は「人口減少社会とは生産年齢人口が減少していく社会であるが、そのためにもより多くの人が働く必要がある」と指摘しています。

また、森永卓郎氏は「女性・高齢者が働ける環境が整えば対応できるため、極端な人口減少が起きない限り労働力の問題は深刻化しない」と指摘しています。

飯田泰之氏は、「人口減少が問題になるのは、女性・高齢者の社会参加が十分に達成された後の話である」と指摘しています。

人口減少社会の影響

    日本で「人口減少社会」という言葉が広く用いられるようになったのは、2005年 12月に「2005年国勢調査」の最初の集計結果である速報人口を総務省統計局が公表したころからです。

この中で統計局は、「1年前の推計人口に比べ2万人の減少、我が国の人口は減少局面に入りつつあると見られる」とし、社会的に注目を集めました。

2009年の時点では統計局は実際に人口減少の局面に入ったのは2008年であると推定していました。

その後「2010年国勢調査」の結果をもとに改定された人口推計によると、日本の人口は2007年から2010年まではほぼ横ばいで推移していたものが、2011年に26万人の減少となり、その後の月別でも相当数の減少が続いていることから、2012年1月の時点で統計局は2011年が「人口が継続して減少する社会の始まりの年」と言えそうだとしています。

統計局が最初の「人口減少」の発表をおこなう前後から、「日本が将来人口が減少する社会になることは確実である」という予測がなされ、それを前提とした社会変化や影響を考察した報告が官庁や学術会議において提出されています。

2014年2月24日、内閣府の「選択する未来」委員会は、外国からの移民を毎年20万人ずつ受け入れることで、日本の人口1億人を100年後も維持できるという試算を示しました。

人口減少社会の具体的な影響としては、次のようなことが考えられます。

自動車保有台数の減少により、国内市場は縮小傾向にあります。

国内新車販売台数(登録車+軽自動車)は、1990年に778万台でピークを打ち、2014年は556万台に減少し、今後もさらに増える要素は見られないという点は、一般的な見方となっています。

これはエコカーの普及や少子高齢化問題、人口の都市部集中などの要素が複合的に関連している事象です。

上記に伴うガソリンなどの燃料の内需減少が長期化する見通しにより、2015年の出光興産と昭和シェル石油の経営統合など、石油元売の再編にも拍車をかける一因と論じられました。

また原田泰氏は、「人口減少によって、住宅環境が改善する。また、緑地・公園が増えれば快適な環境が実現できる」と指摘しています。

森永卓郎氏は「住宅事情が向上し、通勤の混雑・交通渋滞は緩和される」と指摘しています。

原田氏は「人口が多いということは人々に利益を与える天才を生む可能性を高めるかもしれないが一方で人々に害を与える天才を生む可能性も高める」と指摘しています。

原田氏は、「人が多いから貧しくなったと考えることはできないだろうか。欧州・北米の豊かさには、人の少ない豊かさがある。人の少ない豊かさを考えても良いのではないか」と指摘しています。

人口減少社会の対応が急がれる

    人口減少社会の特徴は、何と言っても「労働人口」の減少です。 その結果、確実に国力が衰退してしまいます。また、多くの高齢者を少ない若者で支える社会になってしまいます。 政府の早急な対策が待たれます。

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