「スロプロの日常」あなたの知らない金稼ぎアンダーグラウンド

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パチスロで生計を立てる人達

日本にはパチプロ、スロプロという言葉が存在します。

その名の通り彼らはパチンコまたはパチスロで収入を得、生計を立てています。

今回は、およそ一般人からでは想像もつかないようなスロプロの日常をご紹介致します。

こういった記事の作者は、自らは未経験で取材に基づいて書いたり、

あるいは「負けている経験者」の視点で書かれていたりすることがほとんどでありますが、

今回は「勝っている経験者」として、また多くのプロと交流のある者としてのご紹介です。

(私は決してスロプロを自称せず、スロオタクと名乗っていましたが……)

なお、近年ではインターネットを中心に議論されることも多くなった

パチンコ・パチスロの賭博性と違法性については、今回論じるつもりはありませんのであらかじめご了承下さい。

誰がどのような論を立てたとしても、パチプロやスロプロは現状、実在します。これは厳然たる事実です。

実在するということを重視しまして、彼らがどのような日常を送り、どのような理由から勝てているのか、

そして利益を得ているのかを見て行きましょう。

そもそもスロプロって何?

パチスロにはプロもアマチュアもありません。当然それを認可するような制度も機関もありません。

「今日から俺はスロプロだ!」と宣言することも可能で、世間一般的に使われている「プロ」とは違う存在です。。

よって、何をもってスロプロと呼ぶのか、その定義やボーダーラインは非常に曖昧で、

パチスロ経験者であっても十人十色の意見を出すことでしょう。

私自身もスロプロと呼ばれたことがありました。

今はもうパチスロに触れなくなって何年も経ちますが、触れていた時期の年間収支は全てプラスでした。

それでも、私は自分のことをスロプロだったとは一切思っていません。

理由は簡単で、私の考えるスロプロの定義に該当しないから。

程度の大小こそ個人差がありますが、

実際に勝っているスロッター達の中では、以下のいずれか、あるいは全てを満たしてプロだと認識する方がほとんどでした。

  1)収支を一定期間記録し続けた上で総合収支がプラスであるならプロだ
  2)完全にパチスロのみで生計を立てているならプロだ
  3)年収に換算して〇万円以上稼いでいるならプロだ

私が満たしていたのは1のみでした。

ずっと仕事をし続けながら、言わば「兼業」としてパチスロをやっていたため、2には該当しません。

3についても、私は勝ってはいたものの、決して大きく勝っていたわけではありませんので、

「私程度がプロを名乗れるものではない」という気持ちが強くありました。

そもそもプロと呼ばれたところでそこに社会的な名誉は全くありませんし、

侮蔑的にこの言葉を用いる人もいますので、自称する人はめったにいないように思われます。

少なくとも私が交流を持っているスロプロは一人の例外もなく、自分のことをプロだとは言いませんでした。

本記事ではスロプロを「完全にパチスロのみで生計を立てているならプロだ」で定義しておきます。

スロプロにとって情報は命

さて、パチスロで勝つためにやらなければならないことは、プロであってもそうでなくても、

「高設定を可能な限り長時間打ち続ける」ことに集約されます。

逆の視点でならば「いかに低設定を回避するか」とも言えるでしょう。

設定とは、「その台に搭載されている大当たりからハズレまでを含めた全ての確率を格納したもの」と捉えて下さい。

大半の機種は設定1から設定6までの6種類の設定を持ち、設定の数値が大きいほど客に有利で勝ちやすい確率設計になっています。

機種によっては設定6の勝率がほぼ100%に近いものもあります。

なお、設定を変更するには台を開けて専用のキーを差し込んで変更せねばならず、これは営業時間中に行ってはいけません。

店側も慈善事業者ではありませんので、

客に出玉を期待させるために高設定を少し使いつつも、基本的には大量の低設定をメインに営業しています。

低設定でも客が勝つこともありますが、それは一日の一台という短期的かつ母数の少ない試行の結果であり、

長期的に複数の台で見れば、低設定の台は必ず客側のマイナスに落ち着きます。

「必ず」です。内部の抽選は「イカサマのないサイコロ」で数学的に処理されておりますので、

これを頭ごなしに否定するのは数学そのものを否定しているようなものです。

反対に、高設定のみのデータを大量に集めれば、それは必ず客側のプラスに落ち着きます。

スロプロが狙うのは、まさにこの少数台存在する高設定台です。

もっとも、毎日必ずその店に高設定が存在する保証はどこにもありません。

現在は規制により新台入荷以外での広告も禁止されていますので、店は高設定投入をウリにしたイベントを行うこともできません。

ですので、どんな日に、どの店の、どんな機種の、どんな位置に高設定を使うかを知らねばなりません。

この店のクセを知るためにスロプロは莫大な労力を割きます。

高設定を配置する日程や箇所の法則が分かりやすければ楽ですが、

同時にそれはパチスロを生業としている人間以外にも分かりやすく、

開店直後の台取り合戦で敗れてしまえばそれまでです。

逆に分かりにくい場合は、その店の全台の遊技されたゲーム数、引いた大当たりの回数などを一ヶ月ほどメモし、

そこから設定を推測、その上でクセを分析しなければなりません。

しかも店も永続的に同じパターンを使ってくるわけではないため、

クセが変わった時に迅速に対応できるよう、常に閉店時のデータは採取しておく必要があります。

「ホールは生き物」とよく言われます。

最近は数日間の過去の台の履歴を閲覧できる機材が設置されているところも増えていますので、

毎日閉店までいる必要はありませんが、数店舗の閉店データを採取するなら結果的に毎日遅くまで動き回っていることが多いのです。

これらの大量の情報を整理分析した上で、高設定が投入されると予想した日にその店に向かいます。

入場方法は店によって様々で、くじ引きで得た整理券順だったり、並んだのが早かった順だったりします。

くじ引き制だと確実に台を確保できる保証がないので、その店で狙っていた台を確保できないこともままあります。

高設定が入ると予想していた台が、実際に打ってみたら高設定ではなかったなどの不測の事態もあります。

こういう事態に備えて二の矢、三の矢として、

開店直後に行けなくてもスロプロがいないから高設定にありつける可能性が高い店、など、他店の知識も持っておかねばなりません。

「その日どの店に行くか、そこがダメだったら次はどこの店に行くか」

あらゆる分岐点をケアしながらその一日の流れを決定しなければなりません。

それを決定する時間帯はスロプロそれぞれですが、朝に来る店からのメール配信の内容を決定打にする場合も多く、

そのようなケースでは朝7時ぐらいには起きておかねばなりません。

そして移動中から開店待ちまでの間に、何々がダメだった場合はこうする、という分岐点ごとの対処を決めておきます。

狙い通りの台に座れてそれが予想通り高設定であれば何の問題もないのですが、座れない場合は次の一手を用意しておかねばなりません。

成功した都合のいい流れを想定するよりも、失敗した時のリカバリーの手段を多数持っているほうが、恒常的な勝ちに繋がると言えます。

逆に、常に最悪の事態を想定して動けない人間は、パチスロのみで生計を立てるなど不可能に近いでしょう。

実際に台に着席して打って出す、というのはあらゆる情報を分析した上での結果、ただの答え合わせに過ぎず、何故その台に座って打ったのかという、打つに至るまでの過程のほうが実は大事なのです。

そして一連の全てに「情報」が必要であり、それをうまく収集・分析・処理できることこそがスロプロに最も求められる能力なのです。

目立たず騒がず客からも店からも嫌われてはならない

スロプロは基本的に店からも客からも嫌われます。

まず店からすると特定の人間がいつも高設定に座っていると他の客に還元ができず、結果的に客足が遠のくおそれがあるため。

客足が遠のくと店の売上も落ち、高設定を投入できる体力もなくなる悪循環が生まれます。

そして客からすればいつもいい台に座っている邪魔な奴、という認識。

多数の店を渡り歩いていくスタイルならあまり問題にはなりませんが、

少数の店で勝ち続けていくスロプロの場合、店や客との付き合い方も非常に重要になってきます。

いい台を確保して嫌われるのはある程度しょうがないのですが、

人間としても嫌われてしまうとかなりやりづらくなります。ですのでこういうところにも神経を使わねばなりません。

スロプロに社交辞令やおべっかが不要だと思ったら大間違いで、むしろ一般のスロッターよりはるかに気遣いが必要なのです。

具体的な効果としては、その店の常連客に好まれると、

その常連が打っている良い台を譲ってくれることがあります。

特に夕方や夜から予定があるのに、消化に長時間かかるボーナスを引いてしまった常連客からは、私も何度か譲ってもらえることがありました。

また、そのお店ならではの情報を教えてくれることもあります。

こう言った情報の半分以上が実際には役にも立たないものだったりしますが、店の設定投入の法則に変化が生じた時などに、今後の立ち回りに役立つ情報が入っていることもあります。

逆に常連に嫌われると、狙っていた台が空いた時に妨害をされたりもします。

常連のネットワークが強いところですと本当にこういうのが厄介なのです。

店員もアルバイトから社員までいますが、分け隔てなくにこやかに礼儀正しく接することが大前提です。

仲良くなれば店員目線ならではの情報を得られることもありますが、

一定以上の度合いで嫌われてしまうと、行動に難癖をつけてきて最悪出入り禁止の措置を講じられることさえあります。

そもそもそのお店のおかげでスロプロは利益を上げることができているのですし、その感謝も含め、礼儀正しくいたほうがスロプロにとっては圧倒的にお得なのです。

店内で騒ぐような行為、「またあいつが勝ってるのか」と目立つようなドル箱の使い方などは極力避けねばなりません。

「あいつ静かで目立たないけど毎回結構いい台に座ってるな」ぐらいでないと、悪目立ちしてしまいます。

めったにありませんが、店を出た後に客に絡まれることもありえますので、勝っているからと周囲を不愉快にさせるような行動は慎んで動かねばなりません。

また、「同業者」の存在にも気をつけねばならない要素でしょう。

特にその店のみ、一店舗のみで活動し生計を立てているプロをジグマと呼ぶのですが、彼らは常連や店員との強固なネットワークを構築済みであることが多く、

ジグマと敵対的な関係になってしまうと色々とやりづらくなってしまいます。

しかしここも懐柔策と言いますか、友好的な関係を築くことができれば、

プロ同士の情報交換もできるようになりますし、店舗内での住み分けも可能です。

一般のプレイヤーにとってパチスロは、店vs自分、もしくは台vs自分という構図ですが、プロにとっては他人vs自分なのです。vsですらないかもしれません。

店の全台の中から高設定の位置を高精度で予測できるような段階になれば、店との戦いは終わりを告げ、周囲との調和の中で生きて行かねばならないことに気付きます。

一人で生きているような錯覚に陥るのは経験の浅いスロプロだけで、

望む望まないに関わらず人付き合いからは逃れられないのです。

スロプロは勝った金を何に使うのか?

スロプロは遊んでるだけで金が入り、会社でのしがらみもなく、責任もなくて気楽でいいよな――。

そんなことを思う人もいるかもしれません。

朝に店を選び、店に到着して整理券の番号確認、ライバルの有無、他店動向チェック、開店後に狙い台を取れたかどうか、それが高設定だったかどうかも踏まえての終日の立ち回り、ひたすら周囲には笑顔を絶やさず、閉店直前に店の台のデータチェック、帰宅中から帰宅後に情報を整理し、新機種の解析情報や他店の情報に目を通しつつ明日の大まかな予定だけを決めて就寝……。

勝つことを最優先にすればするほどこんな毎日が続きます。

休みは取ろうと思えば自由自在ですが、それも勝ちを優先するなら「店の回収日」を予測しそれに合わせなければいけません。

7時起床、地域差はありますが23時頃に店をやっと出て、帰宅は日付が変わる頃。

これだけやっても生活や収入について一切の保障は当然なく、それでいてこの長時間の活動。

スロプロは総合的に見て大半の社会人よりもキツい環境にいると、筆者の経験上から断言できます。

一時的にそういう自由さ、責任を背負わなくてよいことに憧れを持つことがあるかもしれませんが、想像しているような気楽さは全くないのが実態です。

それでも、大きく稼げている間や若いうちに限ればまだいいかもしれません。

しかし、稼げているからこそ気付けばそれが定収入扱いになってしまい、簡単には止められなくなってしまうという泥沼も待ち構えています。

やがて若さも体力も衰え始め、普通の人が社会的な経験を積み上げてきた期間に自分はレバーを叩いてリールを止める作業しかしてこなかったという事実が重くのしかかり、パチスロを止めて真っ当な仕事をしようにもできなくなっていることさえあるのです。

その点は筆者が出会ってきたスロプロ達も思うところがあるようで、ほぼ全員が今後の展望として「いつこの稼業を辞めるか、あるいは辞めざるを得なくなった時にどうするか」を考えていました。

今まで何度もそういう意見交換を私もやってきたのですが、自分で店を持つ、株やFXなど別の分野に移行する、それまで築いてきたコネクションを使う、などが多かったように思います。

中には、高設定を早い段階で掴めた日には片手で経済の本を読みながら勉強しもう片方の手で打つ、なんて人もいました。

どのような選択肢を取ることになっても絶対にお金が必要になることは皆理解していて、だからスロプロは貯金に熱心です。

大勝ちしたから今日はキャバクラだ豪遊だ、というような使い方はめったにありません。

スロプロからすればパチスロを打つことは肉体労働に等しく、その対価としての収入ですので、世間一般の人の給料と同様、手に入ったからといって即時散財する人はまずいません。

むしろ社会的な枠組みから自分達が外れている自覚がある分、普通の人よりも多くを貯蓄に回そうとします。

余談ですが、筆者の仲良くなったスロプロの一人に、一度だけ貯金総額を教えてもらったことがあります。

当時彼は22歳で、パチスロに回すタネ銭とは別に2000万の貯金がありました。

全てパチスロのみでの稼ぎだそうで、億まで到達したらこの稼業は辞めたいと言っていました。

業界はいつ終焉してもおかしくない冬の時代

パチスロのプレイヤーも店舗数も年々減少していることはご存知でしょうか。

かつての4号機と呼ばれる区分では、出玉瞬発力の高い台でもルール上、第三者機関の検定をパスして日の目を見ることができました。

有名なアニメとのタイアップ効果なども影響し、パチスロ遊技人口も店舗数も爆発的に増えた時期があったのですが、現行ルールの5号機ではそれまでの反省に基づき、かなり厳しい制限を課されています。

しかも5号機の区分の中でも規制の強化は時折行われてきました。

さらに、今はスマホで調べれば機種ごとの打ち方や止め方などの有益な情報を誰でもすぐに入手できるようになったため、

客の無駄打ちも減り、店の売上が下がる遠因にもなっています。

これが高設定の投入数減少を引き起こし、スロプロであっても少ないパイの奪い合いをしなければなりません。

店もプレイヤーも多かった時代に比べると、今の時代に勝ち続けるためには以前と比べ物にならないぐらいの努力が求められます。

プロにとっても厳しいのですから、一般人ならなおさらのことで、負け続けることに嫌気が差してパチスロで遊ばなくなってしまった人も少なくありません。

しかも国が「もうこの業界について白黒はっきりさせよう」と動き始めれば、スロプロという人間はいなくなってしまうことでしょう。

特にカジノ法案絡みで、パチンコ・パチスロの立ち位置について抜本的な見直しが入る可能性もあります。

業界全体のあり方について今後どうなっていくか筆者にはまだ予測がつきませんが、今後スロプロが楽に勝てるようになるかと言われると、それは絶望的であると見ています。

こういった点も踏まえ、前項でも書きました通り、プロは今後の我が身の振り方について、イレギュラーな状況が突如発生することに対処するため貯蓄をしているのです。

楽して対価を得られることは世の中そうそうない

パチスロで勝って生活をするということがいかに大変か、 労力に見合ったほどのものがいかにないか、伝わりましたでしょうか。 かつての4号機と呼ばれる時代であれば、年収1千万以上のプレイヤーもちらほらといたのですが、今の規制の下で平均年収で1千万以上稼げる人は、筆者の知る限り誰もいません。 よしんば稼げていたとしてもやはりそこに何らの保障もなく、社会的に価値のある経験も積めません。 明日をも知れぬ道に進むにしては、あまりにも対価が低すぎるのです。 もしあなたがパチスロ好きで、パチスロのみで食べていく生活に少しでも憧れを抱いたことがあるならば、この記事がその思いを冷まさせるものであることを祈るばかりです。

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