TPP参加による私たちの暮らしへの変化は?「環太平洋戦略的経済連携協定という席に座った日本」


TPPは私たちを救うのか?

テレビで、ネットで、新聞で、少なくとも一週間で一度は目にするTPPというモノに皆さんどれほど関心を寄せていますか?

将来食べ物が安くなるらしい、日本の生産業にとって大変な事らしい、税金が安くなるらしいなどどこか他人ごととして捕らえてはいませ

んでしょうか?

このTPPと言うものは間違いなく私たち「普通」の多くの人たちの暮らしに多大な影響を与えます。

生産者の側としては地場産業、農産品などが今までよりもはるかに多くの相手を想定した約8億人の市場へ打って出ていかざるを得なくなっていきます。

消費者はその8億人の一人となり、今までと比べ物にならないぐらいの選択肢が手に入る代わりに何らかのリスクを負わざるをえなくなるのです。

身近なものから選ばざるを得ないという事は一見すると嫌な事に思われますが選ばなくても良い、「しかたない」と言う意識が働くことにより知識の習得や思考の必要性がなくても良いという事でもありました。

そうしたようにチャンスの頻度拡大は安定と楽と言うものから遠ざかることでもあり、TPPは必ずしもメリットばかりのものという訳ではありません。

それはもちろん中長期的に見た場合私たち個人個人へのお金の問題にも直結してきます。

TPPとはなんなのか?

TPPによって「隣人」が増えることはいったい日本経済の影響はどのようなものがあるのか?

私たち消費者にはどのようなメリット、デメリットができるのか?

今回はそうした私たちの暮らしを変えるTPPについての説明と考察をしたいと思います。

TPPとはなにか?

TPPとは環太平洋戦略的経済連携協定の略称です。

このTPPの始まりはシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が参加する自由貿易協定であり、最初は2006年5月に発効されました。

ここにアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加を表明し、新たな枠組みの合意に向けて9カ国で交渉していましたが、アメリカが2011年11月のアジア太平洋経済協力会議までの合意を目指している事もあって日本もこれへの参加を検討し、現在合意の方向に動いているものです。

今では全部で12カ国がこれに参加する予定であり、2015年10月のアトランタ閣僚会合において大筋合意に至りました。

現在参加予定各国と連携しつつ、協定の早期署名または発効を目指して動いていると言ったところが現状です。

このTPPは何が目的なのかと言うと高い水準の包括的かつバランスの取れた協定の中でのビジネスチャンスと個々の利益の拡大を目指して作られたものであり、物やサービスの貿易自由化だけでなく、政府調達、貿易円滑化、競争政策などの幅広い分野を対象としており、物品の関税は例外なく10年以内にほぼ100%撤廃するのが原則です。

またAPEC、アジア太平洋経済協力会議の目標を共有し、より広範な自由化を進めることが協定の目的とされ、加盟国の合意によって参加国を拡大できるのが特徴でもあります。

アメリカがこれに参加表明したことにより世界中で世間の関心が高まり、参加国の増加が見込まれ、アジア太平洋地域の新たな経済統合の枠組みとして発展する可能性も指摘されています。

お互いの関税と言う自国の利益を守るためのものを取り払い合い、自由に物やサービスをそれぞれの国でやり取りすることで高い技術を磨きあい、安く物を提供しあうことでお互いの利益を総合的に上昇させていきましょう。

と言った国同士の約束です。

恐ろしく簡単に言うとあまり個々の力が強くないもの同士が手を取り合って個人の力が強い相手に立ち向かっていこうと言うもの。

EUがヨーロッパと言う仲間同士の連合体ならばこちらは太平洋に面した国同士で連合体になろうというものです。

一見すると参加するメリットの方が大きいようにも思えますがもちろんそんな事はありません。

どんなことにもメリット、デメリットはあるのです。

TPP参加のメリット

TPPに参加することで考えられるメリットは以下のようなものです。

1つ目は関税の撤廃により肉、野菜、果物、乳製品などの輸入食品がかなり安くなることがあげられます。

2つ目は関税の引き下げにより貿易の自由化が進み、品質の良い日本製品の輸出額が増大する可能性が考えられます。

3つ目は整備や貿易障壁がなくなることで大手製造業企業にとっては企業内貿易が効率化し、利益が増える事が考えられます。

4つ目は今以上にグローバル化を加速させることにより、GDPが10年間で3兆円近くの増加をすることが出来ると見積もられています。

それでは一つ一つ見ていきましょう。

最初の関税がなくなることのメリットは私たち消費者からしての一番分かりやすくメリットTPPに参加した時点で起きるメリットです。

どんどん増える消費税、天候悪化や震災の影響で農産物そのものの値段も上がる中で生きるのに最低限必要となってくる食べ物が安くなるのはとてもありがたいことです。

現状のエンゲル係数の高さに頭を悩ませている人からしたら大幅に出費の減少となる機会と考える事も出来るでしょう。

2つ目は正直これからしだいと言ったところもあります。

確かに品質が高いことで一時期日本製品は有名でしたが現状世界の技術の進歩は目覚しく、突出して技術が高いとは言いがたい状態に今の日本の生産業は陥っています。

更に言うならアメリカと言う技術大国がこのTPPには参加しており、そこまで日本製品の輸出額が上がるのかと言うと少々疑問なところはなくも無いです。

しかし輸出量の増加があるのは確実で、その金額があがるであろうことはそれだけで再び日本の技術者達に希望を与え、技術力の向上を促す助けとなってくれることが期待されます。

3つ目は2つ目の同じような理由なので詳しくは語らないで次にいかせていただきます。

4つ目のメリットは正直なところ甘い概算であるように思いますが、グローバル化と言う市場の拡大によりGDPはそれに釣られて上がることが期待されています。

市場に参加する人数と技術の進歩こそがGDPに最も影響を与える要因となりますのでそう言った面では参加国全体平均は上がります。

しかし以上のメリットを見ていただいて分かる人もいるかと思いますが日本が拡大した市場の中でどれほど頑張れるかという事にそのメリットの殆どがかかっているのです。

TPPは参加して一安心、と言うものではなく頑張れるチャンスが与えられたと言うだけであり、そこで勝てなくてはいけないのです。

例えるならギャンブルで参加する人数が多ければ動く金額も大きいですが負けたら損をすることに変わりはないのです。

そうしたことからデメリットについてもしっかりと考えておかなくてはいけないでしょう。

TPP参加のデメリット

まず当然参加した時点で発生するデメリットがあります。

最初にあげられるのが海外企業を保護するために自国民と同等の待遇が適用されなければなりません。

万が一これがされておらず企業や個人が損失や不利益を被った場合に国内法を無視して世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターに提訴することが可能となります。

もちろん訴訟を乱発をしないこともTPPの条件にはあるので余程の事でない限りはこれで起こる問題は起こらないとは思いますが国が変われば常識も変わり、日本と言う特殊な環境の国を相手取った訴訟は間違いなく起きるでしょう。

またTPPは一度自由化や規制緩和された条件は当該国の不都合、不利益に関わらず取り消すことができないという制度のラチェット規定と言うものがあります。

TPPのルール上、離脱はいつでも可能となってはいますが、したところでその時点で海外企業からの莫大な損害賠償請求が予想されTPP離脱は極めて困難と考えられるでしょう。

負けてきたから、あるいは負けそうだから勝負を降りるという事は許されないという事です。

次にそのTPPに参加して起こるで「あろう」デメリットを説明させていただきます。

まず海外の安価な商品が流入することによってデフレを引き起こす可能性があります。

既にスタグフレーションと呼ばれるデフレの末期状態にある我が国でこれが起これば、安くなった食べ物を買うためのお金すらないと言う状態になることだってありえます。

また関税の撤廃により農業大国でもあるアメリカなどから安い農作物が流入し、日本の農業に大きなダメージを与えるであろうと言われています。

日本産のものは売れなくなり、作られなくなり、数少ない日本産は一部のお金持ちの楽しみである高級品になることも懸念されます。

また規制緩和は食品添加物、遺伝子組み換え食品、残留農薬などの検査が甘くなるという事で現状で既に心配性すぎると言われる日本のそうしたチェックが甘くなれば今の中国産がどうだこうだという以上に食の安全が脅かされる恐れもあります。

最後にTPPでは医療保険の自由化と混合診療の解禁も行われます。

これは国保制度の圧迫や医療格差が広がりかねないデメリットになるといえるでしょう。

210円のものが190円になったぐらいの、ちょっと食べ物が安くなったと喜んでいる人も多いですが、TPPに参加しても他国との競争で負ければそれ以上の損を国民全員が背負うというもの、TPP参加は楽で甘い話ではないのです。
 

TPPという席に座った日本

TPP参加は確かにチャンスと言えるでしょう。 それは降りることが出来ない多額のお金が動くギャンブルに参加する席が与えられたという事です。 そのギャンブルで賭けるのは自国の資本と未来、参加するゲームはお互いの資本を相手とどちらが優れているかという事を競うもの。 そして参加者には圧倒的大国で資本も技術も国民も圧倒的に多いアメリカもいます。 日本を強国だと思っている人も多いと思いますが世界基準で見た時に日本は決して強い国ではありません。 参加を表明し大筋で合意している以上席を立つことは許されないのならば後は負けないように必死で戦うしかないでしょう。 国民一人一人がこういうものだと認識すれば日本の底力は決して低くはありません。 良く分からないけどTPPで食べ物が安くなるらしいという認識を捨てて、自分のためにも先ずはTPPに参加した日本の現状を把握することからしてみてはいかがでしょうか?

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でお金が無い.jpをフォローしよう!

TPP参加による私たちの暮らしへの変化は?「環太平洋戦略的経済連携協定という席に座った日本」
Reader Rating 1 Vote