ASEAN経済共同体が発足することで世界経済に与える影響

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ASEAN(ASEAN)経済共同体は世界最大の共同体に発展するか?

2015年12月31日にASEAN経済共同体(AEC)が発足します。

ASEAN経済共同体とは、簡単に言うとASEAN版EU(欧州連合)のことです。

このASEAN経済共同体によりASEAN、つまり東南アジア域内で入出国の手続き、関税、送金などが、自由化されて、ヒト・モノ・カネの動きが活発になることが期待されています。

とはいえ未知数の部分もありますし、EUに関しても現在ギリシャ破綻問題を抱えるなど多くの課題は山積みですので、それ以上に文化や宗教、歴史が違うASEAN諸国がまとまるのか、不安視する見方もあるようです。

  

ASEANについて、おさらい

東南アジア諸国連合、通称ASEAN=ASEAN (Association of South‐East Asian Nations)については誰もが名前を知っているでしょう。

教科書にも載っていますし、たびたびニュースで耳にする言葉です。

でも、その実態がどういうものかについては意外と知らなかったり忘れたりしているかと思いますので、簡単におさらいしておきます。

ASEANとは、1967年に東南アジアの政治的安定と経済成長促進を目的として設立されたもので、現在ではインドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスの10か国が加盟しています。

設立当初は経済規模はとても小さいこれらの諸国も、21世紀に入ってから産業は急速に発展し、日本の高度経済成長期に近いような勢いで所得が増加しているため、今後ASEAN共同体ができたらその勢いはさらに加速する可能性があります。

ASEAN経済共同体でなにが変わるのでしょう?

先に「東南アジア域内で入出国の手続き、関税、送金などが、自由化されて、ヒト・モノ・カネの動きが活発になる」ことがASEAN経済共同体で期待されていると書きましたが、そのことについてより詳しく見てみましょう。

ASEAN経済共同体発足で進められるのは大きく分けて以下の3点です。

・モノの自由化(域内の関税撤廃、交通インフラ整備等)

・ヒトの自由化(短期滞在ビザの撤廃、熟練労働者の移動自由化等)

・サービスの自由化(出資規制緩和、金融機関の相互進出等)

基本的にはEUなどと同じ路線をアジアでも実現しようという動きのように思えます。

成長著しいASEAN諸国同士で利益を奪い合うのではなく、欧米や、今後発展する可能性もある南米、アフリカに対抗する意味で強調し合う姿勢を強めていると言って良いでしょうね。

ただし、加盟国の主権が優先される緩やかな統合のようで、EUのような通貨統合などは行われないようです。
 

モノの自由化

さらに詳しく見ていきましょう。

まずはモノの自由化からです。

関税の撤廃については1993年からすでに段階的に進んでいます。

シンガポール、ブルネイ、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンの6カ国間では、すでにほとんどの関税の撤廃が済んでいるようで、残りの4カ国、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムについても随時撤廃されていくようですね。

ただインフラ整備については難航しているようです。

内戦や独裁政権による国土の破壊、海賊などの横行、政情不安な地域も多く、未開発なままの自然もあり、環境問題や貴重な動植物の生息地を守らなければならないという課題もあります。

とはいえ、これから人口が急増するのは間違いないASEAN諸国で、インフラ整備が未整備だと物流にも不便ですし、放っておくと無法地帯にもなりかねないので、ASEAN経済共同体の発足でぜひ改善したい課題の一つとなっているのでしょう。

ヒトの自由化

続いてヒトの自由化です。

具体的には、短期滞在ビザの撤廃は進んでいて、関税同様すでに撤廃が済んでいる国が多いようです。

ヒトの行き来が自由になればその分無駄な手続きも減りますし、スムーズな人材のやりとりができることでビジネスが加速することも期待されています。

そして、ヒトの自由化で大きいメリットは「熟練労働者の移動の自由化」です。

かつてカンボジアではポル・ポト政権下で住民の大虐殺が行われ、その中で知識を持っている人や技能を持っている人は政権にとって危険ということで優先的に虐殺されてしまいました。

その爪痕は今でも残っていて、学校を開いても教える先生がいないという問題がまだ残っているそうです。

ですので、優秀な人材、熟練した人材は特に技術が発達していない地域に行くことによって大きなメリットがASEAN全域にもたらされる可能性があります。

ただ注意しなくてはならないのは、熟練労働者ほど高い給与を求めてお金がある国や町に行く可能性も高いと言うことです。

過疎地の村に診療所を開くより、都会の大病院で下働きした方が給料が高い、というのと似たような現象が起こるかもしれないですね。

そういうわけで、ASEAN経済共同体でも熟練労働者の移動に関してはまだ慎重に議論していくようです。

サービスの自由化

そして、ASEAN経済共同体のポイント3つめはサービスの自由化です。

これが一番大きな課題のようで、ASEAN諸国のほとんどが外貨規制を厳しくしていますし、外国人が土地を取得する時にもかなり複雑な手続きを踏まなければならないのです。

また、急速な経済発展をしているため、国によって情報格差も大きく、インターネットが広く普及している国もあれば、アナログ技術に頼っている地域もあるので難しいのです。

さらに宗教的な違いはとても大きく、商習慣の違いから安易にサービスの自由化ができない事情もあるようです。

EUほど厳格な統合を求めているわけではないにせよ、それぞれの国の主張や事情があるので、そこを解決することが大事ですしASEAN経済共同体の真価が問われる部分でもあろうかと思います。

ASEAN経済共同体は世界にどのような影響を与える?

ASEAN経済共同体が2015年12月に発足したからといって、なにもかもががらりと変わるというわけではありません。

徐々に関税や非関税障壁が撤廃されていくということです。

ただ、順調にいけば次第に世界最大級の共同体になる可能性もあります。

ある試算では、ASEAN経済共同体がある場合と無い場合で、2025年の域内のGDPは6~7%の効果の隔たりがあると言われています。

ASEAN諸国は、人口も今後増え続けていくことが確実な情勢ですが、仮にインドネシアで2億人、フィリピンで1億人、タイで6000万人だとすると、中国やインドに次ぐぐらいの巨大なマーケットの出現とも考えられるわけです。

このシンガポール、マレーシア、タイがEUにおけるドイツやフランスのような役割を果たし、ASEANを引っ張っていけば加速的に発展すると思われますし、さらに今、フィリピンの成長が特にめざましいので、注目すべき国ですね。

ミャンマーも最近、アウンサン・スーチー氏が選挙で勝ち、軍事政権からの脱却をはかったのも大きなニュースですね。

そのことが経済にどう影響を与えるかは予測の域を出ないですが、これまで軍事政権下で進められなかった事業が展開する可能性はありますね。

そう考えると、ASEANは今、世界中で注目を集めているといっても過言ではないかもしれません。

中国の経済成長に陰りが見え始めてもいますし、ASEAN経済共同体がきっかけで世界の経済の動きは大きく動く、そんな気もします。

紛争の解決も必要

ASEAN経済共同体では紛争の予防や平和的解決を目指す「政治・安全保障共同体」、格差是正などを図る「社会・文化共同体」の実現も目指しています。

タイでテロや暴動が起こったことは日本でも報道されましたが、そういった危険があることも頭の隅に置いておかなければなりません。

アウンサン・スーチー氏が選挙で勝った例も述べましたが、そのことが新たな紛争を生む可能性もないわけではないですね。

また国により資源の差もあり、隣接した国で資源の奪い合いが起こらないとも言えません。

特に飲み水や工業用水については、日本では考えられないぐらい激しい意見の対立や争いが起こっているようです。

その他にも、国家間の過去のわだかまりも大きいと思いますし、貧富の差も大きいままで、日雇い労働や物乞いを余儀なくされている人も普通に道にあふれている国もあります。

そういった課題の解決は、他の国のビジネスマンが安心して来られるようにするという意味でも早々に解決すべき問題ですね。

ASEAN経済共同体で日本の果たすべき役割は?

以上、日本にもなじみの深いASEAN諸国の今後の将来を占うASEAN経済共同体についてご紹介してきました。 ASEAN以外のアジアの国々も、今後世界で大きな役割を果たす国が増えてくるかもしれません。 そんな中、日本がアジア全体でどのような役割を担うべきでしょうか? 一部に反日的な国もあるようですが、大半は親日的な国のようです。 日本はアジアのリーダーとしての役割を果たすべきだと思います。 それは上から目線の支配ではなく、ASEANなどのアジア諸国とパートナーシップを取ることなのでしょう。

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