金の30分の1しか採掘されない「プラチナ」その相場に注目!

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誰もが「金」に目を奪われるが…

金、といえば、誰もが「価値が変わらない」と信じて疑わない金属のひとつ。

カナダの「メープルリーフ金貨」といえば、世界で最も信頼される金貨ですが、何と言ってもその純度99.99%とカナダ王室造幣局が製作する、というお墨付きでしょう。

今尚世界の経済に大きな影響力のある、英国王室のファミリー国家であるカナダ。

カナダ王室造幣局は、諸外国からの依頼を受けて記念硬貨を造るため、金貨の人気も高いのです。

さて、この金貨、世界で「黄金の国」?と呼ばれた日本はどうでしょうか

その筆頭は、「日本国王」と自ら名乗った、足利義満。

彼の作った最も有名な建造物は、京都市北区にある「鹿苑寺」、通称 金閣寺 と呼ばれている北山文化の象徴です。

この世の極楽を想像した傑作が、金閣を含めた庭園とその風情。

金は四季折々の風景に非常にマッチングし、特に雪景色の金閣寺は最も人気のある光景となっています。

また、豊臣秀吉の「金の茶釜」「金の茶室」などは、大変豪勢なものとして、世間をあっといわせました。

世界中で愛される「金」。

アメリカの東海岸に接する、バージニア州レストンには連邦政府の調査機関「アメリカ地質調査所」があります。

ここが、2012年に世界中の金の埋蔵量を発表しました。

それによれば、第1位は豪州で「7,400t」、第2位は南アフリカの「6,000t」。

続いて、ロシア「5,000t」、チリ「3,400t」、インドネシアと米国が「3,000t」、そしてカナダが「2,400t」。

ペルーが「2,000t」、中国が「1,900t」となっています。

つまり、世界での金埋蔵量合計は「5.1万t」となりますが、年ベースで2,400tが採掘されている、と言われており、ゆくゆくは金資源はなくなってしまう、というわけです。

金は電気を伝える物質としても優れており、携帯電話やデジタルカメラ、パソコンなどにも微量ながら利用されています。

ですから、単に宝飾品として売られているだけならば、金相場はそれほど乱高下はしないのですが、2010年から2015年にかけての5年間だけでも、1gあたりの金価格は 3,210円から4,910円 と大きく動いています(田中貴金属工業株式会社 参考小売価格より)。

金はそれ自体が魅力的であり、換金性があることから、貯蓄商品としても有効です。

ならば、純金積立して、いざという時の虎の子にしよう…

そう思う人が多いのも、頷けるのは事実でしょう。

実は、金だけではない!プラチナはもっと希少性が高い!

さて、プラチナ、といえばどの人も「結婚指輪」の材質に選ぶ人が多いでしょう。

特徴は、やはり「白金」と呼ばれる美しさと耐久性です。

金属の多くは、野ざらしにされるとサビに覆われますが、プラチナは温泉湯に浸かっても、汗にまみれてしまっても、その輝きは失われません。

そして、ジュエリーに用いられる一番の理由は、女性が大好きなダイヤモンドの台座としてのポジションです。

カットの細かさによって、ダイヤモンドは光に反応して輝きますが、その台座にはプラチナが一番似合うこと、そして、その硬さが故に、ダイヤモンドをリングから落とさない相性の良さ、もあるのです。

酸化しない鉱物としての特徴、そして貴金属アレルギーとは無縁、というのもプラチナの人気のひとつ。

こうしたプラチナの希少性は、実に金の30分の1しか採掘されていないことからもわかるでしょう。

プラチナの産地は世界で主に2ヶ所、その70%は南アフリカ、残りはロシアで全世界の90%を占めています。

特に、採掘国として南アフリカには、アメリカ系、イギリス系、豪州系、カナダ系、南アフリカ系の採掘企業が、その権益を握っており、その他はロシアでの採掘を地元ロシアの企業が握っています。

人間が歴史上、プラチナを掘り続けた総生産量は約4,000tでしかなく、金の30分の1、そして年間生産量も金の20分の1。

これを体積でイメージしてみると、一辺が6mの立方体程度の量に相当します。

いかに少ない量であるか、お分かりになるでしょう。

そして、その半分は実は自動車のエンジン部品に使用されています。

例えば PGM という言葉が自動車用語にあります。

これは、白金族元素(はっきんぞくげんそ、Platinum Group Metals = PGM)のことで、ディーゼルエンジンの排ガス触媒技術に重要な鉱物なのです。

白金族、というからには、プラチナ以外にも似たような性質の鉱物があることは、想像が付きます。

その通り、パラジウムやロジウムなど、これらのPGMは、黒い排気ガスを出すディーゼルエンジンの排気ガスを、クリーンな性質に変えてしまう特徴を持っています。

簡単に言えば、排気される有害物質が、PGMに触れると皮膜されて、触媒される、という原理を応用しているのです。

自動車に詳しい方ならば、ガソリンエンジンは「プラグ」と呼ばれる発火装置で圧縮されたガソリンを爆発させ、ディーゼルエンジンは、圧縮された軽油そのものが爆発することを思い出すのではないでしょうか?

ディーゼルエンジンは主に欧州で人気があり、また、トラックやダンプカーなど馬力を必要とする商業車には必須アイテムとなっています。

実際に、環境立国を自認するドイツでも、ディーゼルエンジンとマニュアルトランスミッション(MT)の乗用車が今でも一般化しており、その普及率は少なく見ても60%を下回ることはない、と言われています。

では、日本車の場合はどうなのでしょうか?

例えば、ホンダの「フィット」という乗用車には「PGM-FI警告灯」というものが、運転席前のパネルに取り付けられています。

この車種にはディーゼルタイプはありませんから、ガソリン車ということになるのですが、やはり白金族が使われていて、エンジン制御に関してのシグナルを発信していることがわかるでしょう。

自動車は、エンジンがある限りは「原料を燃焼」したあとの排気が問題になります。

そればかりではありません。

燃料電池車の場合も、実は触媒が必要になります。

汚い排気ガスを出さない代わりに、電池そのものの性能を保つためには、どうしてもPGMが欠かせません。

これも触媒の働きのひとつ、であり、プラチナを含めた白金族元素(時にはレアメタル、とも言われる)が確保されなければならないのです。

相場に異変。独、フォルクスワーゲンのディーゼルショックの影響?

2015年9月23日のアメリカ、ロイター通信では「ディーゼル車離れによる貴金属市場の動揺」という記事を電子版に掲載しました。

貴金属市場のメインは、金・プラチナですが、プラチナはディーゼル車に必須なことは、すでに記しました。

そして、生産台数世界一の座を巡って、トヨタ自動車と熾烈な争いをしているフォルクスワーゲン車の「不正排気ガス問題」の発覚が、一気にディーゼル不信の動きを加速させてしまったのです。

実際に市場では、この報告が発表されたあとの9月22日、前日よりも3.6%の下落。

同じ白金族のパラジウムは、0.6%の下落に留まりました。

パラジウムは主にガソリン車の触媒に利用されています。

年間900万台ものディーゼル車が販売されている欧州各国では、そのシェアは全体の45%にも及んでいます。

それが、一気に下がるのではないか?こう市場関係者が不安視したため、希少金属のプラチナ相場があろうことか下げを記録してしまいました。

再び、田中貴金属工業株式会社の公式サイトを見てみましょう。

2010年のプラチナ相場ですが、1gあたりの参考小売価格が5,242円まで上昇し、2015年12月現在で3,601円という値を付けています。

この間には上がり下がりを繰り返してはいますが、実は2015年当初から、プラチナ相場は下がり続けているのです。

つまり、ロイター通信が掲げた「フォルクスワーゲンショック」が直接の影響、というわけではないらしい…というのが、素人目にも理解できます。

いったい何が原因なのでしょうか?

確かに、南アフリカの鉱山労働者の度重なるストライキは、その都度市場に影響を与えていますが、プラチナ以外の白金族もレアアースとして、世界中で獲得競争が継続していたはずです。

ところが、レアアース最大の輸出国中国も、市場価格の高止まり政策に失敗。

世界各地で生産され、リサイクルも進んでいる白金族の中、プラチナだけがその価格上昇が続く…と専門家が強気な発言を繰り返していたわけです。

ですが、ここで下げている理由は、やはり「中国」にあることを知っておかなければなりません。

レアアースで痛い目を見ている、中国政府。

OPECでさえ、価格調整ができずに生産拡大というジレンマに陥っている今日、眠っている資源だけで食べていこうということは、理論的には可能でも、経済という大きなうねりにはどうにもならなくなってしまっているのです。

世界最大のレアメタル市場、FYME(汎太平洋レアメタル取引所)の失敗

中国雲南省昆明にある「汎太平洋レアメタル取引所」(FYME、The Fanya Metal Exchange)は2011年4月に世界で初めてできた取引所です。

そもそも、非鉄金属と呼ばれる鉱物資源では、生産量の多い 銅、鉛、亜鉛、アルミ などをベースメタル、と呼び、イギリスのロンドンにある「ロンドン非鉄金属取引所(LME)」で扱われています。

株式市場や穀物市場同様、非鉄金属市場もその取引量が一定以上でなければ、成立できません。

レアメタルはその名も「希少金属」であって、広く世界からの投資の対象になるようなものに値するはずもないのですが、中国では第2の市場が廈門(アモイ)にも開設され、取引が行われています。

ここで、よく考えてみたいのですが、レアメタルは一時その獲得競争に日本を含む欧米が血眼になりました。

これは、IT分野や鉄道、自動車、あるいは軍事産業に欠かせないものだったから、なのです。

そのため、中国政府は輸出制限を行い、価格を高騰させようと企みました。

ところで、日本では2014年、海水からレアメタルのひとつ「リチウム」を取り出す技術を開発。

世界中でレアメタルの分散発掘と、欧州での景気悪化も手伝って、レアメタル需要が冷え込んでしまったのです。

にもかかわらず、中国では鉱山開発がどんどん進み、生産のスピードが落ちなかったため、輸出できないレアメタルが一気にこの市場へと流れてしまいました。

そのため、中には世界需要を大きく超えてしまった「インジウム」など、買われるあてもない現物がどんどんFYMEに持ち込まれます。

インジウムの在庫目標は5,000tですが、世界需要は1,340tしかなく、FYMEに運ばれる量はすでに3,500tを大きく超えています(2015年11月)。

この取引所では、レアメタルは絶対に儲かる…という噂話を頼りに、素人の投資家が資金を投入していましたが、2015年10月、インジウムがとうとう換金停止という措置になってしまいました。

年間需要量100tの中国国内に3,500tを超える在庫…つまり、ロンドンを含めた世界の非鉄金属市場では、不透明な取引量と暴落している鉱物などに引きずられて、プラチナ相場にも悪影響を与えていることが、だんだんわかってきたのです。

結果論ですが、もともと市場取引に向かない希少金属を投資、ではなく「投機」と対象に仕向けてしまった中国の経済風土ともいえる部分は、どうにもならないものです。

ですが、これは他山の石と見るべきでしょうか?

これは大きな警鐘ではないか、そう考えたほうがよいのではないでしょうか?

美しいプラチナ。「どう使う」のかを知ってこそ、投資すべし

金もプラチナもその希少価値は永遠。 ですが「希少価値」と「価値」は全くの別物です。 金は、その美しさで人を魅了する価値がありますが、プラチナの場合はむしろ工業製品の「付加価値」部分に焦点が当たっている、といえるのです。 工業製品は、時代によってどんどん変化しますし、同じ希少金属でも、別のものにとって代わられる可能性もあるのです。 ですから「レア」な性質には、それだけ「リスク」もあることをよく諳んじておくべきなのです。

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