政党への献金はなぜなくならないのか?

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お金がない訳ではない政党へ企業献金が増加した

 先日、「政治資金収支報告書」で、2014年の自民党への企業・団体献金が、前年比13%増の約22億1千万円となって、民主党政権誕生(2009年)前の水準に戻ったことが分かりました。

これは、経団連が5年ぶりに会員企業に対して、政治献金の呼びかけを行ったことが原因と言われています。

しかし、長年「政治とお金」の問題が取りざたされていて、企業・団体献金はなくそうという方向だったはずです。企業献金の意味は何でしょうか?

政治献金とは何か?

 「政治献金」とは、政治家や政党が「政治活動」を行う上で、党から支給される党費のみでは不足するために、募る献金のことです。

政治献金の種類は、献金者によって分類されており、企業(会社)が行う「企業・団体献金」と、個人が行う「個人献金」(カンパ)とがあります。

一般的に、政治活動の資金はアメリカのように、個人が自主的・主体的に政治に参加する方法として行う「個人献金(カンパ)」によって集める方法が理想的です。

なぜなら、企業・団体献金は、政治と財界の癒着につながり、「見返りを求めれば賄賂であり、見返りを求めなければ背任行為」との批判があるからです。

しかし、企業・団体献金を賛成する立場からは、「企業・団体献金は見返りを求める賄賂ではなく、あくまでも社会的貢献のためであるから、賄賂でも背任でもない。もし直接的利益をもたらさない企業の社会的貢献が背任行為とするなら、企業が社会的福祉事業を行うことも社会的貢献ではなく背任行為に該当してしまうし、そうなれば社会活動が萎縮してしまう」という反論があります。

ただし、社会的福祉事業を社会貢献と宣伝している企業はありますが、政治献金を自社の社会貢献として宣伝している企業はありません。

現在日本では、政治家個人への献金は原則として禁止されています。

政治家に献金する場合は、政治団体を通じて献金することになります。

この政治団体は、一人の政治家が一つだけ指定できる資金管理団体や後援会です。

この場合の献金は、日本国籍を持つ個人献金のみが可能で、一政治団体に対して年間150万円まで献金できることになっています。

企業・団体献金は、献金を受けた政治家によって本来の政策が歪められる恐れがあるため、一切禁止されています。

また、政党へ献金する場合は、政党(本部・支部)へ直接献金する場合と、政党が指定する政治資金団体へ献金する場合の2つがあります。

この献金は、個人だけでなく企業も可能ですが、政治家が支部長を務める政党支部に対して企業が献金する場合には、政治家が企業献金を受け取ることが可能になりますから、抜け穴になってしまうという批判もあります。

ところで、無所属議員は、政党を通じて企業・団体献金の受け取りが出来ず、政党助成金も受け取ることができませんから、政党に所属する議員と比べて、資金力に差があります。

日本では、政治献金の金額に上限が設けられており、また国から補助金を受けている企業や3年間赤字が継続している企業は、政治献金ができない等の制限があります。

フランスやカナダは、企業献金そのものを全面的に禁止していますが、イギリスやドイツでは政治献金に上限がありません。

なお日本では、政党への献金や国会議員の後援会への献金など、一定の要件を満たす政治団体への献金(個人献金のみ)は、寄附金控除の対象となりますので、確定申告を行えば所得税の減額措置を受けられます。

政治献金の問題点とは?

「政治資金規正法」では、企業・業界団体が、特定の政治家へ献金できないと規定していますが、政治家の所属する政党や政治資金団体へ献金することについては認めています。

このことを利用して、企業・業界団体が政党や政治資金団体へ資金を提供し、政治家がそこから資金を受け取ることで、間接的に政治への献金がおこなわれている状態を「迂回献金」といいます。

この「迂回献金」は、最終的に企業・団体から政治家へ資金供与がおこなわれているので、違法ではないかとの指摘がありますが、現行法では禁止規定がなく、もし発覚した場合でも摘発・立件が見送られてきた事例などから、企業・業界団体が特定の政治家へ資金の提供をおこなう時の「抜け道」として常態化しているとの現状です。

企業献金の歴史

   企業が政党などに寄付を行うことは、「政治資金規正法」では禁止されていません。

金額の点で制限はありますが、 法律は個人と同じように企業も政治献金を行うことを認めているのです。

政治家へ企業が政治献金することについては、「リクルート 事件」(1988年)をきかっけに、1994年の「政治改革」によって禁止されました。

政治家の資金管理団体への企業献金も、2000年から 禁止されました。

このような禁止は、個人の献金とは違って、金額も大きく、その結果企業献金が政治腐敗の温床となってきたとの反省に基づくものです。

ところが、政党への企業献金については、法律で見直すことになっているにもかかわらず、現時点での見直しは行われていません。

その結果、政党の支部長に政治家が就任することで、政治家への企業献金が「迂回献金」として、実質的に行われています。

企業献金の構図

  自民党への企業・団体献金が政権交代前の水準に戻ったという報道を受けて、「自民党1強」時代の象徴だという声は少なくありません。

構図としては、支持率が安定する安倍首相のもと、自民党は強気で企業を回り、献金を集めようとしていますし、一方で政権への影響力を高めたい経団連も、加盟する企業へ献金を呼びかけています。

経団連の役目としては、自民党と大手企業を仲介するものです。

2014年6月に榊原定征会長が就任して以降、特に両社の蜜月ぶりが目立ってきたと言います。

前任の米倉弘昌会長は、安倍首相の金融緩和策を「無鉄砲」と批判し、両者の仲はぎくしゃくしていました。

首相官邸が主宰する会議メンバーに、経団連会長が選ばれないなど「経団連外し」さえ起こったほどです。

ところが、米倉氏から会長の座を引き継いだ榊原氏は、法人税減税など財界が望んでいる政策の実現をもくろみ、政権との関係修復を図ってきました。

元経団連事務総長の中村芳夫氏を内閣官房参与に送り、2014年9月に、経団連の会員企業に対して、自民党への献金を5年ぶりに働きかけたのでした。

榊原氏の出身である「東レ」は6年ぶりに4千万円を「国政協」(自民党の政治資金団体)に寄附し、これに会員企業も呼応したのでした。

ある会員企業の政治資金担当者は、経団連が表に立つことで、「会社としては、献金の大義名分が立ちやすい。役員会や株主総会でも説明できる」と半ば安堵しています。

  また、巨額の公的資金注入を受けたことで、長く自民党への献金を行っていなかった銀行業界も、この動きに送れまいとして、今後の献金を検討し始めました。

ある大手銀行の幹部は、「献金は入場チケット。なければ政府や与党にモノが言えない」と話しています。

結局、色々な規制をかけられている業界にとっては、政治資金を利用した自民党とのパイプによって、自身の業界を守る手立てだと割り切っているのです。

一方で、経団連の会員企業の中には「赤字の時は、自民党は何もしてくれないのに、黒字なったから献金せよというのは納得がいかない」と不満をもらす所もあります。

  自民党と経団連を献金でつなぐ仕組みや人脈が、ここにきた復活してきました。

自民党 の経理局長経験者は、「安倍政権発足から3年近くたち、かつての『奉加帳』がだいたい復活した」と述べています。

この「奉加帳」とは、各企業や団体から国政協を通じて自民党に献金する際に、企業の売り上げ規模に応じて、寄附金を割り当てるシステムのことです。

1970~1980年代に経団連事務総長を務め、「財界の政治部長」と呼ばれた故花村仁八郎氏が確立したものです。

  献金の1割ずつを占める「日本自動車工業会」と「日本鉄鋼連盟」は、「1割団体」とネーミングされています。

また、個別企業への割当額は、経団連に納める会費が目安になっていると言います。

会費は経団連の中で就任する役職が重いほど、格上ということで、献金の額が増える仕組みになっています。

格上のポストを得るために、会費も献金も多めに支払う企業があり、大手商社の幹部は、「経団連の役職にもつながるので下手に値切れない。

自民党もそこをうまくついて要求してくると」と話しています。

 自民党も、財界とのパイプをさらに太くしようとしています。

2012年衆議院選挙で、政権に返り咲いてから、法人税減税などについて再び陳情に来るようになった各企業と、関係改善を図るようにしています。

また国政協は、2014年8月、経団連専務理事として、政界などを担当していた田中清氏を理事に迎えました。

大手企業の幹部は、「田中さんは経団連の各会員企業に顔が利く。

自民党の献金システムは経団連と一体ということだ」と言っています。

  結局、自民党も大手企業も大きなメリットを感じた結果、今回の22億円という企業・団体献金の額になったのでした。

そして、両者をつなぐ形で経団連が深く関わっているのです。

「企業・団体献金」に何らかのメリットがある以上、それがなくなることは考えにくいということになります。

企業献金は政治・経済の枠組みの中に組み込まれている

  「政治とお金」の問題は以前から論じられていますが、企業・団体献金が政権と財界の両者にメリットをもたらす以上、すぐになくなることは考えにくいと言うことになります。

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