『21世紀の資本』の著者であるピケティの師匠が本を出版

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お金がない人たちが存在する不平等社会を解決するための本、読んでみませんか?

『21世紀の資本』という本を書き、世界的に大ベストセラーになったのを覚えていらっしゃるでしょうか?

その『21世紀の資本』を書いたのはトマ・ピケティ氏というフランスの経済学者です。

そして、その空前のヒットともいえる『21世紀の資本』から一年、今度は『21世紀の不平等』という本が出版されました。

とはいえ、『21世紀の不平等』を書いたのはトマ・ピケティ氏ではなく、トマ・ピケティ氏の師匠、アンソニー・アトキンソン氏です。

その『21世紀の不平等』をご紹介する前に、トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』の概要と、なぜ『21世紀の資本』が日本・アメリカをはじめ多くの国でブームを起こしたかについてまとめました。

トマ・ピケティ氏プロフィール

フランスの経済学者で経済学博士のトマ・ピケティ氏は歴史比較の観点から社会の不平等生を打ち出しました。

そのことは、有名になった『21世紀の資本』の資本収益率(r)は経済成長率(g)より大きいという理論にあらわれています。

そのことは、「r>g」という単純な数式で表されました。

そしてそのことから、富がお金持ちに集中するということを明らかにしたのです。

このようなトマ・ピケティ氏の考えは、2011年のウォール街を占拠せよ運動に、大きな影響を与えたといわれています。

当時すでにアメリカ社会は富裕層と貧困層との二極分化が大きな社会問題になっており、貧困層の不満が爆発した運動ですが、その中で「所得最上位層1%の所得が総所得に占める比率についてピケティ氏の主張が論拠とされたのです。

そして、アメリカに遅れて二極分化が社会現象になってきた日本でも、ピケティ氏の『21世紀の資本』出版にあわせてアメリカと同様に受け入れられたようです。

その他の功績として、20世紀のフランスでは特に第二次世界大戦後において所得の不平等が大幅に縮小したことを、ピケティ氏は明らかにされたそうです。

そして、そのフランスでの研究成果を応用して他の国についても調査を進めているようです。

『21世紀の資本』はこんな本でした

さて、そのトマ・ピケティ氏を世界的に一躍有名にしたのが『21世紀の資本』です。

2013年にフランス語で公刊され、2014年4月に英語訳版が発売されるとアメリカ中で大ヒットし、日本にも2014年末に翻訳されて、経済学というあまり売れるジャンルではない本としては空前のヒットをしました。

とはいえ、日本語訳版はフランス語版や英語訳版に比べてかなり内容が削られているそうなので、できれば英語版を読まれた方がトマ・ピケティ氏の本当の主張がより理解できるでしょう。

ちなみに、『21世紀の資本』日本語訳版はみすず書房出版で、728ページにも及ぶ本なので、日本語訳版を全て読むのにもかなり骨が折れます。

また、『21世紀の資本』を解説した本や添削した本なども多く出版されています。

先ほども述べましたが、『21世紀の資本』は資本収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きいという主張をし、さらには富は資本家へ蓄積されるという格差を是正するために、累進課税の富裕税を世界的に導入することを提案しています。

この「累進課税の富裕税を世界的に導入する」という考え方はタックスヘイブンに資産を持っていて税金逃れをしている富裕層も対象にするという主張で画期的ではありますが、実際に経済活動をされたことのないトマ・ピケティ氏の机上の空論であるという反論もあり、実行するのはかなり難しそうです。

『21世紀の資本』が大ブームになった本当の理由とは?

この『21世紀の資本』が大ブームになった理由は、言うまでもなく資本主義社会の矛盾が20世紀から21世紀にかけて噴出しているからでしょう。

富裕層と低所得層が二極化しているアメリカでまず大流行したのは当然でしょうね。

アメリカでは、さらに細かく分けると数パーセントの富裕層、10パーセントぐらいの高所得層、数十パーセントの中間層、そして30~40パーセントにものぼる貧困層とにわかれ、その貧困層は国民皆保険がある日本と違い高額な医療費が払えないため、病気やけがをしても病院に行くことができないという状態なのです。

日本も「一億総中流社会」と呼ばれたのはもう昔のことで、アメリカと似たような状況にあり、しかも中間層が年々貧困層に陥ってしまっています。

「こんな社会に誰がした?」という不満を持つ人にとって、『21世紀の資本』は福音書に見えたのかもしれませんね。

トマ・ピケティ氏の師匠、アンソニー・アトキンソン氏

そんなトマ・ピケティ氏の「社会は不平等である」という考え方はどのように培われたのでしょうか?

実は、トマ・ピケティ氏の師匠であるアンソニー・アトキンソン氏の影響が強いのです。

アンソニー・アトキンソン氏は不平等研究においては大長老であり、ピケティの師匠格と言ってもいい存在として世界的に有名な経済学者なのです。

所得分配論の第一人者であり、所得と財産の分配の歴史的トレンド研究という新しい分野を切り開いた有名人でありながら、一般にはあまり知られていませんでした。

それが、トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』を刊行したことによりアンソニー・アトキンソン氏にもスポットが当たる形になったようですね。

そんなアンソニー・アトキンソン氏が書いた『21世紀の不平等』とはどんな本でしょうか?

『21世紀の資本』の二番煎じでは売れないと思いますが、トマ・ピケティ氏の師匠であるアンソニー・アトキンソン氏がそんなことをするわけはないですよね。

では、いよいよ『21世紀の不平等』の概要についてみてみましょう。

『21世紀の不平等』について

この『21世紀の不平等』はそもそもピケティの『21世紀の資本』に対してアトキンソン氏が発表した、不平等解消のための提言の論文です。

『21世紀の不平等』で特徴的なのは、ピケティ氏の『21世紀の資本』に見られた単純な図式をたしなめるものだということです。

この社会に格差・不平等が拡大してきた原因は様々です。

国によっても歴史によっても文化によっても違いますし、トマ・ピケティ氏が世界中の全てを調べ尽くすと言うことも不可能でしょうし、資産を築いている人の中には巧妙に資産隠しする人も相当数いることでしょう。

それを一つの原因だけに求め、たった一つの解決策でそれが片付く印象を『21世紀の資本』では一般の読者に与えてしまったのではないか、もっと多面的な見方が必要ではないかとアトキンソン氏がたしなめているのです。

トマ・ピケティ氏も推薦文として「ウィットに富んで、エレガントで深遠なこの本を是非読んでほしい。」と書かれています。

『21世紀の不平等』のここがすごい!

『21世紀の不平等』が『21世紀の資本』に比べてすごい点とがいくつか上げられます。

まず1つめは、多様な働き方が登場しつつある現実をふまえて、社会保障制度のほうを変えようと主張することです。

これなどは、先ほども上げたようにピケティ氏が世界中の富裕層に累進課税をすればよいという結論に比べると進化した考え方といえるのではないでしょうか?

日本でも派遣社員や契約社員、パートなどの非正規雇用者の割合が正社員を上回るようになっていますし、その傾向が拡大しています。

また、在宅やインターネットを使った労働なども急拡大していますので、そのような多様な働き方に対応した不平等の是正が必要ですね。

それに対し、新たな提案がされているのが『21世紀の資本』に比べて優れているのです。

そしてもう一つは社会保障制度への提案がなされていることです。

イギリスの社会保障について述べられているので日本風にアレンジして考えないと行けませんが、日本でも社会保障に対する大きな不平等感は拡がっていますし、今後高齢化が進むにつれ解決していかなければならない問題なので、そのための参考にもなりそうですね。

日本への応用

2014年トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』を刊行し、2015年今度は師匠ともいえるアンソニー・アトキンソン氏が『21世紀の不平等』を刊行しました。 そして、日本人もあらためて「格差が広がっているんだな」という意識が強くなっていったことでしょう。 日本でも「勝ち組」「負け組」という言葉がはやり、長い不況のトンネルが続いていることとも相まって格差をなんとかしてほしいという思いがひろがっているのですね。 でも、「だれかなんとかしてほしい」というのは他力本願に過ぎないので、もしこれらの本に興味をもち読んでみたいと思われるのであれば、「自分になにができるだろう?」という意識をもって読んでみて下さい。 そうすることで、今の格差社会にただ流されるのでなく、あなた自身が主体的に関わっていけるようになると思いますよ!

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