宇宙開発にはどのぐらいお金がかかるのか?「宇宙へのロマンと予算」

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こんなに宇宙開発にお金がかかるなんて、ビックリ!

最近、「宇宙兄弟」という漫画(アニメ化、映画化もしています)にかなり興味をもっています。

さえない兄「南波六太」が宇宙飛行士の弟「南波日々人」に促され、子どもの頃の夢である宇宙飛行士を再度よみがえらせていくというストーリーですが、話のおもしろさもさることながら、宇宙開発について近未来の世界観で描かれていてとてもロマンのある漫画です。

さて、現実世界でも、2015年12月に、無人の金星探査機“あかつき”が金星軌道への再投入に成功し、5年ぶりの復活を果たしました。

日本の探査機が惑星に到達することになれば初めての快挙で、米国や旧ソ連、欧州に続く成果だそうです。

それにしても5年という期間はすごいですね。

どのぐらいのお金がかかっているのかもつい気になってしまいます。

金星探査機“あかつき”

無人の金星探査機“あかつき”が金星軌道にむかうために打ち上げられたのは、今から5年ほど前のことです。

5年前と言えば東日本大震災が起こる前のことですね。

もしその後であれば自粛ムードなどの理由で反発にあい、打ち上げ中止になっていたのでしょうか?

それはともかく、日本探査機としては初の快挙を達成したあかつきも、決して順風満帆ではありませんでした。

まず、金星軌道に乗る前に逆噴射での姿勢制御を行う際、メインエンジンの故障により失敗してしまい、なんと太陽の周回軌道にのってしまったのです。

当初の耐熱設計を大幅に超える太陽の灼熱の炎に耐えられるかどうか、という問題があったのですが、あかつきはなんとかそれに耐えました。

きっと、耐久力に関して予算を削っていたら太陽の熱に負けてしまっていたことでしょうね。

その後に、JAXAの研究員が計算した所、5年後にもう1回だけ金星軌道に戻れるチャンスがあると分かり、あかつきはひたすら5年間宇宙空間でチャンスを待ちました。

そして5年後!

あかつきの奇蹟

そして5年後の2015年12月7日、それはくしくも5年前に失敗した日と同じ日付だったのですが、JAXAはあかつきの金星軌道への再投入を実行しました。

とはいえ、5年越しのことで、しかも宇宙空間にあるあかつきなのでどうなっているかを把握するだけでも大変です。

なかでもメインエンジンが故障していたので、補助エンジン4基での制御となったのは大きな不安材料でした。

補助エンジンの性能はメインエンジンよりかなり劣ります。

しかしながら、計画時の軌道とは異なりながらも見事あかつきの軌道修正に成功し、金星軌道に乗ることができました!

まさに事実は小説よりも奇なり、ですね。

漫画「宇宙兄弟」でもここまでの演出は難しいかもしれません。

あかつきにかかるお金

さて、そのようなあかつきの快挙に水を差すつもりは毛頭ありませんが、あかつきの打ち上げにどのぐらいのお金がかかり、そしてそのコストに対するパフォーマンスはどのぐらいあったのかについて少し考えてみましょう。

まず、あかつきは金星探査のために打ち上げられましたが、わざわざ金星を探索する意図は何でしょうか?

JAXAの公式ページから引用してみると以下のような理由です。

「金星は「地球の兄弟星」と言われてきました。

その理由は、金星の大きさや太陽からの距離が地球に近く、太陽系の創生期に地球と似た姿で誕生した惑星と考えられているからです。

ところが現在の金星は高温の二酸化炭素の大気に包まれ、硫酸の雲が浮かぶ、地球とはまったく異なる環境です。

上空では時速400キロに達する暴風があまねく吹いています。

なぜ金星がこのような姿をしているのか、それがわかれば、地球が金星と違って穏やかな生命あふれる星となった理由や気候変動を解明する手がかりが得られます。

つまり地球環境を理解する上で重要な探査対象なのです。」

以上引用

要するに、地球に近い金星ですが、環境が異なるため生命が存在していない(と思われる)金星を深く知ることで、地球環境のために役立つという主張です。

地球の移住先としては金星は遠すぎて現実的ではないですが、調査して間接的に地球の役に立つから、と読み解くこともできます。

だからこそ、多額のお金をかけてでも、そして(不測の事態がおこったとはいえ)5年にも及ぶ期間をかけてでも調査をする価値があるということですね。

一方、金星探査自体にはほとんど意味がないという見方をする人もいます。

そして、金星に探査船を送る理由として

  • 金星探査に必要なロケットの開発を通じて日本の技術力を上げる
  • 宇宙空間でのロケットの耐性を調べる
  • 地球より太陽に近づくため熱や太陽風、放射線などによるロケットの損傷、耐性さらにはそこからの修理、バックアップなどの技術(実際に太陽軌道に乗って耐熱性が実証されました)
  • 宇宙空間の通信技術の確立

    ことなどを理由として挙げています。

確かに、ある程度レベルの高い目標を設定することで科学技術は飛躍的に向上しますね。

アポロ計画も、「月に人類が立つ」という、当時としては途方もない目標をケネディ大統領がうちだしたことで一気にNASAの技術が向上したという経緯があります。

日本のあかつき開発・打ち上げにもそのような技術力向上の側面も当然あったことでしょう。

宇宙開発とお金の関わり

ここで少しさかのぼって宇宙開発の歴史とお金の問題についてみていきましょう。

宇宙開発が本格的に始まったのは20世紀に入ってからです。

ライト兄弟が初の有人飛行に成功したのも20世紀初頭ですが、その後より高く、より遠くに飛行機やロケットを飛ばすという競争を各国が行い、それは主に軍事目的で研究・開発されてきました。

軍事目的なので、軍事費としての予算でまかなわれていたのですね。

第2次世界大戦ではその技術が戦争の道具として使われながら発展していきました。

終戦後は冷戦構造をひっぱる旧ソ連とアメリカの二大国が宇宙開発においても巨額の予算をつぎこんでいき、人工衛星をどんどんうちあげました。

これも間接的にではありますが、戦争のための予算で開発が行われていったことになり、なんとも皮肉ですね。

そして、犬や猿を宇宙船に乗せての打ち上げに続き、旧ソ連でガガーリン氏が初の宇宙飛行に成功します。

さらに、1969年には有名なアポロ11号が月面着陸し、人類が初めて月面に立ちました。

その後もどんどん宇宙開発が進んでいき、日本はアメリカなどにやや遅れながらも宇宙開発に予算をつぎこんで開発を続けています。

その成果のひとつが金星探査船あかつきなのです。

おそらくですが、冷戦時には戦争への使用目的で米ソが研究・開発していた経緯があったため、日本では研究がすすめにくい事情があったのではないでしょうか?

そのため、気象衛星などの開発にとどまっていたのだと予想されます。

ただそれでも、日本の人工衛星の打ち上げは旧ソ連、アメリカ、フランスに次いで4番目なので、健闘しているといえるでしょう。

どちらかといえば、やや失敗続きにも思える日本の宇宙開発事業ですが、アメリカにおいてもチャレンジャー号の爆発など失敗はありましたし、宇宙という未知の場所に赴き、予測不能の事態(今回のあかつき号が太陽軌道に乗ってしまったことのように)は起こりますので、それを見越したコストをかけておく必要があるでしょうね。

不況にあえぐ日本ですが、では宇宙事業を「仕分け」して縮小すれば良いかというとそんなことはないと思います。

宇宙開発は必要な投資

宇宙開発において一つ面白いものがあります。

それは、宇宙太陽光発電というものです。

宇宙太陽光発電とは文字通り宇宙空間上で太陽光発電を行い、そこで得られた電力を地上に送る発電方法です。

実用化にはまだ大きなハードルがあるのですが、人類のエネルギー問題を解決する大きな糸口になり得るものですね。

また、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン氏はこのような宇宙開発にとても積極的に投資されていて、宇宙旅行ビジネス会社を立ち上げ、多くの人が子どもの頃から夢に描いていた宇宙旅行を現実化させようとされています。

他にも、多くの宇宙開発に積極的なベンチャー企業が「リモート・センシング」と呼ばれる宇宙開発事業をしています。

「リモート・センシング」とは、人工衛星を打ち上げ地球の写真やデータを収集し、販売するビジネスです。

どのようなものかというと、例えば「海面の温度差から漁場を割り出す」「都市計画に利用する」ようなものがあるのだそうです。

他にも気象衛星、GPS、面白いものでは「宇宙葬」というものもビジネスとして成り立っているのだとか。

地球が狭くなってきた今、宇宙を舞台にした投資はどんどん加速していくのかもしれませんね。

宇宙へのロマンと、お金がかかるという現実

先に挙げた「宇宙兄弟」の中でも宇宙へ憧れる多くの宇宙飛行士(候補含む)がいるのに対し、実際に宇宙に行けるのはほんの一握りで、しかも多くの障害とも立ち向かう姿が描かれています。 それらの障害の多くは金銭にかかわるものです。 それでも、戦争への使用という役割がほぼなくなったといえる現代においても宇宙開発が続いている現実を見ると、やはり宇宙にかける人類の思いの方が強いということでしょうね。

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