日本の軽減税率は低所得者対策になるって本当?

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軽減税率は消費税増税の不満を押さえ込めるものとなるのか?

消費税増税時に導入する軽減税率についての決定がなされ最近注目を集めています。

もちろん消費税増税に伴って「軽減税率」の文字どうり飲食品に関しては消費税の増税を軽くするというだけで別段安くしようという訳ではありません。

そしてその線引きが曖昧であるとして消費者や飲食店に戸惑いが広がっていると言う方もいらっしゃいます。

しかしその線引きが難しいとか曖昧であるとかが理由でこの低減税率を多くの人は注目しているのかと言うとそういう訳ではないでしょう。

むしろ消費者としては定められた対象である「酒類と外食を除く飲食料品全般」と言う範囲が不十分なのではないかと考えているのではないかと思います。

定年退職を迎えた後の方で、仲間や普段は一緒に住んでいない家族と気軽に集まって食事ができる機会の外食は貴重で楽しみだったという方もいるでしょう。

家で1人寂しく食べると言うのがいやだったが仕方がなくなったという独身の方もいらっしゃるでしょう。

低所得者への対策として発案されたこの軽減税率ですが、そうしたことを考えるとどうも不十分であるように感じるところがあります。

今回は低所得者救済のための対策として考えられたこの低減税率と言うものが至らないと思うところを考察し、将来どうなって言ってほしいのかと言う展望について述べさせていただきます。

その場で食べると高くつく軽減税率と言う制度

この軽減税率と言うもので影響を受けるのは何も消費者だけではなく、「酒類と外食を除く飲食料品全般」を対象としたものである以上、そうした物を取り扱っている企業や業者も同じです。

例えば外食産業で出前をするという営業をしているところは増えてきてはいるもののメインをこれに据えているという所は多くはありません。

その為軽減税率が適用されればそうした飲食店の経営に手を出している企業や個人経営の飲食店の経営を直撃する経済的影響を与えるでしょう。

増税がされるのが確定事項であるため外の店で食べる客数はどうしたって減ります。

そして飲食店側からしたら肝心の収益率が高い酒類は軽減税率適用対象ではないと決まっており、お酒のおつまみに頼まれていたサイドメニューの商品の売れ行きも減るのは避けられないでしょう。

もし仮にこれを気に「出前」や「お持ち帰り」に対してシフト変更していこうとしても配達の人手や運送手段がないお店はそれをするようにするための要因の確保で人件費や設備費を持っていかれ、飲食業の接客をするための人員は減らされることになります。

軽減税率に恩恵は外食産業にとっては全くないでしょうし、場合によっては増税と合わせて追撃を与え、マイナスの効果を及ぼすでしょう。

実際外食産業などが加盟する日本フードサービス協会など7団体は「対象品目の範囲を合理的に定めることは困難で、線引きにより混乱と新たな不公平が生じる」などとして、軽減税率導入そのものに反対する決議を採択しています。

そうした飲食業界は「低所得者対策は税額控除制度で対応すべきだ」と主張しているわけですが、生活必需品を購入する際のものに関しての救済措置であり、嗜好品に対してまでが範疇に含まれるべきではないと反論する訳です。

もちろん本音としては恐らくそれをすると日本政府としては取れる税金が減るのでしたくない訳です。

しかしそれ以外の面としても確かに低所得者として税額控除を受けるという手続きが高齢者や低所得ゆえの繁忙に悩まされる人からすると難しいという国民としてのデメリットもそこにはあります。

それに言ってしまうともうこの軽減税率の対象は「酒類と外食を除く飲食料品全般」と決まってしまっていますので今更変えるという事もないと思われます。

消費者のみならず、提供する企業側としてもそれに関連する企業とそこで働く従業員にしても、ただでさえ市場規模が縮小している外食産業は軽減税率では応じきれないと言えるでしょう。

低減税率が低所得者のためのものならば外食を含めるのはおかしい?

低所得者のための対策と言うのであればそもそも外食産業に打撃を与えるこの外食に関しては軽減税率を認めないという方針事態に問題があるように感じます。

現状の日本の低所得者と呼ばれる人で飲食業界で働く人は決して少なくありません。

しかもその雇用形態のメインをなすのはアルバイトと言う非正規雇用であり企業の業績悪化や経営不振で簡単に職を失いかねない人たちです。

仮に職を失わなかったとしても、ただでさえブラック企業として職場環境や労働条件が厳しいとされる低価格チェーン店をメインにしている企業での就労条件はより一層厳しいものになるでしょう。

またその外食産業と言うものに関る会社と言うのも決して少なくありません。

外食が軽減税率の対象にならなかった理由として「対象を外食まで広げた場合、高級料亭などでの飲食も軽減税率の対象となり、低所得者対策という制度の趣旨にそぐわないと判断した」と言う主張がされているようですがそうした高級料亭などが外食先の何%をしめているのでしょうか?

そうした高級料亭などの高額所得の人たちの利用をメインにした外食産業で働く人たちと、そうでない外食産業で働く人たちの人数では後者の方が圧倒的に多く、その中の低所得者がどれほど多いのかという事をこの軽減税率の対象としたものでは全く考えられていないと言えるでしょう。

どこまでを外食と見なすかはすでに軽減税率を導入済みの諸外国の例を見ても難しそうだ。

などと言っている場合ではないのです。

外食と言うものに対してそれを全て嗜好品と判断するのであれば、それが嗜好品でしかないというほどのレベルまで日本の低所得者の食事についての理解が政府は及んでいないのではないかと考えられます。

お取り寄せで数十万円かける人が低減税率の恩恵を受け、厳しい職場環境で働き、たまには家族とちゃんとした時間を過ごしながらご飯を食べようとファミリーレストランに入るギリギリの生活をしている人が恩恵を受けられないで何が低所得者のための対応なのでしょうか?

諸外国の低減税率

海外の国では税金が平均的に高い代わりに軽減税率で飲食品などが安いという国が既に沢山あります。

寧ろそちらの方が多いと言ってもいいでしょう。

そしてそうした海外の軽減税率対象もかなりバラバラで国によって異なります。

例えばイギリスでは同じ持ち帰りの総菜でも、温かいものには標準税率の20%を適用で冷たいものは非課税です。

一般的に温かいものを買って食べるのは嗜好品、冷たいものは直ぐに食べるものではなく、嗜好品としての面よりも必需品としてのストックと見なすためのようです。

カナダでは一度に5個までのドーナツを買う場合は「すぐにその場で食べるもの」と見なして標準税率、6個以上はその場で食べないであろうから軽減税率となります。

日本でドーナツ5つをその場で食べられるという人はそんなにいないでしょうが、カナダの基準からするとこれはドーナツに限らずその場で直ぐに消費するものであるのかどうかが基準といえるでしょう。

大量の食料品を必要とする人にこそ優しくし、そうした大量購入を促すための効果もあるように感じます。

フランスは同じ高級食材でも、フォアグラやトリュフは国内産業の保護を目的に軽減税率が採用されており、キャビアは国内生産量と産業としては盛んでないことを理由に標準税率ととても分かり易いシステムが見られます。

軽減税率と言うものを導入し外食を除外するのならば、消費者に分かりやすい線引きが必要であり、「低所得者のためのものだから」と言う理由はいくらなんでも乱暴すぎて理解されることはないでしょう。

外食に分類されるファーストフードや安いことを売りにした大手牛丼チェーン店での食事する人たちはまだ低所得者では無いと言うのならば、日本の低所得者なんて殆どいないという暴論だって言われかねません。

国の真意が理解できる発表と納得のできる説明こそが必要なのに日本の線引きのラインはそれが足りていないように思います。

例えばフランスのように米産業を守るためというのであれば米に関しては税率を安くするとか、カナダとは逆に大量購入は日本の低所得者層には出来ないからいくらまでの金額に関しての消費は税率が安くなるであるとかの方が余程受け入れられるでしょう。
 

日本の軽減税率は現状の低所得者のためには不十分

以上の事から日本の軽減税率は日本人の低所得者のために不十分な対処であると考えられます。 第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「外食を除外するならば、消費者に分かりやすい線引きが必要だ。その一方で、高齢者の営む個人商店などでは、経理事務の煩雑さやレジの改修などの負担から、軽減税率導入を機に廃業するケースも出るかもしれない」と指摘する言葉を口にしています。 日本と言う国の軽減税率は基本海外に習う形で作られて、消費税増税への不満を抑えようとしているようですが、日本人の対所得者のためと謳いながらも外食をその範疇には捉えていません。 外食は低所得者のためにあるモノではないとお考えの人たちが今回の軽減税率を考えた人たちの中には多数だったようですが、今後外食産業で働く低所得者のためにも外食をする低所得者のためにも軽減税率の対象に外食が入るように声をあげていきましょう。

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