汗水たらして働く矛盾をアニメ「銀河鉄道999」に感じた

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銀河鉄道999の主人公、哲郎が目指していた生き方は何だったのだろう?

子どもの頃見たのでうろ覚えですが、銀河鉄道999(スリーナイン)というアニメを見たときに、印象に残っている場面があります。

それは、主人公の星野哲郎少年が、母親と働いている場面の回想シーンです。

母親は哲郎少年に「一生懸命働かないと食べていけないのよ」と諭し、物乞いや堕落をしないように教えていました。

働いてお金を稼いで、胸を張って行きなさいと言う清貧の思想を教え込みたかったのでしょうか。

その哲郎は、母親を機械化した人間である「機会伯爵」に殺されたのですが、メーテルという謎の女性の助けを借りて母親の敵討ちをした後、銀河鉄道999(スリーナイン)という宇宙を旅する列車に乗り込みます。

自分が子どもの頃は哲郎に感情移入しながら毎週楽しみにテレビを見ていたと思うのですが、今考えるとちょっとひっかかるところもあります。

それは、哲郎の行為が母親の「汗水たらして働きなさい」という教えと矛盾し、不労所得を得るような生き方を選んでいるのではないだろうかということです。

疑問その1 なぜ哲郎は機械化にこだわったのか

まずはなぜ哲郎が頑なに機械化にこだわったのか、ということです。

哲郎が銀河鉄道999に乗ったのは、自分の身体を機械にして永遠の命を手に入れることでした。

この考えは最後の星に着くまでずっと変わりませんでした(最終的には機械の体にならなかったのですが)。

でも、そもそも哲郎のお母さんを殺害したのは、機械人間である機械伯爵でした。

そんな機械の体になりたいと心の底から思うでしょうか?

それとも哲郎は、本音ではなるべく楽して生きたいと思っているからでしょうか(哲郎は実際かなり不精者であるようです)。

でも、哲郎は旅の途中で「お母さんとの約束だから機械の体を手に入れるんだ」とことあるごとに繰り返します。

つまり、「機械の体になる」ことは、哲郎の意思と言うよりは母親の意思なのです。

では、なぜ哲郎の母親はそこまで哲郎に機械の体を手に入れてほしかったのでしょうか?

疑問その2 なぜ哲郎の母親は哲郎に機械の体を手に入れさせたかったのか

哲郎は、いわば母親の遺言を守るために機械の体を手に入れようとしていました。

普通に考えたら、母親は息子である哲郎に楽な暮らしをさせてあげたくてそのようなことを言ったのでしょう。

アニメでの設定では、地球上の生身の人間の多くは機械人間に支配され、貧しい暮らしを余儀なくされていました。

言ってみれば機械化人間になるということは、エリートコースにのるようなものです。

ところが、哲郎の母親は哲郎に汗水たらして働くようにと教育していたはずです。

つまり、「楽して生きるのはよくない」という教えを施していたのです。

事実、機械伯爵を含む機械人間達は、永遠の命をもっているのでその退屈を紛らわすために「人間狩り」を行っており、哲郎の母親はその被害者となったのです。

哲郎の母親は、哲郎がそんな血も涙もない機械人間になることを望んでいたのでしょうか?

疑問その3 機械化は結局善なのか悪なのか

さて、哲郎はメーテルと共に永遠の命を手に入れるために銀河鉄道999に乗り、途中で様々な星に停車し、たくさんの経験をしていきます。

そして、地球と同じように機械人間が支配する星や機械になったことを後悔する人、その他様々な矛盾や差別、貧困、堕落といったたくさんの出会いをしていきます。

その中で機械の体になるということの意味について何度も問いかけられます。

ところが、哲郎の意思は決して揺るがず「絶対に機械の体を手に入れるんだ」と言い張ります。

本当に頑なな考え方ですが、では機械の体になることは正しいことなのでしょうか?

これは銀河鉄道999というアニメのテーマであり、軽々しく結論が出ないことだとは思います。

ただ、機械の体を手に入れた結果、不幸になってしまった例も数多く見てきたはずですし、哲郎自身が手をかけて倒した機械人間も数多くいました。

つまり、機械になりたいと口で言いながら機械化を否定するという矛盾を旅の間くりかえしているのです。

だいたい、哲郎は機械の体を手に入れた後どのような人生を送りたかったのでしょう?

労働から解放され、しかもやや怠け者の性質がある哲郎は、何年、何十年も経つうちに人間狩りのようなことをし始めないとは限りません。

機械になってまで「汗水たらして働く」ことを母親の遺言通り守ったとは思えません。

疑問その4 そもそも銀河鉄道999に乗ることは母親の教えに反するのでは?

そして、これが大人になった自分が思った最大の疑問なのですが、無料でメーテルからもらった銀河鉄道999の乗車券を使って、無料で機械の体にしてくれる惑星に行く、という哲郎の行動は、母親の「汗水たらして働きなさい」という教えに反しているのではないかということです。

そもそも哲郎と母親が一生懸命働いていたのは、お金を稼いでいつか銀河鉄道999の乗車券を買うためです。

この乗車券はとても高価であり、哲郎も何度か乗車券を奪われたり盗まれたりし、車掌さんに乗車拒否されるなどの憂き目にも遭っています。

そんな宇宙全体で通用するほど高価で貴重な乗車券を、哲郎はろくに理由も聞かされずに、メーテルという初めて会う女性から無料でもらったのです。

母親の教えを絶対遵守する哲郎が、なぜ受け取ったのでしょうか?

「いや、自分は母親の言いつけ通り汗水たらして地球で働いてお金を稼いでから乗車券を買います」と言うことも、頑固な哲郎ならありえたかもしれません。

哲郎は機械伯爵を殺害し、屋敷に火を放った罪で指名手配されていたので地球を脱出しなければならないという事情があったにせよ、途中の惑星で降りてお金を稼ぐこともできたはずです。

そして、無料で手に入れた乗車券を哲郎はけっこう雑に扱って、その結果盗まれたりもします。

また、ただで載せてもらっている銀河鉄道999、特に車掌さんに対したびたび文句を言っています。

乗車券があるから入ることができるホテルなどについてもクレームをつけることは度々ありました。

哲郎がわずか10歳の少年だから、その辺の矛盾はわからない、という言葉でかたづけてしまえばそれまでですが。

機械の体=不労所得化?

以上、アニメになぞらえて機械の体を手に入れるということの矛盾を考えてしまいました。

子どもの頃だったら気にもならなかったことですが、お金の仕組みや稼ぎ方を知った大人になって気になったのです。

そして、機械の体を手に入れることは不労所得を手に入れることにつながるのかな?と思ってしまいました。

不労所得は、若い頃に他の人が消費に使うお金を使わずに貯め、そうして貯まった資金をビジネスや投資に使うことで得られることができます。

哲郎にとってみたら、もしかしたら幼い頃から母親と苦労して働いてきたので、銀河鉄道999はその結果得られた不労所得のような感覚だったのかもしれません。

いったん不労所得の仕組みが出来上がったら、事業所得や投資のリターンなどの収入によって働くことなく収入を得ることが可能となります。

でも、ビジネスをおろそかにしたり投資した対象の値動きをチェックすることを怠ったりしたら不労所得は目減りしたりなくなったりしてしまいます。

機械人間になっても、生きる目的を失って人間狩りなどをしたら反撃を受けて永遠だったはずの命を落とす結果になるのですね。

お金を稼いだ後が大事

結局、お金を稼いでその後にどのような人生をおくるか、そのゴールを普段からしっかり考えておかなければダメなのだということでしょうか。 哲郎が得られた銀河鉄道999の乗車券は、宝くじに当たったようなものかもしれません。 突然大金持ちになった哲郎は、母親が本当に哲郎に教えたかったことを見誤ってしまったのかもしれませんね。 実際に宝くじで1億円当たった人の1年後を調査すると、ほとんどが1億円というお金を使い切ったか、むしろ借金を負うようになっているそうです。 そう考えると、哲郎の母親が「汗水たらして働きなさい」と言った意味が分かりますね。 死んでしまった哲郎の母親は、当然哲郎が無料で銀河鉄道999の乗車券をもらったことを知りません。 もし知っていたら「無料で赤の他人からそんな施しを受けてはいけません」と諭したかもしれませんね。 人はセルフイメージの通りに振る舞うと言われています。 一億円稼いでいる状態をセルフイメージし続けたら、その人はいずれ一億円稼ぐようになります。 逆に、お金をたくさん持っていてもセルフイメージが低かったら、そのお金はなくなっていくのだそうです。 哲郎は、もしかしたらものすごくセルフイメージが高い少年だったのかもしれませんね。 そう考えると、たまに傍若無人にも見える哲郎の行動も納得がいきます。

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