ひとりの医師の育成に1億円! 出身大学で医師を選んではいけない

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「かかりつけ医」を選ぼう、と言われても…

国家予算が96兆円、そして社会保障費が110兆円 … これは2012年度の日本の数字ですが、何を意味しているかお分かりでしょうか?

96兆円とは、財務省が集めたお金であり、ここから各省庁に配分するお金の総額です。

これに対して、社会保障費は3つの項目を含んでいます。

110兆円の中身ですが、54兆円は「年金」(49%)、35兆円は「医療」(32%)、21兆円が「福祉」(19%)、「介護」が8.4兆円(7.7%)となっています。

つまり、日本で生きていくには、消費税や所得税、住民税、法人税、酒税、自動車維持に関わる諸税など、様々な税金を払い(納め)、そのほかに社会保険料と称する「年金」「健康保険」「介護保険」などをどうしても支払わなければなりません。

これを国民皆保険といい、世界でも類を見ない「高度な医療を全国民が受けられる」システムに成功している原資、となってきたわけです。

ここで、日本という国が国家予算の30%にも及ぶ規模の「医療費」を国民に掛けていることが理解でき、その原資が税金とは別の「健康保険料」であることがわかるでしょう。

もちろん、この医療費は、税収とは別です。

つまり、ここで言いたいのは、「国民皆保険」とは、医療保険料をみんなで支払うことが前提となっている制度であり、払わない人は、医療を受けられないのではなく「自由診療」で受けてください、10割負担ですよ、という意味な訳です。

ならば、国民一人一人が、厚生労働省から「かかりつけ医」を持ちましょう … などというスローガンを受け取る意味はないのではないでしょうか?

そもそも、頭痛がひどければ「近くの内科クリニック」に見て貰えばよいし、転んで足をくじいたならば「駅前の整形外科病院」に通院すればよいだけです。

健康保険料は会社の給与天引きで支払っているし、老後の両親は毎月郵便局で保険料を納めています。

どこの病院にかかろうと、どれだけお金がかかろうと、個人の自由。

それなのに、国は「かかりつけ医」を強く推奨しています。

だいたい、かかりつけ医は「内科医」なんでしょうか、それとも「耳鼻咽喉科」、「循環器内科」?

まず、その辺をはっきりさせなければならないのです。

では、医師の方から日本の医療を覗いてみよう

国の目線では、国民医療費が年々増加することに、危機感が続いています。

厚生労働省が公表する、「平成25年度の国民医療費」は 40兆610億円。

前年度が 39兆2,117億円 ですから、1年で 8,493 億円、2.2%も増加しています。

ちなみに、日本人全員で国民医療費を割った場合、「人口一人当たりの国民医療費」は年間で 31万 4,700円。

前年度の30万7,500円 よりも 1万円以上 多くなっています。

毎年2%以上も、医療費が増えてしまっているなか、銀行の普通預金金利は0.1%以下、国の成長率も1%程度。

ならば、医療費を抑制すべき、という厚生労働省に対し、日本医師会では「苦しい台所事情は分かるが、医療報酬はなんとか増加を」と懸命です。

理由としては、医療は多くの医師や歯科医師、看護師などを雇用し、給与を支払っていくシステムであって、社会の動力源のひとつである、という考え方。

もう一つが、医療は人の命を救い、健康を支えるのであり、「予算」「合理化」などという経済用語は「似合わない」という考え方が、医師会や医師の間に根強くあるのです。

例えば、開業医の間で「生涯年収」という言葉があります。

国家資格を得て、働き始めてから「一生でいくらの収入を得るのか」というキーワードなのです。

例えば、近畿地方の県立病院で勤務する医師の間では「医師と言えども、手取り650万円」と、自らの境遇を悲しむケースがあるかと思えば、首都圏の内科医が開業して、いきなり年収が2,500万円になったけれど「自分が使えるお金がいくらなのかわからない」と悩むケースさえあります。

医師は通常、勤務医か開業医に分かれています。

勤務医の場合は、出身大学の医局に属していて、医局から「市立病院」に勤務してくれ、と言われればそれに従います。

数年経って、今度はへき地の「町立診療所」へ行って欲しい、と頼まれることがあります。

長崎大学医学部や、自治医科大学のように、初めから「離島」の医師を目指す医師、山間部や漁村の無医村の医師をめざすケースを育成するところもありますが、少なくとも首都圏や近畿圏の大学病院出身の医師たちの多くは「生涯年収」にこだわり、ひとりでも多くの患者を診て、頑張りたい…と思うものなのです。

彼ら「医師」の医療の目的とはなんでしょうか?

その中には、医療を支えるという自負、命を救うという使命、医療の研究などに加えて「自分にかかっている大学の授業料や国費」という大きなプレッシャーがあることを忘れてはいけません。

国公立で800万円、私立大学では3,000万円から6,000万円もの学費などが6年間で費やされます。

これを出すのは、医師の親であり、身内。

だからこそ、医師は国家資格を取得した時点で「自分は国に大きな借金を背負っていて」、これを返すこと=すなわち医療報酬で稼ぐことが使命…と考えてしまうことが実際にあるわけです。

かかりつけ医とは、総合内科医。この呼び名がよくない

かかりつけ医という診療科目は、日本の病院にはありません。

ですが、最近大都市の総合病院には「総合診療科」という診療科目がお目見えするようになってきました。

例えば「日本病院総合診療医学会」という学会がありますが、これは1998年に「日本総合診療医学会」という組織が誕生し、これが病院の診療科として統合されてきたものです。

総合診療とは、医師の世界では「generalist」を差し、その反対が「specialist = 専門医」です。

専門医では人気がある心臓外科などは「メジャー科」と呼ばれ、generalistは「マイナー科」と蔑む風潮も一部で見られます。

ここで重要なのは、診療報酬が高いのは、圧倒的にメジャー科の方であり、とりわけ外科医は執刀があるだけで、多くの診療報酬が受け取れます。

医師の方から見れば、せっかく高い学費をかけてもらい、6年間学問を詰め込んで献体の解剖など、人体の全てをつぶさに研究し、さらに前期研修医・後期研修医と一般患者を診て、夜間当直医も勤めながら、自分は「総合診療科」でマイナー科医として、臨床だけに携わろう…という積極的な理由が、どうしても乏しくなるのは当然でしょう。

むろん、お金のために「美容整形外科」医になろうとする人も中にはいます。

ですが、それはそれで人々のコンプレックスを取り、人生を楽しむきっかけを作るわけで、国民医療費とは無縁ながら、医師の職を全うしているといえるでしょう。

ですが、総合診療科 = かかりつけ医として認められるのでしょうか?

そもそも、総合診療科を大病院に設置している意味は、かかりつけ医とは関係ありません。

大学病院を含めた病床数500、700という大病院の場合、紹介状を手に臨床するとはいっても、中には街中のクリニックでも十分、という患者が大勢います。

それを差配するために、大病院には総合診療科、という入り口をまず作ったに過ぎないのです。

かかりつけ医とは、本来は「クリニック」「診療所」がふさわしく、それも無床の病院が好ましいのはいうまでもありません。

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かかりつけ医は「ペインクリニック」と考えておこう

さて、本題に戻りましょう。 かかりつけ医がいることで、国は国民医療費を抑えられる、強いては国民の医療費負担額も減らせる … と考えています。 日本医師会は、医療の専門性(specialist)を育て、generalistも育成したい、と考えています。 その中で「総合診療科」なる診療科目が全国各地の大病院に生まれています。 ですが、これは本当に意味でのかかりつけ医ではありません。 かかりつけ医 = は「医師個人」であり、大病院の診療科に勤務する代替要員も含める医師ではないのです。 では、解決方法はないのでしょうか? 答えは「ペインクリニック」であり「画像診断医」です。 ペインクリニックとは、どんな小さな町でもCT一台持っていれば、問題ありません。 肩が痛い…というちょっとした患者の悩みから、その原因を突き止めます。 それは鍼治療かもしれませんし、臨床の結果「心筋梗塞」の可能性があり、専門医への橋渡しをするかもしれません。 画像を見る能力、これこそがカラダを知る基本的な力です。 あなたの町のペインクリニック、ぜひ「かかりつけ医」に選んでみましょう。 そして、その際忘れてはいけないのは、医師の出身大学は問わないことです。 いかに、患者の声を聞き、吟味し、判断できるのか? それだけを覚えて、優れたペインクリニックを覚えておくことです。

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