原油価格とお金の関係複雑だが知っておくべき存在

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遠いようで身近な存在である「原油価格」について考えよう

2016年の年明けから原油価格がどんどん下がり続けてきました。

特にその引き金ともいわれているアメリカ市場では一時、1バレルあたり30ドル程度にまで割り込んでいます。これは12年ぶりの安値水準で、さらに下落する可能性も指摘されています。そして我が国でも株価や為替に大きな影響を与えています。
 
このように様々なエコノミストやマスコミを騒がせているこの「原油価格」ですが、興味のない人には今ひとつピンと来ないのではないでしょうか?

そこで今回は「原油」の価格とお金の関係について掘り下げてみたいと思います。

原油価格は私達の生活にも関係がある。

 
今年は年明けから株式市場が非常に「時化っている」状況といっていいでしょう。

要因としてはサウジとイランの国交断絶に関するいざこざやチャイナショックに対する懸念、さらには北朝鮮による水爆騒ぎまでが影響して、世界中の市場が右往左往する展開となってしまっています。

そしてその中でも「原油安」は我が国の経済にも多大な影響を与えています。
 
しかし日頃自分達の生活で精一杯になりがちな私達は、ニュースなどで原油価格について色々言及されてもほとんど耳を傾けないのではないでしょうか?

特に経済に明るくない人やその手の話題に一切興味のない人は、「油」の値段ひとつでなぜここまで騒ぐのだろう?と疑問に思う人も少なくないようです。
 
しかし私達の暮らしにとって「油」は欠かせません。

たとえば某県のレギュラーガソリンの価格は14日の時点で、1リットルあたり平均117円程度とかなりの値下がりが続いている状態です。

これは比較的原油高だった一昨年の夏と比較すると、約50円以上安くなったということです。

ここまでくると、日常的に車を利用する人にとっては決して無視することはできない値段でしょう。
 
さらに業者が配達してくれる灯油なども値下げされはじめ、現在では1リットルあたり60円を切ったところすらあります。

これは約11年ぶりのことです。そしてそれに付随して、電気料金も軒並み下がっている状況です。
 
このように「原油」が安くなることによって、私達の生活にもある程度の恩恵があります。

また中小企業の人々にとっても、このような燃料費の下落はコスト安につながります。

このように、一見いいこと尽くめに見えなくもありませんが、本当にそうなのでしょうか?

原油価格は株価と密接に繋がっている。

 
しかし経済全体で見ると必ずしもプラスの面だけではありません。

むしろ急激に原油安が進むことでマイナスの側面が浮き彫りになることがあります。

その代表例が株価の落ち込みです。

現在原油安を背景とした円高が進み、日経平均株価の落ち込みは留まることを知らない状況といえます。

年明けから6日連続で続落した東京株式市場の平均株価は、14日には下げ幅が一時700円を超えてしまいました。
 
特に今回の市場の混乱は、ドル高と原油価格の低下にあるとする向きが優勢とされています。

これらの要因が中国株を下落させ、さらにアメリカの株価下落や金利の低下をもたらし、最後に我が国の株の下落へ波及した可能性が高いといわれています。

原油価格の下落が最終的には我が国の株価に著しい影響を及ぼしているのです。
 
そして投資家はリスクの高い株や原油の取引を控え、世界的に安全な資産として認知されている「円」を買うようになります。

こうして、我が国の円高かつ株安という現象が生まれたと考えられるのです。
 
より厳密にいえば、ドル高が原油価格の低下をもたらし(その逆も指摘されています)、これが中国の株価の下落を経由して、アメリカの株価の下落や長期金利の低下、あるいは予想インフレ率低下などに影響を及ぼし、日本の株価の低下にまで波及しているという流れになります。
 
ここで注意すべきなのは、原油価格の低下が「どの要因がどれくらいの割合で原因となっているか誰も正確にはわからない」ということです。

今回の場合は、既に述べたようにドル高が影響を及ぼした可能性もあれば、中国経済の悪化が影響を及ぼしたとする専門家もいます。

すべてを定量分析することは不可能であるがゆえに、たとえ専門家であってもそのあたりを正確に把握するのは至難の業ということです。
 
さらにイランとサウジの国交問題がさらに原油算出国である中東諸国の混迷に拍車を掛けている状態です。

イランも世界第4位の埋蔵量を誇る国であり、現状では経済制裁によって輸出量が半分程度に抑えられていますが、制裁解除によってさらに供給量が増えるのではないかという予想も原油安に影響を及ぼしたことは否定できないでしょう。

ただし原油そのものの需給関係とアメリカの金融政策、どちらが価格に影響を及ぼしたのかは、専門家によって意見がわかれているようで、やはり正確なところは誰もわかっていないというのが現状のようです。
 
このように「原油」をめぐる経済動向は素人には複雑怪奇であり、正確に理解するのは難しいのです。

しかし日本経済にとって無視できない要因であることはおわかりいただけるでしょう。

 

 

石油ショックにみる原油市場の恐ろしさ

 
原油価格といえば、私達のような一般の日本人でも容易に想起されるのが1973年と1979年に起こった第一次・第二次石油ショックでしょう。
 
中東戦争により原油供給の制約がかかっているところで、石油への需要が爆発してしまったために起こった不況でした。

いわゆる悪性インフレの例として有名です。              
 
当時アメリカなどは第二次石油ショックの影響で物価高に苦しむことになり、物価高を抑えるために高金利政策(要はドル高政策)をとることにしました。

その結果、輸出は不振となり高金利によって国内の需要も低迷することになってしまいました。

その事態を受けてアメリカ政府は、借金により公共事業を次々と展開することで何とか景気を支えようとしたのです。
 
それによって財政赤字が増えたことに加え、さらに輸出不振によって経常収支も赤字という状態(いわゆる「双子の赤字」)に陥りました。

しかし困ったことに、アメリカ政府はこの責任を日本とドイツに押し付けてきたのです。
 
特に対日赤字がひどかったアメリカは、自国の赤字の原因を自らの経済政策の失敗ではなく「極端な円安」が原因であると主張し、その勢いで1985年に有名な「プラザ合意」がなされました。   
 
アメリカ政府は当該合意を正当化するための様々な説明をしてきましたが、とどのつまり、これは日本をターゲットにした通貨高政策に他なりませんでした。

我が国は「プラザ合意」によって、自ら為替介入を行って円安を是正するように強いられた格好となったのです。
 
今からでは考えられないかもしれませんが、当時は1ドル200円を優に超える為替相場でした。

しかしアメリカの意向を受けた日本政府の為替誘導によって、どんどん円高にシフトしていきました。

その結果、1987年には1ドル140円程度になってしまったのです。

我が国は第一次石油ショックではかなりの被害を蒙ったものの、第二次についてはうまく乗り切ったと思われていました。

しかしこの円高によって再び我が国の景気は悪化し、地方を中心に失業者が溢れることになってしまいました。

これがいわゆる「円高不況」のはじまりです。
 
これを是正するために当時の日本銀行が行ったのが大規模金融緩和でしたが、さらにこれが後にバブルの原因となってしまったという背景があります。

86年あたりから日銀は公定歩合(今でいう基準割引率および基準貸付利率)を5%から2.5%程度にまで引き下げ続け、その結果、住宅は飛ぶように売れ始め、驚異的な株高となりました。その後に続くバブル経済のはじまりです。
 
このように、有名な日本のバブル景気も元を正せば原油価格が引き金になったといっても過言ではないのです。

たかが「油」ということで市場に無関心でいると、気付かないうちにとんでもない事態に巻き込まれてしまうこともあるということです。
 
 

原油価格乱高下の対策は?

 
今現在も原油価格は若干の乱高下はあるものの、それでも日本は内需が8割なので国内での対策をしっかりやれば安定化は可能であると思われます。

ただし、原油はしばらく上がらないとする見方が大勢を占めているようです。

実際、今は外生要因が多すぎるので安定するのはまだまだ先でしょう。

ただし原油価格の底打ちですべてのマーケットの様相が突然大きく変わる可能性が高いですし、日銀による追加緩和や、現行の3.3兆円に加えて大型補正予算の組み直し、さらには減税などなど、我が国の株価に対しての処方箋は多岐にわたります。

これらについては、諸々の政治的問題を抱えてはいますが、今は徒に株価を下げるわけにはいかないという判断のもと、是非とも早めに手を打ってもらいたいものです。

特に追加緩和に関しては、13日に緊急帰国した日銀黒田総裁の出方を見守りたいところです。

まずは「原油価格」に興味を持とう。

  様々な政治要因や経済的な要因が絡む「原油価格」ですが、全く興味をもたないというのは危険です。 たとえ取っ付き辛くても、理解できるところから徐々に勉強していくのがよいでしょう。 たとえば「原油価格」自体はネットですぐ確認できますので、手始めに家計の節約と結びつけて考えてみるなど、身近なところから理解を深めていくようにすれば自然と詳しくなっていくと思います。

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