最低限知っておきたい「クーリングオフ」の知識

クーリングオフは消費者の味方

  

断り切れずに「エステ」の契約をしてしまったが、家に帰ってよくよく考えてみたら、「契約しなければ良かった」と後悔した話をよく聞きます。

そんな時、消費者の味方になるのが、「クーリングオフ」です。

しかし、便利な制度であるからこそ、そこには厳格なルールがあります。十分に理解して、活かしたいものです。

クーリングオフとは?

  
民法上では、一旦契約を結んだ場合には、一方的に契約を取りやめたり内容を変更したりできないのが原則です。

しかし、消費者が自宅などに不意の訪問を受けて勧誘されるなど、自らの意思がはっきりしないままに契約の申し込みをしてしまった場合、その消費者が頭を冷やし再考する機会を与える制度が必要です。これが、「クーリングオフ」です。

一定の期間内であれば違約金などの請求・説明要求を受けることなく、一方的な意思表示のみで申し込みの撤回や契約の解除ができます。

投資信託など元本割れリスクのある金融商品は保険などを除いて対象外の場合がほとんどです。

変額年金は対象外とされてきましたが、購入後10日間は解約手数料なしで解約できる商品がほとんどです。

一般的な無店舗販売を規定する「特定商取引に関する法律」や「割賦販売法」のほか、個別の商品、販売方法、契約等の種類ごとに「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」、「宅地建物取引業法」、「ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律」、「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」、「保険業法」等で規定されています。通信販売や店頭販売では、原則としてクーリングオフ制度はありませんが、販売者が独自に「商品ご購入後○日以内の返品が可能(返品の送料は注文した消費者が負担)」などと制度を制定している場合があります。

クーリングオフの範囲は?

  
クーリングオフの期間は、「商品、販売方法、契約の種類」によって次のように分類されます。
 
訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールスを含む。権利については政令指定のものに限る。)は、法定の契約書面の交付の日から8日間です。

適用対象は、指定商品・指定権利・指定役務・現金取引のときは3,000円以上の取引に限られます。

電話勧誘販売(権利については政令指定のものに限る。)は、法定の契約書面の交付から8日間です。

適用対象は、指定商品・指定権利・指定役務・現金取引のときは3,000円以上に限られます。

連鎖販売取引(マルチ商法)は、法定の契約書面の交付から20日間(但し、商品再販売の場合は、契約書面受領日か最初の商品受領日の遅い方から20日間)です。

適用対象は、すべての商品・権利・役務です。

特定継続的役務提供は、特定の書面の交付から8日間です。

適用対象は、5万円以上のエステ・語学教室・家庭教師・学習塾です。

割賦販売・クレジット契約は、「クーリングオフ制度」の告知の日から8日間です。

適用対象は、店舗外での指定商品に関する取引です。

業務提供誘引販売取引は、法定の契約書面の交付から20日間です。

個別信用購入あっせん(権利については政令指定のものに限る。)は、法定の契約書面の交付から8日間ですが、特定連鎖販売個人契約及び業務提供誘因販売取引については契約書面受領日から20日間です。

預託取引契約(現物まがい商法)(政令で指定された商品に限る。)は、法定の契約書面の交付から14日間です。

適用対象は、指定商品・指定された施設利用権です。

 
宅地建物取引(宅建業者が売主で事業所外の取引に限る。)は、「クーリングオフ制度」の告知の日から8日間です。

適用対象は、宅地建物取引業に売り主である宅地建物の売買・店舗外での取引に限られます。

  
ゴルフ会員権契約は、法定の契約書面の交付から8日間です。

適用対象は、50万円以上のゴルフ会員権で新規募集のものに限られます。

  
投資顧問契約は、法定の契約書面の交付から10日間です。

適用対象は、投資顧問業者(許可業者)との契約に限られますが、クーリングオフしても、それまでの報酬の支払義務は残ります。

 
保険契約(保険会社外での契約に限る。)は、書面の交付または第一回保険料支払い日からから8日間です。

適用対象は、1年を超える生命保険契約・損害賠償契約です。

 
海外先物取引は、海外先物取引契約(基本契約)締結の日から14日間です。

適用対象は、指定取引所における指定商品の取引事務所以外の場所での取引に限られます。

 
以上のとおりですが、クーリングオフの行使について妨害(不実告知による誤認、又は威迫)があった場合は、妨害がなくなり「クーリングオフ妨害解消のための書面」を受領するまでは、クーリングオフ期間は進行しないことになります。

 さらに、上記以外で「特定商取引法」という法律によって、クーリングオフが指定されている商品(55品目)、権利(3種類)、役務(17種類)があります。

例を挙げると、次のとおりです。

 
商品は、動物・植物の加工、犬・猫・熱帯魚等観賞用動物、盆栽・鉢植えの草花等の観賞用植物(切り花、切り枝、種苗を除く)、障子・雨戸・門扉等建具、手編み毛糸・手芸糸などがあります。

権利には、保養施設・スポーツ施設を利用する権利、映画・演劇・音楽・スポーツ・写真・絵画・彫刻等の鑑賞・観覧する権利、語学の教授を受ける権利があります。

役務には、庭の改良、保養施設・スポーツ施設の利用、墓地・納骨堂の使用などがあります。

クーリングの注意点

  
クーリングオフで注意する点は、3点あります。

まず、クーリングオフは「書面で行う」という点です。

クーリングオフは「書面により」と法律に明記されているので書面で行わなければなりません。

これは当事者間の権利関係を明確にするとともに、後日紛争が生じることのないようにするためです。

実際に口頭でのクーリングオフが認められた裁判例がないわけではありませんが、トラブルになった場合、口頭でのクーリングオフをした事を消費者が立証しなければなりません。

業者に「聞いていない」と言われればそれまでですので、必ず書面で行いましょう。

法律で特に規定しているわけではありませんが、書面の内容や発信日が確認できる内容証明郵便を利用するのがもっとも確実な方法です。

  
次に、クーリングオフは「発信さえすれば効果が発生する」という点です。

クーリングオフの効果は書面を発したときに生じます(これを発信主義といいます)。

民法では距離的に離れた者どうしで意思を伝える場合の効果の発生時期について、到達主義(相手方に到達したときに効果が発生)を原則としていますが、クーリングオフはこの例外であり、行使期間内に相手方に到達している必要はありません。

例えば訪問販売で商品を購入しその契約書面を受け取ってから8日目にクーリングオフの通知した場合でも、訪問販売のクーリングオフの行使期間は8日間ですのでクーリングオフの効果は発生します。

業者に通知が届くのが9日目であろうと、10日目であろうと関係ないというわけです。

  
最後に、「起算日に注意する」という点です。

民法は初日不算入(初日は計算に入れない)を原則としていますが、クーリングオフはこの例外となり初日が算入されます。

たとえば月曜日に訪問販売で商品を購入しその契約書面を受け取った場合、訪問販売のクーリングオフの行使期間は8日間ですので、クーリングオフができるのは翌週の月曜日までとなります。

翌週の火曜日にはもはやクーリングオフができないというわけです。

また起算日や行使期間は各クーリングオフ制度の法根拠によって違いますのでので、要注意です。

クーリングオフの通知内容

  
クーリングオフする際の書面内容については、特に規定はありません。

しかし最低限次のことを明記するようにします。

  ・契約した年月日

  ・契約を解除したい旨

  ・商品名

  ・価格

  ・発送する年月日

  ・自分の住所・氏名

  ・相手方の住所・会社名(出来れば代表者名も)

 記載例①・②は以下のとおりです。

(記載例①)

通告書

  私は、平成○年○月○日、貴社のセールスマン○○の訪問を受け、下記の購入の契約をしましたが、この契約を解除します。

      商品名   ○○○○   ○個

      価 格   ○○○円

  なお、既に引き渡し済の商品はすみやかにお引き取りいただくとともに、支払い済みの金○○円を返却するよう請求します。

  以上のとおり通知します。

      平成○年○月○日

        東京都○○区○○…(差出人の住所)

                 ○○ ○○(差出人の氏名)

  東京都○○区○○…(相手方の住所)

    ○○ ○○(相手方の会社名)

       代表取締役 ○○ ○○ 殿

  (記載例②)

     通告書

   私は、平成○年○月○日に、貴殿と締結した下記契約を解除します。

    申し込み ○○語学コース

    価格   500,000円

    担当者  ○○ ○○

  なお、既に引き渡し済みの商品はすみやかにお引き取りいただくとともに、支払い済みの金50,000円を返却するよう請求します。

  以上のとおり、通知します。

                           平成○年○月○日

         通告人 東京都○○区○○…

               ○○ ○○ (差出人の住所・氏名)

         作成代理人 行政書士 ○○ ○○

         住所  東京都○○区○○…
 
(代理人に依頼した場合の代理人の氏名・住所)

  東京都○○区○○…(相手方の住所)

    ○○ ○○(相手方の会社名)

       代表取締役 ○○ ○○ 殿

クーリングオフは消費者を救済する制度です

   消費者保護の立場から作られたのがクーリングオフの制度です。 正しく理解して、活用するようにしましょう。

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