最低知っておきたい「養育費」のこと

養育費についてどれくらい知っていますか?

   
日本では、毎年25万組以上もの夫婦が離婚をしているとの調査結果があります。

もはや離婚は珍しいことではなくなりました。

子どもがいる場合に、離婚で問題になってくるのは、「養育費」の問題です。

相手にいくら請求できるのか、子どもがいくつになるまでか、もし相手が払えなくなったときにはどうすればいいのか等、知らないことばかりです。

しかし、知らないと泣き寝入りしたり、離婚後に弁護士を入れて話し合いをしたり等、実に悩ましい問題が出てきます。

養育費の前に決めておくことは何?

   
夫婦の間で離婚することが決まり、いよいよ「離婚届」に署名と捺印をする前に、二人で合意しておくべきことが四つあります。

「財産分与」、「慰謝料」、「子どもの親権」、「養育費」です。養育費については、詳しく後述することにして、ここではまず「財産分与」について説明します。

   
財産分与とは、夫婦が結婚生活の中で協力して取得した財産を、離婚時に分けることを言います。

その中でも、婚姻中に夫婦が協力して得た財産の清算(精算的財産分与)が中心です。

基本的には、結婚生活で築かれた財産は、広く「夫婦財産」として分与の対象とされます。

また、実際の分与に当たっては、その財産を形成するのにどれだけ貢献・協力したかという「寄与度」を考慮します。

つまり、実際に金銭的には協力できなかった配偶者でも、家事労働などで生活を支えていた場合には、十分に財産形成に協力したものとして財産分与がされます。

  
 次に慰謝料についてですが、これは主に精神的苦痛に対する代償のことです。

もっと具体的に言うと、離婚の原因となった不貞行為などの不法行為によって、精神的苦痛(損害)を受けた配偶者が、この行為を働いた相手配偶者に対して求める損害賠償金であるとともに、離婚で配偶者としての地位を喪失することからくる精神的苦痛に対する損害賠償金でもあります。

   
最後に子どもの親権です。夫婦に未成年の子どもがいる場合、協議して父母の一方を親権者と決め、離婚届に記載しなければなりません。

ただし、親権と言っても厳密には、「子の『身上監護権』およびその義務」と「子の『財産管理権』およびその義務」の二つがあります。

「身上監護権」には、子どもの世話をして、教育やしつけを一人前のおとなに育ていく養育監護の権利と、未成年の子どもが何らかの契約などをする必要がある場合に、これを子どもに代わって行う法定代理人として権利があります。

「財産管理権」とは、未成年の子どもに、子ども自身の名義の財産がある場合に、これを管理する権利です。

養育費とは何か?

   
子どもが社会人として、ひとり立ちしていくための養育監護は、親として当然の責務であり、親権者であるかどうか、同居しているのか、別れて暮らしているのかにかかわらず、発生します。

実際に子どもを養育していくには、様々な費用がかかります。

たとえ離婚して夫婦関係が解消されても、子どもと親との関係は継続しますから、別れて生活している親には、親権者でなくても養育費を分担して支払っていく義務があります。

かりに親権者となった母親が子どもを実際に養育監護しているときに、母親から養育費が請求されれば、父親は自分が親権者でないことを理由に、これを拒否することはできません。

養育費の支払い方法はどのように決めるか?

  
 夫婦の間に未成年の子どもがいる場合に、養育費について、離婚の際に夫婦で話し合って決めておかなければなりません。

大多数を占める「協議離婚」の場合でも、夫婦間で忘れずに決めておく必要があります。

また、調停離婚でも、養育費に関する取り決めを夫婦双方の合意事項として盛り込んで、離婚が成立する場合が一般的です。

さらに、裁判離婚でも、当事者の申し立てがあれば、離婚の判決に加えて、一方の配偶者に養育費の支払いを命じることができます。

つまり、離婚成立の全てのパターン、協議離婚・調停離婚・裁判離婚で、養育費について必ず取り決める必要があるということです。

また離婚後でも、養育費の分担について話し合うことはできますし、もし当事者間で話し合いがつかなければ、調停あるいは審判を申し立てることができます。

養育費の請求と言うのは、配偶者の権利ではなく子どもの権利です。

その権利を、親権をもった親が代わって主張するという考え方になります。

従って、慰謝料や財産分与と違って時効がありませんから、過去にさかのぼって、一方の親だけが負担していた養育費について、もう一方の親に分担してもらう請求をすることもできます。

 
養育費が子どもの養育監護にかかる費用であるため、子どもが成長してひとり立ちするまで必要になってくるものですが、養育費の支払期限については、大学生になるまで、高校を卒業するまで、成年になるまでと、様々なパターンが考えられますが、これもケースバイケースです。

但し、養育費は基本的に、一括払いではなく、月ごとの支払いにしておくことが一般的です。

これは、まとまった金額を月払いで分割するという「分割金」ではなく、一定期間に一定の金額を支払い続けるという意味での「定期金」と言われています。

 
それでは、養育費を一括払いにすることはできるのでしょうか。

一括払いは、養育費の意味から考えて、一般的には適切ではないと考えられます。

しかし、支払う側の事情によっては、一括で受け取ることも仕方がないとする考えもあります。

もし、そのような場合になれば、子どもの将来をよく考えて、慎重に金額や支払方法を協議しなければなりません。

両者の協議で決定する養育費ですが、将来にわたってかかる費用である以上、月日の経過によっては、子どもを取り巻く環境が変化してくることが想定されます。

離婚時に一括払いの取り決めをして、決められた金額を受け取ったとしても、その後の状況の変化や事情が変わった場合には、改めて養育費の請求ができます。

このような点も考えると、月ごとの支払いにしておいた方が、無難だと言えます。

養育費の金額はどのように決めるか?

   
それでは、養育費の金額はいくら位になるのでしょうか、またいわゆる相場はあるのでしょうか。

養育費の金額をどう決めるのかは、以前は、実費方式、標準生活費方式、生活保護基準方式、労研方式などの色々な計算方法がありました。

しかし、実際に様々な計算方式を考慮して、色々なケースに当てはめようとしても、各々の事情が違っているために、客観的でなおかつ双方が納得できる数値を出すのは難しいということになっていました。

そこで、平成15年に、裁判所は、「簡易迅速な養育費の算定を目指して」と題する論文を発表し、この論文の中で、養育費・婚姻費用を算定する一応の目安を出しました。

この論文は、「判例タイムズ第1111号」に掲載され、公表されています。

   この論文の基本的な考え方は、養育費あるいは婚姻費用を支払う責任のある者(義務者)の収入と、養育費あるいは婚姻費用を受け取る権利のある者(権利者)の収入、さらに扶養する子どもの数、年齢などによって、その基準となる金額を示した表を作成し、それによって金額の算定をしようというものです。

さらに、その表で示された金額に対して、だいたい2万円前後の幅でこれを調整しようという考え方です。

従って、どのような費用がかかってきたか、どのような暮らしぶりかなどは考慮しないで、義務者・権利者の収入を基準において配分するということで、算定されることになりました。

   
具体的な「算定表」は、東京家庭裁判所のホームページに「養育費・婚姻費用算定表」を参考にしてください。

養育費を滞納したら

  
 養育費は、その性質上、定期的に決められた金額が支払われるべきものです。

しかし、定期的であるがゆえに、支払いが滞ったり、途中で支払われなくなったりする危険があります。

そこで、支払いを受ける側は、そのような事態が生じた場合には、強制力を用いて取り立てるか、あるいは裁判所に救済を求めたりして、滞っている養育費を支払ってもらえるような対策を講じる必要があります。

   
しかし、法律の力を借りて強制的に支払ってもらうためには、その前提として、強制力を伴った約束が取り交わせていないといけません。

この約束が記載された文書を、法律用語で「債務名義」と言います。

この債務名義には、当事者自らが「公証役場」に行って作成する「公正証書」と、調停で話し合い、合意された事柄を家庭裁判所が作成する「調停証書」、そして養育費に関する裁判が行われて、地方裁判所が作成する「判決書」・「和解調書」などがあります。

   
もっとも、簡単で確かな方法としては、離婚する当事者が「離婚協議書」を作成し、その中で「子どもの親権」及び「養育費の額と支払期間」を記載した上で、公証役場で「公正証書」にしてもらうことです。

その後、相手方が養育費を延滞した際には、弁護士などの代理人を通じて、財産の差し押さえができます。サラリーマンであれば、給料からの差し押さえが一般的です。

但し、ここで注意したいのが、先に述べた「離婚協議書」の中に、「養育費を2ヶ月延滞したら、○○の財産を差し押さえることに同意する」などの文言を入れておくことです。

こうすれば、延滞した際の「差し押さえ手続き」がスムーズに行きます。

養育費については離婚時にしっかり決めておく

    離婚時に金銭関係について話し合うことは、なかなか厳しいかもしれませんが、弁護士などの代理人を立ててしっかり決めておくことが大事です。

  

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