最低知っておきたい離婚時の「財産分与」のこと

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意外と知らない財産分与

   
不幸にして離婚する場合、よく話題になるのが「慰謝料」です。

マスコミでは、「芸能人○○の慰謝料は2億円」などと報道されることがありますが、離婚時に話し合うべき金銭問題は、慰謝料だけではありません。

実は慰謝料は、財産分与の一部にすぎないということは意外と知られていません。

財産分与とは何?

   
財産分与とは、離婚に際して夫婦が今までの結婚生活で協力して築き上げた財産を分けることです。

しかし、法律的にはもっと広い意味を持っていて、次の四つがあります。

 
一つ目は、婚姻中に夫婦が協力して得た財産を清算することで、これを「清算的財産分与」と言います。

二つ目は、離婚による慰謝料で、「慰謝料的財産分与」と言います。

三つ目は、過去の婚姻費用の清算です。

そして最後に、離婚により経済的弱者となるものに対する財産分与で、これを「扶養的財産分与」と言います。

ここで大事なことは、財産分与の請求権は離婚後2年以内で時効になりますので、注意が必要です。

 
以上のとおり、法律的には4つに分かれますが、ここでは一般的な「財産分与」である「清算的財産分与」について、述べていきます。

財産分与の対象

   
結婚生活の中で、夫婦で築いた財産は、広く「夫婦財産」として一般的に分与の対象になります。

しかし、夫婦が結婚中に協同で築いた財産と言っても、一緒に暮らしていた住宅から、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品、家具、自動車、そして負の遺産とでも言うべき借金まで、実に様々です。

このうち、どの財産が分与の対象になり、どの財産が分与の対象にならないかは、一概には言えずなかなか難しい問題です。

判断の基準としては、それぞれについて夫婦の協力によって得られたものかどうかという点で決めていくしかありません。

一般的に、夫婦の財産は「共有財産」、「実質的共有財産」、「特有財産」の三つに分けられ、前の2つは分与の対象、後の1つは対象外とされています。

   
まず共有財産ですが、これは疑いもなく夫婦が共同で築き上げた財産の事です。

夫婦が共同出資した、あるいはそれぞれ持ち分を決めて購入した家や土地などの不動産がそれに当たります。

また、家財道具なども、不動産のように共同名義で登記していなくても、結婚中に二人が使うことを前提として購入したのですから、共有財産になります。

もちろん、結婚前に一方が購入した家財道具は除かれます。

   
次に実質的共有財産ですが、これは結婚中に購入した、あるいは得た財産で、名義はどちらかであっても、実際には夫婦共有の財産とみなされるものを言います。

例えば、夫婦の共有名義でなく、夫の名義で不動産を購入したとしても、実際には夫婦の協力によって購入しているのですから、実質的には共有財産ということになります。

また、自動車、株等の有価証券、ゴルフ会員権なども同様です。

最後に特有財産ですが、これは夫婦がそれぞれ、結婚前から持っていた財産であって、単独で所有している財産のことです。

また、結婚後であっても相続などの特別な理由で得た財産は、夫婦それぞれの固有財産となりますから、特有財産です。

また、妻が結婚するときに持ってきた嫁入り道具や、結婚前に貯めていた預貯金、独身の時に使っていて結婚時に持ってきた家電製品なども特有財産です。

さらに、結婚前から不動産を所有していて、そこから結婚後に得られた家賃・テナント料なども特有財産になります。

先に述べたように、これら特有財産は財産分与の対象とはなりません。

紛争の多い財産分与

   
前述したように、特有財産は財産分与の対象でなく、共有財産・実質的共有財産は対象となるわけですが、それでもちらか明確にできない財産も少なくありません。

   
まず、配偶者の経営する会社名義の財産です。

夫婦片方が会社を経営しているとき、この配偶者と、その配偶者が経営している会社とは法人格も名義も異なりますから、会社名義の財産は、財産分与の対象にはなりません。

しかし、その会社が株式会社であれば、配偶者の持つ株式は財産分与の対象にはなります。

但し、個人経営の会社であれば、事実上配偶者の財産とみなされますので、財産分与の対象になることがあります。

   
次に、退職金です。

すでに支払われている退職金は、基本的に財産分与の対象となります。

なぜなら、それらは夫婦の共同の努力によって得られたものだという考え方があるからです。

では、離婚後に支払われる予定の退職金はどうなるでしょうか。

将来支払われる、といった不確定な要素を含む財産ですから、財産分与の対象とするにはやや難しいかも知れません。

しかし、長年連れ添った夫婦であと数年すれば退職金が確実に受け取れるといった場合ですと、財産分与の対象であるとする判例が存在します。

要件としては、退職金の支給時期まで2、3年程度であること、支払われる可能性が高いこと、夫婦の共同生活が長年に渡っていて、退職金を受け取る配偶者を一方の配偶者が長年支えており、寄与度が高いなどがあります。

ただし、婚姻期間に相当する分が財産分与の対象となりますので、結婚前から働いていた会社の退職金の場合には、全体の勤続期間のうちの婚姻期間が占める割合を基に算定することになります。

  
 次に、負債、借金です。

借金は「負の財産」ですから、財産分与の対象となります。

例えば、結婚している時に不動産を購入してローンを組んだ場合、離婚時に債務が残っていれば、その不動産が片方の配偶者名義であっても、財産分与の対象となり、双方の配偶者が負担することになります。

しかし、車や不動産以外のローン、例えば個人で買った指環のローンとか遊興費のキャッシングの残債とかは、対象外です。

但し、一方の配偶者がローンを組んだ際にもう一方の配偶者が「連帯保証人」になっている場合には、対象となります。

   
最後に、資格です。

婚姻中に夫が医者や弁護士など、特定の資格を有する職業を目指し、その間妻が働いて家庭を支えていた場合には、夫は資格を得ることで職業に就くことができたのですから、資格も無形の財産とみなし、資格によって得られた夫の収入は財産分与の対象とみなされます。

財産分与と厚生年金

  
 平成19年4月から「厚生年金法」が改正され、夫婦が離婚した後に受け取る結婚継続期間中の保険料に相当する厚生年金は、最大で二分の一まで、夫婦それぞれに分割支給することが可能になりました。

但し、支給を希望する場合には、離婚後2年以内に社会保険事務所へ請求しなければなりません。

改正前は、夫婦の各名義分だけしか支給されませんでしたが、この改正により夫婦の支給額を合算して二等分した額を、夫婦がそれぞれ同額ずつ受給できるようになったのです。

この分割の割合は、夫婦で合意するか、あるいは裁判所の決定に従うことになります。

厚生年金の場合、妻よりも夫の受給額が多いのが一般的です。

特に、妻が専業主婦であれば、かなりの差額でした。

この分割受給が認められたことで、専業主婦はもちろん共働きの妻も以前より受けとる年金の額が上がることになりました。

ただ、ここで注意してほしいのは、分割受給できるのは、元夫の受給開始時ではなく、本人の受給開始時だということです。

また、元夫が死亡した後でも、妻には分割された年金は支給されます。

財産分与の割合

   
具体的に財産をどのような割合で分けるかという点については、基本的に婚姻時の形成した財産に対する寄与度によるというのが、以前の考え方でした。

従って、個々の夫婦の生活実態によって、個別にその割合が決定されるとの見解です。

しかし、現代では妻が専業主婦であっても、共働きであっても、基本的には半分ずつとするのが裁判所の考え方の主流です。

その上で、双方の職業の特殊性などを加味して、個別に調整するということになります。

財産分与と税金

   
遺産を相続する際に、一定以上の財産を取得した場合には相続税がかかります。

また、サラリーマンの給料にも所得税がかかります。

さらに、たとえ親からであっても、一年間に110万円以上をもらえば、贈与税がかかります。

それでは離婚の際に配偶者から財産を分与された場合、税金はかかるのでしょうか。

   
まず、現金で分与した場合には、税金はかかりません。

支払う側に課税されるのは、現金以外で分与した時です。

例えば、土地や家などの不動産が分与された場合には、「譲渡取得税」が課税されます。

ただし、居住用の不動産が分与された場合には、税金が軽減されます。

具体的には、譲渡した不動産が居住用であったとき、3,000万円を限度して特別控除されます。

つまり、課税されません。

   
離婚に伴う財産分与で取得する財産は、贈与される財産ではありませんから、基本的には「贈与税」は課税されません。

但し、分与された財産額が社会通念上、明らかに大きかった場合には、その過分な額については、「贈与」されたとみなされ、贈与税が課税されます。

財産分与は基本的に半々で分けられる

   たとえ専業主婦であろうと、妻の「内助の功」で夫が働き、財産形成ができたという考えから、基本的には夫と妻で半分ずつに分けるのが一般的です。

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