生命保険に加入する必要性とは? 保険会社が存立する条件とは?

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保険会社、保険商品、保険金、保険料…すべて違って見える不思議な世界

日本で営業している生命保険会社は、41社あります。

その内訳は38社が「国内生保・外資生保」、3社が「外国生保」。

38社には、日本生命や第一生命といった「伝統的な」保険会社、ソニー生命やプルデンシャル生命といった「カタカナ生保」、ライフネット生命のような「ネット生保」など、多種多彩な立ち位置が存在します。

残りの3社はいずれも「国内に法人登記していない」会社。

つまり、海外に本店があり、日本は「海外事業部の一部」のような扱いで保険セールスを行っています。

これら41社は、保険業法という法律の下、監督官庁は金融庁が様々な規制や保護を行っています。

生命保険商品を扱うのは、この他に「共済」という制度があるのを聞いたことはないでしょうか?

「農協の共済(JA共済)」「全労済」「県民共済」「生協の共済(COOP共済)」などが、よく知られているはずです。

共済も生命保険同様に「根拠となる法律=根拠法」があり、所轄官庁が決まっています。

農協共済は、農林水産省 が所轄官庁で、全労済・県民共済・生協の共済は 厚生労働省 が所轄しています。

こうした保険会社は、外から見れば「保険」を販売しているだけの存在であり、大都市の一等地に大きなビルを所有するだけ「儲かっているのだろう」と思われがちです。

では、保険商品 についてはどうでしょうか?

「定期保険」「医療保険」「貯蓄保険」…様々な名詞が付く保険・保険・保険…

中には「ずっとスマイル」「たのしみワンダフル」「こだわりガン保険」など、ネーミングが付いた保険商品や、キャッチコピーがある保険商品など、とにかくたくさんの商品が世の中にありそうです。

これは、裏を返せば「保険商品は親しみがない」証拠でもあります。

では、保険金 についてはどうでしょう?

死亡保険金はどんなに少なくても200万円、多ければ7,000万円〜8,000万円といったものから、会社経営者向けに2億円、5億円といったものまで多数用意されています。

ただ、実際に死亡保険金を自ら手にして生きている人は、どこにもいません。

保険金は「遺族」に渡されるもの。

ですから、保険の対象者(被保険者)の死亡で、実際に保険金が支払われることで、遺族は「保険金のありがたみ」を感じるわけです。

ですが、不思議なことに「保険金を受け取らない方が、もっとよかった」(つまり、もっと長生きして欲しかった…)と悲しむ 保険金受取人(遺族)もかなり多く存在します。

ここに、生命保険の矛盾というものが初めて出現します。

「もし、自分が死んでしまったら…」という想像をして、生命保険に加入する人。

「生命保険金が、残された妻や子供の生活資金の一部になるかも…」と考えて、商品を選ぶ人。

そして、実際に保険金を手にした遺族は、現実の世界に引き戻されます。

もう、会社に行って毎月給料を振り込んでくれる主人はいない、だから、このお金を大事にしよう…

生命保険に関わる人それぞれが、人生における「不思議」と「矛盾」に常に対面して生きていかなければならないのです。

保険外交員は「人気がない」職業。それはなぜか?

さて、ここまで「保険会社」「保険商品」「保険金」などについて、記してきました。

今度は、保険を販売する「保険外交員」について、述べていきます。

転職情報サイトで大手の「DODA」(株式会社 インテリジェンス)では、2015年11月、全国の20歳から59歳の男女を対象に ネット調査 を行った結果を発表しています。

これによれば「なりたい仕事」は 1位が医師、2位がエンターテインメント、3位以下 スポーツ関係、パイロットや鉄道運転士、研究職…と続きます。

では、保険外交員についてはどうでしょうか?

残念ながら、転職斡旋企業や、求人サイトなどでは「不人気な職業」という項目は一切ありません。

が、保険外交員は「人気職業」では決してないことがわかります。

理由は、どの保険会社も常に「求人」を出していることです。

もし、あなたがDODAやリクナビといった転職サイトに登録した場合、かなりの確率で保険外交員の求人がメールされてくるでしょう。

職場で加入が斡旋される「特定の生保会社」、あるいは友人知人の紹介で自宅に訪れる「保険外交員」。

その多くは女性が担当者の時代が長く続きましたが、最近は男性外交員もずいぶん増えているのが実情です。

男女とも営業職として大量に募集されている、ということは、常に離職する人が絶えない、という証拠でもあります。

離職率の高さは、その業界の不人気度を物語ります。

例えば、こんな例があります。

・しばらく音信不通だった、学生時代の友人から連絡があり、会ってみれば「保険の勧誘」だった。

・会社で有無も言わさず、指定された保険会社の外交員から、加入手続きにサインさせられてしまった。

・一旦加入した保険、これが数年ごとに「新しい商品が出た」と外交員に聞かされ、加入しなおしている。

・今加入の保険証券を、別の会社の外交員に見せると「これは変えるべきだ」と決めつけられた。

どんな人でも、一度はこんな経験をしているのではないでしょうか?

ここから読み取れるのは、保険外交員の個人的な問題は別として、「保険会社の営業方針」が、一般顧客の目から見て、かなりかけ離れていることが理解できます。

つまり、保険会社は「一般人には保険商品の内容など、わかりっこない。だから、なんとかして売り込んでこい!」といったスタンスがあることで、保険外交員の好感度を下げていることが立証されるのです。

「生命保険商品」は、金融庁認可商品。基本的に悪い商品などありえない

生命保険に加入することは、正しいのでしょうか?

そもそも、生命保険に加入することは必要なのでしょうか?

この2つの命題について、日本の生保会社は長い間一般社会に訴求することはありませんでした。

よく知られているのは、GNPという生保会社の営業姿勢です。

G=義理、N=人情、P=プレゼント という「格言」がありますが、人は目に見えない商品を買う場合、外交員の「つきあい」、「泣き脅し」と「プレゼント」で陥落する…という世界が続きました。

日経ビジネスONLINE 2015年9月9日版 では、記者の眼 と称する記事が掲載されています。

「再編時代を一度も経験したことがない生保業界」という文章の中身は、日本生命保険 が 三井生命保険 を買収したことを取り上げ、今後の再編があるかどうか…という記述からはじめており、実際には海外生保買収は行われるが、国内再編は消極的、という論拠と、損保系生保の躍進を述べています。

ここで注目したいのは、そもそも生命保険会社は誰が「売り上げを担っているのか」という視点と、「どの会社のどの商品がベストセラーなのか」といった観点が文章には全くない、ということです。

通常、企業の合従連衡には「企業同士の得意分野」を伸ばし、「不得意分野を補強しあう」といった効果を狙うものです。

ですが、第一生命の社長やマニュライフ生命の社長自らが「今度我が社が売り出した⚫︎⚫︎保険は…」といったアナウンスはまず発表されません。

自動車会社なら、社長自らが新車発表会でニューモデルの脇に立って、車の説明をするでしょう。

製薬会社でも、新薬発表の際にその内容を自ら公表するのが普通です。

では、生命保険会社ではなぜそれがないのでしょうか?

そこが、生命保険という商品の一番の「謎」と言えるものです。

結論から言えば、生命保険の商品は、金融庁が認可するのであり、毎年新しい商品が開発されても、採用されるのはわずか5%程度と言われます。

そして、認可に必要な書類は、一つの保険商品だけで「軽トラック1台分」ほどになり、金融庁職員はその全てに目を光らせます。

その結果、日本の生命保険は「定期保険」「養老保険」「終身保険」という3つの基本形以外には認められていません。

これはあくまでも「形」であり、保険商品の固有名詞ではありませんが、事実上41社ある国内の生保会社はおしなべて認可された商品しか販売できず、その結果「どの会社も似たり寄ったり」の商品しか販売していないのが実情なのです。

個人客向けには、「死亡保障」と「医療保障」をメインに商品設計・販売。

法人向けには「将来受け取る退職金の積立」目的の商品をメインに販売する生保会社。

その他は、銀行などで販売する「資産運用」の商品、と大まかに3つのパターンしかありません。

ですから、保険会社全て、商品内容に極端な差は生まれないのです。

生命保険は「必要だから加入」となりにくい、日本の事情

生命保険の加入について、日本と海外とを比較する識者がいます。

日本人の生命保険加入率は90%(共済も含め)、世界第一位。

アメリカでは、年金制度や医療保険制度は基本的に「自己責任」であり、保険会社の運営についても、民間の手に委ねられている。

中国では、理財保険(貯蓄保険)の考え方が強く、死亡保障のための保険はなかなか売れていない。

こういった様々な情報を元に、日本人の「死」と「自分の死後の遺族の身の振り方」まで考える保険需要は、世界でも特別なもの、とされています。

ですが、ここでよく考えてみたいのは、保険をめぐる時代背景と社会環境の変化です。

もともと、日本では生命保険の需要が急に増した、という時期は実はありません。

保険が必要になったから、人々に売れた…のではなく、国の政策の一つに「雇用対策」があり、結果として保険が売られた、ということになりました。

1945年の第二次世界大戦終結は、日本の敗戦で幕を閉じます。

日本人男性は兵役に取られ、200万人以上が命を落とし、戦後に多くの未亡人が仕事を求める窮状となりました。

国では、こうした寡婦(かふ=未亡人)に生命保険を販売してもらうように、保険会社に要望し、男手を失った経済困窮の実態を知る女性が、懸命に生命保険の重要性を訴えて、販売に貢献したのです。

この時代、日本は大変な時代でした。

ですが、人々は保険について、その大事さを理解できたのです。

1950年代から1960年代の高度成長期、生命保険は飛躍的に加入数を伸ばします。

それは、保険会社の資産を増やすことに大きな影響を与え、1970年代から1980年代まで、日本の生保は「機関投資家 《ザ・セイホ》」として、アメリカの株式市場で大商い、不動産市場ではニューヨークの名だたるビルを買収するなど大きなジャパンマネーの象徴となります。

この時代、人々は付き合い保険に加入する「余裕」がありました。

また、養老保険や終身保険といった「貯蓄性のある」保険商品も、満期時期や解約した時の戻り金(解約返戻金)の額が、支払った保険料(掛け金)よりも大幅に増加していたことから、利率のいい投資商品の感覚で加入していたのも事実だったのです。

そして、バブル崩壊後の今日、生命保険業界ははじめて「必要性があるから、加入する」という商品購入の普遍的な動機にやっと着目していきます。

自分が必要な保険金額は、いつ何時いくらくらいなのか?

国の年金(遺族年金)や医療保険制度で賄われるもの、金額はどのくらいか?

そういった情報を提示し、補填額が必要な場合にのみ、保険商品を販売する…

そうした生命保険がようやく出現し、販売される時代は、従来の歴史ある国内生保ではなく、他業種から参入した新規国内生保と外資系生保の合弁による「ソニー・プルデンシャル生命保険」がはじめてです。

現在の国内生保、外資系生保とも販売ツールは異なりますが、各社とも「顧客のニーズ」を聞き取り、それに合わせるような保険設計を行うのが主流になり、その他は医療保険だけ、がん保険だけなどん専門保険を販売する会社などに分かれているのです。

それでも、2016年現在、生命保険は「難しい商品」と考える一般市民が大多数なのは、事実です。

誰しも、自分の生涯を予測して、収入や損失を計算するのは難しいことでしょう。

日本の場合、とりわけ年金や医療保険など、様々な制度があることも、事実。

つまり、社会環境に「守られる」という状況があるからこそ、保険の必要性を明確に叩き出し、外交員にコンサルティングしてもらう状況には、まだまだ遠いのが実態なのです。

 

保険会社が生き残る方法は、ひとつだけ

では、最後に保険会社が存立できる条件をまとめましょう。 それは、永遠に顧客を加入し続けることであり、商品は「定期保険」を売り続けることです。 生命保険は、今日加入して一ヶ月後に死亡しても、20年後に死亡しても保険金が受け取れるもの(だとしましょう)。 もし、20年を待たずに保険会社が破綻しては、意味がありません。 保険会社とすれば、多くの加入者から保険料(掛け金)を集め、そのうちのどれくらいの人が保険事故(死亡)対象となり、保険金の支払いに当てられるのかを推測します。 それが「生命表」「死亡率」と言われるものです。 加入者の多くが50代ならば、20年後30年後に保険金支払いがどっと訪れます。 20代もいる、40代もいる、70代もいる…適度に被保険者が散らばっていれば、保険金支払い事例は毎年変化が少なく、会社経営にも問題は生じません。 そして、定期保険とは「一定期間内だけの死亡保障」を言います。 10年間だけ、60歳まで…こういった保険の場合、死亡率が圧倒的に高い70代後半から80代〜に多額の保険金が支払われる保険は、保険会社の体力を消耗させます。 ですから、保険は「必要な時に必要な分だけの保険金」を受け取れる保険商品にすべきで、保険会社からみれば「定期保険」を数多く売れば、掛け捨てで死亡しない人の方が多いために、結果的に「使わない保険=保険金を支払わない事例」が多くなり、利益が増加する、ということになるのです。 生命保険の加入は、加入者も会社もこうした論理的な判断で、割り切って加入するのが唯一正しい方法と言えるのです。

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