「習慣」の利益と損失とは?‐「機会費用」の概念

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経済学の世界で有名な「機会費用」の考え方を理解しよう

「機会費用」や「機会損失」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?学生時代に経済学を学んでいたという人には、それなりに馴染みのある概念だと思います。

実はこの概念は、経済学初学者にとって「限界」という概念と並んでこれまでの価値観を一変させる考え方となる場合もあるのです。

「お金」について学ぶ場合でもこの概念は非常に重要ですので、これを機会に覚えておいて損はないでしょう。

「機会費用」・「機会損失」とは?

 
経済学を学び始めた人が初期に学ぶ概念に「機会費用」があります。

これは、人間がある行動を選ぶことによって「失われてしまう」他の選択可能な行動のうち、「最大の利益」を示す概念です。

つまり、人間が複数ある選択のうちの一つの意思決定をして、それを行動に移した場合に、実際には選択しなかった他の選択肢は当然ながら実現されません。

その選択しなかった行動を仮に行った場合に得られたであろう利益が犠牲になっていると考えるのです。

一般的に「機会費用」は、私達が日々沢山の意思決定をする中で、現実として行動する全ての選択肢の実現は不可能であることから生ずるものです。

したがって意思決定について考える上では非常に重要な考え方となります。
 
わかりやすい例を挙げると、たとえば「ニート」の人は仕事をする能力があるのに働く意思がないわけですから、本来であれば働いて得られる筈の収入という機会費用を失っていると考えるわけです。

また資産を運用するという場合でも、優良物件に投資せずにごく平均的なパフォーマンスしか得られない物件に投資することによって、収益面での機会費用を失っているということになります。「機会損失」などといったりします。
 
これは必ずしも「他にもっとよい選択肢があるのに、それを選ばなかった」ということだけを意味しません。

逆に「より悪い選択肢を選んでしまったために、何もしないよりもマイナスになってしまう」ことも考えられます。

その場合は、現状維持またはマイナスの選択肢以外の選択肢で最もパフォーマンスの高いものが「機会費用」となります。 

後者の意味での「機会費用」に関連して、代表的なものに「悪い習慣」や「悪癖」の損失が挙げられます。

悪い習慣や悪い癖は、私達の思っている以上にマイナスの影響を及ぼしていることが多いのです。

「悪習」・「悪癖」の損失は?

 
たとえば、海外の事例ではありますがこんな調査があります。アメリカの国立健康統計センターによれば、アメリカ人の3分の2が基準の体重を超えているか、肥満であるという結果が出たそうです。

さらにはアメリカ人の4人に3人は2020年までに体重過多か、肥満になるという予測すらあります。
 
そして、なんと一生のうち肥満になると男性は年間にして約4800ドル、女性は2600ドルもの余計なお金がかかるというのです。

日本円にすると、なんと男性は約「55万円」、女性は約「30万円」もの年間費用がかかっているということになります。

無論、我が国はアメリカほど肥満国家ではありませんし、日頃の食事も比較的ヘルシーなものが多いですからここまで余計な費用がかかっているということはないでしょう。

しかし、さらに重要なのは、肥満は「命」にも影響を与えてしまいます。肥満によって健康を損なってしまった結果、短くなる「命」の費用はいかばかりでしょうか?

 実はこれもアメリカで調査されており、先ほどの肥満の費用結果に上乗せすると、アメリカでは男性で年間約8400ドル、女性は約6500ドルにもなるという、さらに衝撃的な数字が出ています。

日本円にすると男性は年間92~93万円、女性では71~72万円にもなります。

これほどの「機会損失」を出してしまっているのです。
 
しかし残念ながら、このような統計があっても心を新たにして食べ過ぎをやめたり、もっと運動をしたり、果物や野菜を多めに食べようとする人は多くないそうです。

しかしこのような「悪癖の損失」を具体的に認識することで、改善のきっかけとすることは非常に重要です。

まして病気にならず健康になった身体でバリバリ働いて所得を挙げられるとすると、健康を害してしまったことによる「機会損失」はどんどん増大してしまいます。
 

「中毒」の「機会損失」

 世の中には様々な「中毒」が存在します。最も深刻に私達の生活に悪影響を及ぼすのは「薬物中毒」だと思いますが、それ以外にも「アルコール中毒」や「カフェイン中毒」、あるいは「ネット中毒」などという言葉もあります。

「中毒」による「機会損失」の例として、ここではタバコによる「ニコチン中毒」を挙げてみましょう。
 
仮に各種タバコの平均金額を450円として、1日に1箱吸う人がいると仮定します。

そうすると、1週間で3150円となり、1年間では164250円となります。

タバコを1日1箱吸うと、1年で約16万5000円の損失となるのです。
 
さらに、タバコのせいで5~8年ほど寿命が縮むというデータがあるので(これはもちろん科学的に証明されたものではないですが、あくまでも「機会損失」の恐ろしさを伝えるためですので、多少大げさなデータを使うことにします)、仮に5年寿命が縮むと考えると、年収500万円の人ならば単純計算で2500万円もの「機会損失」があることになります。

老後に仕事をしていなかったとしても年金などの5年分の収入が犠牲になっているということになります。

無論、これは計算の仕方やどの程度を「機会」と捉えるかによって金額は大きく変わってくるでしょう。
 
しかし「喫煙」という行為によって様々な損失が生じており、本来であれば得られる筈であった利益を逃していることは事実なのです。
 
たとえばアメリカなどでは喫煙者は非喫煙者の何倍もの生命保険料がかかるという話ですし、それ以外でも余計な費用がかかってしまうのです。

これらも全て喫煙することによる「機会損失」といえるかもしれません。
 
つまり、私たちは普段ほとんど気に留めない「習慣」や「中毒」のために相当な額の「機会損失」を出してしまっているのです。

「時間」も「コスト」‐「機会損失」の恐ろしさ

 
経済学では「時間」そのものも「コスト」と考える場合があります。

たとえば仕事について考えてみると、1日10時間程度働く人がいたとしても、本来「必要が無い作業」などに一日のほとんどを費やしてしまっているとすれば、その時間を使って会社にとって、または自分自身のビジネスにとって重要な仕事をしていた場合の「機会損失」はかなり深刻な話になるでしょう。

実は多くの人が、特に中身のない会議や作業などに仕事の時間を使ってしまっているという統計があります。

 しかも無駄な作業のために、本来やるべき仕事が業務時間内に終わらず残業してしまった場合、大切な家族との食事も取れなくなるかもしれませんし、睡眠時間すら削ることになるかもしれまぜん。

それによって家庭や健康を壊してしまった場合の「機会損失」は計り知れないことになるでしょう。
 
当然のことですが、「時間」は決して取り戻すことができないものであり、有限なものです。

それゆえに「時間」を失うということは相当の「機会損失」を被るということがあります。

日常的にこういうことを意識しなければ、知らず知らずのうちに深刻な「損失」を被っていることに気づかないかもしれません。
 
たとえば要領の得ない長ったらしいメールを出す人がいます。

実はそのような読むのに非常に時間のかかるメールは相手の「時間」を奪っている場合が多いのです。

特に相手が一日に数十万円も稼ぐような人だった場合、その「機会損失」は相当な額になる筈です。

また、自分自身も無駄に長いメールを書くことで「機会損失」を被っていると考えることもできるわけです。

「コスト」を浪費していたと気づくことで、自分の生活もより効率的でパフォーマンスの高い行動に変えていくことができます。

「機会損失」を知ることで「レバレッジ」を知る

「レバレッジ」とは、本来は経済活動において、他人の資本を使うことで自己資本に対する利益率を高めることなどを意味します。
 
しかし一般的に「てこの原理」という意味でも使う場合が多いです。

たとえば自分の仕事の「機会損失」を減らし、長期的に効果の上がる仕事に「特化」することで将来的に何倍ものリターンを得られるようにする戦略を立てたりする場合に「レバレッジ」という考え方を使う場合があります。

つまり少数の「投資」で何倍もの「リターン」を得られるように行動することを考えるということです。

少ない労力と時間で、大きなリターンを得るためにはどういう行動をとるべきか、これを考えることはある意味仕事の基本であるといえるかもしれません。

同じ努力をするのであれば「てこの原理」を使ってより大きな成果をあげましょうという考え方ですね。

このあたりは「証券投資」に関する記事で触れていくつもりですが、別に投資以外でもこの考え方は非常に有用なのです。
 
このように「機会損失」ということを意識すると、どうやったら効率的に損がなく、最大の効果を発揮できるようになるかを考えることに繋がります。

このような考え方の癖を身につけることで、自らの生活を改善していくことが大切です。

自分の行動の「機会費用」を知り、「損」を減らし将来的な「得」を増やそう

経済学はどうしても「机上の空論」という謗りを受けることが多いです。 しかし、日常的に応用できる概念が沢山あり、これらについて学ぶことで私達の生活を向上させていくことができます。 特に「機会費用」の概念や「時間」をコストとみなす考え方はビジネスをする上で非常に重要です。

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