様々な例で考える「満足感」と「お金」の関係

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様々な業種の人々や歴史上の人物を通じて「満足感」について考えよう

 皆さんはそのような時に「満足感」を感じるでしょうか?好きなことをしている時でしょうか?

長い間目標としていたことが実現したときでしょうか?どのようなシチュエーションにせよ、人間が「満足感」を得るにはある程度の条件が必要となり、それは人によっては微妙に異なることは容易に想像がつくでしょう。

しかし常日頃から「お金」に対するアンテナを張っている人なら「満足感を得ながら富を蓄えるにはどうするか?」という問いを一度は自分にしたことはあるのではないでしょうか?
 
そこで今回は、さまざまな「満足感」に対する考え方を参考にしながら、「富」や「お金」との関係を考えてみたいと思います。

「オタク文化」と「満足感」

 
自分のビジネスをもっていたり、普通に働いて集客をしている人間にとっては驚くべき数字があります。それは集客に関する圧倒的な数字です。
 
皆さんは「コミック・マーケット」というイベントをご存知でしょうか?

いわゆる「オタク文化」の象徴ともいえるイベントで知っている人も多いかもしれませんが、3日間で  50万人もの人が同イベントに訪れるのです。

これは驚くべき数字です。他の展示会やイベントでここまでの集客力を誇るものはほとんどありません。

なぜそこまで多くの人々を惹きつけるのか詳しいことまではわかりませんが、数字だけを見ると日本屈指の集客を誇るイベントであることだけは間違いありません。
 
ですが、いわゆる「オタク文化」を中心にこのイベントも数年前まではかなり「いかがわしい」業界の代表ともみなされていました。

しかし、そんな海のものとも山のものとも分からない業界でも、徐々に社会的に認知され始め、今では新産業として注目されるまでになっているといいます。
 
しかし知っている人もいらっしゃるかもしれませんが、このイベントに参加する人達の大半は「趣味」で作家活動をしていたりゲームを作っている人達ということです。

つまり趣味の活動が個人的な商売やベンチャー活動に結びつき、お金を動かした結果これほどの規模にまで成長してしまったということでしょう。

しかし中には圧倒的な人気を誇る「同人作家」もいるようですが、大半の人はその活動で生活していけるというわけではないでしょう。

しかし毎年参加しようとする人は後を絶たないといいます。
 
実は、その理由こそ「満足感」にあるのではないでしょうか?
 
たとえば、日下公人氏は「新産業は5年ほどで名前を変え、最初は趣味といわれる。

それを売り出すと『思いつき商売』や『個人商売』といわれ、それが発展すると『ベンチャービジネス』といわれ、同業者が沢山出てくると『産業』だ」という趣旨のことを仰られています。確かにいかなる産業と呼ばれる業種であっても、初めは一個人ないし数人の趣味から始まることが大半でしょう。

このイベントも、初めは少数の趣味の作家さん達がフリーマーケットという形で開催したものが発展してきたものです。

いわば「自己満足」の延長のものであり、そこに明確に「営利」を考えた人はほとんどいなかった筈です。

むしろ趣味で自分達が深い「満足感」を得ながら、それをモチベーションにして続けてきた結果、今では参加者が大幅に増加し、日本屈指のイベントと呼ばれるまで成長したのです。
 
このように「満足感」は成功の糧となり、最終的には「お金」に結びついて行くという側面があるのです。

事実、同イベントに参加する人達は、過酷なスケジュールにも関らず一様に深い「満足感」を得ているといいます。

そしてその活動を「お金」に結びつけることのできる人も増えてきているのです。
 

「満足感」とクリエイティビティ

 
似たような考え方を持っている人は、いわゆるクリエイティブ業界には多いものです。

たとえば、アドビ・システムズの創業者であるチャールズ・ゲシキーとジョン・ワーノックは、かつて『世界を動かす巨人たち‐シリコンバレーの16人の起業家』という著書の中で、仕事をする上での「満足感」について述べていました。
 
曰く、『プログラマーというのは、たいてい市場をあっと言わせるのを楽しみに働いているんですよ。

こいつはすごい。

百万人もの人間がオレの書いたコードを使うぞって。

初めて、誰かに手を差し伸べられて「握手してください。

あなたのつくった製品が人生を変えた」と言われる。

最高の満足ですよ。

その気持ちが起業家精神本来のものかどうかはわからないけれど、他の何にもまして、はるかに強い動機になっていますね』。
 
このように語っています。

彼らにとって「お金」は後からついてくるものであって、本当の使命は自分の開発物によって世界を変えることだと思って仕事をしていました。そしてそれこそが、彼らの「満足感」の源泉だったのです。

先に述べた「同人」の世界にも、それよりもメジャーな存在であるクリエイティブ業界にも、このような文化が普通にあります。

むしろこのような考え方をしているからこそ、たとえ直接的に「お金」に繋がらなくても深い「満足感」とともに仕事をすることができるのでしょう。

特にクリエイティブ業界はモノづくりが大好きな人達の集まりですから、「お金」を稼ぐことよりも自分の目指すものを作り上げることに主軸を置いている人ばかりです。

そういう人達こそが、むしろ「金儲け」だけを目指す人々よりも長期的に見て成功する人が多いのです。
 

「名誉」はお金になるのか?

 
「満足感」と深い関係のある概念に「名誉」があります。

たとえば、些か即物的な例ですが、「地位」は人間が「名誉」を感じる最もわかりやすい例です。事実、世の中に「地位」の獲得に人生の全てをかけるような人すらいますが、実はこれは現代だけの話ではなく、様々な国の歴史において「地位」が売買されているのです。

そして我が国の歴史においてもそれは例外ではありません。
 
たとえば「今昔物語」には「東方より、栄爵尋て買はむと思いて、京に上がりたる者」という箇所があります。

これは関東から称号欲しさに京に上った男が、妻を鬼に殺されてしまって逃げ帰るという話です。つまり位階を得るために京都に夫婦でやってきているのです。

この時代のお金持ちは地元で財を成すと、京都に官職を求めてやってくる人が多くいました。

無論、当時は位階を売買する制度があり、お金で買えるのは9番目の五位の位階まででした。

四位以上は貴族しか貰えません。官位は当時の社会における社会的ステータスであり、朝廷の公事に参加することによって、社会的な充足感を得ることもできたのです。今も昔も「名誉」や社会的ステータスのためにお金を払う人は一定数いるということです。
 
ただし、歴史を学んでいると気づくことがあります。それは「お金を持っているかどうかで歴史に名を残した人はいない」という事実です。

歴史上、有名なお金持ちのほとんどは、その豊富な資金を使って社会に何らかの貢献をした人です。

つまり、自分達の国や世の中に貢献することこそが「名誉」であると考えた人達ということです。
 
たとえば白石正一郎という人物がいます。

彼は幕末に財を成した商人ですが、鈴木重胤から国学を学び、西郷隆盛などとも親交がありました。

後に尊皇攘夷の志に強い影響を受けて、高杉晋作、久坂玄瑞らの長州藩士を資金面で援助したのです。また、若き日の坂本竜馬も白石の世話になっています。

 幕末維新は高杉晋作が決起したことから徐々に広がって行くわけですが、当時の彼は完全な脱藩浪人であり資金もありません。

それでも国を変えねばならないという志だけで動いていました。

そんな高杉の志にうたれて白石は資金面での援助を惜しみませんでした。

その結果、高杉達は再度立ち上がり、長州藩で実権を握ることに成功します。

それからの歴史は私達が教科書でよく知る通りです。

結果的に、白石は世界史の奇跡といわれる「明治維新」を資金面で支えた人物として有名になりました。

彼自身の志と行動が歴史に名を刻んだのであって、彼が単に「金持ち」だったからではありません。
 
またシュリーマンという人物もお金持ちだったのですが、その名は考古学の世界において有名になりました。

かの「トロイの木馬」を発見したことで知っている人も多いと思います。

彼は考古学調査の資金を工面するために事業を興して成功した人物でした。
彼は金持ちになることが目的ではなく、あくまでも考古学をやりたいという一心で資金を用意しただけなのです。

彼を単純に事業で成功した「お金持ち」として取り上げる人はまずいません。

世界的な「発見」をした考古学者として歴史に名を刻んでいるのです。
 
このように、単に「お金」を持っているからというだけでは何の意味もありません。

一見「名誉」に思われるようでも結局は、豊富な「お金」を使って何を成したかということが重要なのです。

それによって初めて「満足感」を得ることができるわけで、その場合は「お金」というのが所詮手段でしかないわけです。

「欲求」と「満足感」について

 
心理学者のマズローは有名な「欲求五段階説」によって、「自己実現の欲求」を最高位の欲求であると位置づけています。

五段階とは「生理的欲求」「安心欲求」「社会的帰属欲求」「社会的評価欲求」「自己実現欲求」ですが、この「自己実現」ができて初めて深い「満足感」を得られるということは、多くの自己啓発の本などでいわれていることです。

また、他人への奉仕を忘れても「満足感」を得られないという心理学研究があります。
 
実際に、自分の好きなことをやったり奉仕の精神で深い「満足感」とともにお金持ちになった人の方が、義務感で仕事をこなしてお金持ちになる人よりも圧倒的に多いという統計結果があります。
 
また、特に「お金」というのは「欲」に結びつきやすいので、単純に「お金」を持つことや「お金」で何かを買うことで「欲」を満たそうとすると、終わりのない迷路に入り込むことになります。

このことを、かのショーペンハウエルは、「お金みたいなものは海水に似ている。飲めば飲むほど、のどが渇くと」というように表現しています。

確かに海水は一応水であるはずなのに、飲めば飲むほど喉が渇いてしまいます。

要は「欲」というのは尽きることがないということの例えなわけですが、うわべだけの「欲」を満たすために「お金」を使い出すときりがないのです。

そこに真の「満足感」はありません。

マズローの説に則っていえば、「安心欲求」や「帰属欲求」をひたすら満たし続けるということではないでしょうか?

下手をすると「生理欲求」に近いレベルで欲望の赴くままに消費するなんてことにもなるかもしれません。
 
しかし、高次の欲求である自己実現のためにやりたい仕事をやるようになると、深い「満足感」が得られるようになります。そしてその結果、「お金」が後からついてくるというパターンになるのです。

このような考え方でお金持ちになった人が、そうでない人よりも多く、かつ長続きするというのは厳然たる事実のようです。

「満足感」をどのように得るのか考えよう。

人間は常に「満足」を追い求める生き物です。しかしやり方やプロセスを間違えると、ひたすら自分の「欲」に振り回されることにもなりかねません。 うわべだけの「欲」に振り回された結果お金持ちになったとしても、多くの場合長続きしないようです。  むしろ「名誉」や「人生の目的」に殉じた人々の方が、高い「満足感」を得ながら生きていたといえるのではないでしょうか?「 お金」は所詮手段であり、目的ではありません。人生の目標を意識しながら、その手段として富を作り上げるにはどうすればよいのか考えるべきだと思います。 ※参考文献一覧 日下公人(2003)『5年後こうなる』PHPソフトウェアグループ. 日下公人(2011)『日下公人の発想法 いま、日本が立ち上がるチャンス!』ワック. ラーマ・D. ジェイガーほか著(1998)『世界を動かす巨人たち―シリコンバレーの16人の起業家』トッパン. 町田洋次(2004)『「経済」で考える力がつく本―お金の流れを知れば仕事の急所が見えてくる』成美堂出版. A.H. マズロー(1987)『人間性の心理学―モチベーションとパーソナリティ』 小口忠彦訳,産能大出版部.

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