これだけは知っておきたい「自動運転システム」のこと

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「自動運転システム」の将来性は?

    
人間なしで運転できる「自動運転システム」の開発が、各国盛んになっています。

今までの交通環境が劇的に変化する可能性があります。

「自動運転システム」の将来性を考えてみましょう。

「自動運転システム」とは?

   
「自動運転システム」とは、人間の運転なしで走行できる自動車のシステムのことです。

また、そのシステムで走行できる車を「自動運転車」と言います。

自動運転車はレーダー、LIDAR、GPS、カメラで周囲の環境を認識して、行き先を指定するだけで自律的に走行します。

過去には、道路に磁気マーカーを埋め込む方式も開発されていましたが、道路にマーカーを埋め込むコストがかかるためほとんど普及していません。

そのため現在では、基本的に車のセンサー主体で自動運転できる自動運転システムの開発が中心となっています。

マーカー方式は、ガイドウェイバスとしてIMTSが過去に国内で運行していましたが、現在国内では運行していません。

    
すでに実用化されているロボットカーとしては、イスラエル軍で運用されているあらかじめ設定されたルートをパトロールする無人車両や、海外の鉱山、建設現場などで運用されているダンプカーなどの無人運行システム等があります。

公道以外の限定された環境(鉱山、建設現場等)では、ロボットカーの需要が広がりつつあり、建設機械大手のコマツ、キャタピラー等の企業がロボットカーの販売を拡大しています。

一方で、一般人が公道で走行できる自動運転車は、ジュネーブ道路交通条約で常時人間の運転が必要であると定義されており、法的にも規制されているため、現在ではどこの国でも発売されていません。

「自動運転システム」のメリット

   
「自動運転システム」のメリットは、以下のとおりです。

    ・交通事故の減少。

     人間のとっさの状況判断には限界がありますが、自動運転車は種々のセンサー(可視光や赤外線、音響、超音波)や、パッシブ、アクティブ両方のレーザーやLIDARによる360度視界により、危険性を素早く察知し、回避行動が可能になります。

反応速度も人間を上回る人間ドライバーによる車間距離の詰め過ぎ、わき見運転(事故見物)、ながら運転、乱暴運転による事故の回避が可能になります。

    ・車間距離短縮による、道路容量の増加と、より優れた交通流量の制御。

    ・乗員の運転や道案内からの解放。

    ・最高速度規制の緩和。

    ・乗員に制約がなくなる(子供や老人、無免許、全盲などの障害者、酔っぱらいなどでも乗れる)。

    ・駐車場不足の緩和(乗員が降りたあと、無人で遠くはなれた駐車場への駐車が可能、必要なとき呼び戻せる)。

    ・カーシェアリングによる自動車総数の削減。乗客を目的地まで運んだあと、別の乗客を乗せて別の場所へ行くことが可能。

    ・自動駐車による物理的駐車スペースの削減。

    ・送迎や車を修理に出す場合に無人運転が可能で無駄な乗員を無くせる。

    ・自動車保険や交通警察の必要性が減る。

    ・物理的な道路標識の削減。自動運転車は電子的に必要な情報を受け取れる。

    ・乗り心地の向上。

    ・車両の認識能力向上による車両盗難の減少。

    ・ステアリングやその他の運転装置をなくすことで、キャビンが広くなる。乗員を進行方向に座らせる必要もなくなる。
 

自動運転システムのデメリット

   
「自動運転システム」のデメリットは、以下のとおりです。

    ・トラブルへの懸念と起こった場合の対処。

    ・ソフトウェアの信頼性。

    ・通信によって車載コンピュータに不正アクセスされる可能性。

    ・マニュアル運転が必要になるケースでのドライバーの運転経験不足。

    ・衝突不可避の状況で、自動運転車のソフトウェアが複数の事故コースのどれを選択するのか、トロッコ問題に類似する道徳的問題。

    ・制度上の問題。

    ・損害賠償責任。

    ・自動運転車の法的枠組みと政府規制の確立。

    ・「ドライバーが不要になる」事による問題。

    ・車を運転することを奪われることへの個人の抵抗。

    ・運転に関わる職業がなくなる。

    ・職業ドライバーやその組合の仕事を失うことへの抵抗。

    ・技術的限界。

    ・天候の影響を受けやすいナビゲーションシステム(2014年のグーグルのプロトタイプ車は雪や豪雨で走行できない)。

    ・自動運転車には高精度の特殊な地図が必要になるかもしれない。地図が古くなった場合、合理的な挙動にフォールバックできる必要がある。

    ・警察や歩行者などのジェスチャーや合図に自動運転車が適切に対応できない。

    ・自動車の無線通信に使用する周波数帯域の確保の問題。

    ・社会への影響

    ・プライバシーがなくなる。

    ・爆発物を積んで自動運転車を爆弾化される可能性。

日本の自動運転システム開発

    
日本における「自動運転システム」は比較的長い歴史を持っています。

1980年代にはすでに車線を認識し走行するシステムを試作していました。

実用化し市販されたものはほとんどなかったものの、各社で研究は継続され、現在のスバルのEyeSightなどにつながっていきます。

しかしながら、2010年代に入り、欧米、特に欧州の自動車メーカーで開発が進展し、また米国でもグーグルが街中で試験走行を行うなど、法整備の遅れた日本は出遅れてしまいました。

    
実際、トヨタが2013年10月に首都高で許可を得た上で自動運転を実演したところ、「手放し自動運転」は違法ではないかと大問題となりました。

危機感を抱いた国土交通省では、自動運転システムを「オートパイロットシステム」と呼称し、検討会を2012年から開始し2013年に中間とりまとめを発表しました。

法制度の問題については、国際協調を図りつつ、既存制度の見直しや責任の所在等について検討を行うとしています。

また、2013年には日本政府の成長戦略にも自動運転システムの推進を盛り込み、商用化を後押しする事が決定しました。

    日本の各自動車メーカーの取り組みは、次のとおりです。

   (日産)
     2020年までに自動運転車の発売を目指すと発表しており、公道を走るのに必要な法規制を整備した国から順次売り出す予定です。

現在、日産では、2016年、2018年、2020年と3段階での自動運転機能の商品化を目指しており、2016年末までにはトラフィックジャムパイロット、2018年には高速道路での完全な自動運転、2020年には一般道での自動運転実現を目指しています。

   (ホンダ)
     2020年までに高速道路でドライバーが運転操作をしなくても走行できる自動運転車の発売を目指しています。

   (スバル)
     2014年にアダプティブクルーズコントロール(ステアリングアシスト付き)である「EyeSight (ver.3)」を発売しています。

また、2020年にEyeSightの機能をさらに発展させる事で自動運転車の実用化を目指しています。

   (トヨタ)
     2013年に行われたコンシューマー・エレクトロニクス・ショーで自動運転車を発表したが、安全技術への応用が目的で自動運転車の実現を目指していないと、自動運転車の実用化を目指している他メーカーとは異なり、自動運転車の実用化に否定的な立場をとっています。

また、2013年には2015年を目標に高度運転支援システム「オートメイテッド・ハイウェイ・ドライビング・アシスト」(AHDA) を発売すると発表しました。

AHDAを自動運転車とする報道がありますが、AHDAはアダプティブクルーズコントロール(ステアリングアシスト付き)であり、常にステアリングに手を添えている必要があり、自動運転を行うシステムではありません。

また、2014年に行われた株主総会の質問に対しても改めて自動運転車を商品化するつもりはないと回答しています。

自動運転システムの課題

   
人が関わらない完全な自動運転の実現には、事故が起きた時にだれが責任を負うかなど、詰めなければならない課題が多くあります。

自動運転システムを開発する大手メーカーを抱える日米欧の当局は、こうした議論を始めたばかりです。

   
アメリカで開発を進めているグーグル社に対して、「運転手なしで走る『完全自動運転車』では、人工知能(AI)を運転手とみなす」という見解をアメリカ当局が示しています。

この見解について、日本の国土交通省の担当者は、「これまでよりは踏み込んだ」としながらも、あくまでアメリカの安全基準の「読み方」を示したものだとの受け止め方です。

例えば、ブレーキやアクセルの「ペダルの位置」は足があることが前提で、人間以外が運転手となる場合の適用には、さらに議論が必要であるとしています。

   
法整備だけでなく、「自動運転システム」の実現については、社会全体の合意も必要です。

仮にインフラ整備を公費でまかなうとしたら、車に乗らない人の理解も必要となってきます。

コンサルティング会社フロス&サリバンの森本尚氏は、(国際的な道路交通ルールを定めた)ジュネーブ条約の『車両には運転手がいなければならない』という前提を崩したものではなく、『AIでの運転も認める』とした判断ではないか」とみています。

グーグル社は、運転手なしの車開発が認められたと歓迎していますが、AIを開発する自動車メーカーにとっては、重い賠償責任を突き付けられたとも受け止められています。

「自動運転システム」には、多くの課題がある

    未来の車として、「自動運転システム」は歓迎されていますが、法整備を含めた様々な問題をはらんでいます。

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