「北海道新幹線」に将来性はあるか?

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北海道新幹線を考える

   
北海道新幹線が、2016年3月に開業予定です。

日本の人口が減少傾向にある現在、北海道新幹線に将来性はあるのでしょうか。

北海道新幹線の概要

   
北海道新幹線は、青森県青森市から北海道札幌市(基本計画では旭川市)までを結ぶ計画の高速鉄道路線(新幹線)で、整備新幹線5路線の一つです。

開業後は北海道旅客鉄道(JR北海道)が管轄し、新青森駅で東北新幹線と接続して直通運転を行う予定です。   

全国新幹線鉄道整備法第4条に基づく建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画により、1972年(昭和47年)に北海道新幹線として青森市 – 札幌市間が指定され、1973年(昭和48年)に同法第7条に基づき整備計画(整備新幹線)に昇格し、同時に札幌市 – 旭川市間が基本計画に追加されました。

2005年(平成17年)5月に新青森駅と道南の新函館北斗駅の間(148.4km)が着工されました。

2015年3月には、その区間の先行開業予定日は2016年(平成28年)3月12日が有力と報じられましたが、同年8月には悪天候によるダイヤの乱れを避けるため、雪解け時期が近い3月26日の方向で検討と報じられました。

そして2015年9月、JR北海道とJR東日本は新青森 – 新函館北斗間の開業を2016年3月26日と正式に発表しました。

新函館北斗駅から札幌駅までは、当初2019年度までの完成を目指していましたが、7割以上がトンネルで巨額の費用がかかることなどから、国土交通省の試算により想定される工期が24年間に延びたため、2012年8月の着工を経て、2035年度末の開業を予定していました。

工期が当初の計画より大幅に延びており、地元では工期短縮を国に求めてきました。2014年には国土交通省が工期を5年短縮する検討に入り、2015年1月にこれが決定し2031年(平成43年)春開業予定となりました。

着工時の報道や、北海道の資料によれば、札幌まで開業した場合、新青森 – 札幌間が2時間7分、東京 – 札幌間が5時間1分で結ばれるとしています。

また、北海道経済連合会では、札幌まで開業した場合、大宮 – 札幌間の最高速度を360km/h、途中停車駅を大宮、仙台、盛岡、新青森、新函館北斗の5か所と仮定して、新青森 – 札幌間が1時間19分、東京 – 札幌間が3時間57分で結ばれると想定しています。

なお、2016年の新函館北斗開業時の段階では、東京 – 新函館北斗間を最短で4時間10分程度で結ぶことを目指していることをJR北海道が明らかにしています。

2015年12月18日、JR北海道は東京 – 新函館北斗間を最短4時間2分で結ぶことを発表しました。

 青函トンネル(全長:53.85km、海底部:23.30km)を含む新中小国信号場- 木古内駅間の82.1km区間は、三線軌条による在来線(海峡線)との共用区間です。

この区間は最高速度が140km/hに制限されていることから、北海道や青森県などで構成する協議会は高速化を要望しています。

国土交通省は、北海道新幹線の青函トンネル内での最高速度を、当初計画の140km/hから、200km/h以上に高速化する方法を話し合う有識者会議を開き、すれ違う貨物列車のコンテナが風圧で破損する恐れがあるため、ダイヤ調整などですれ違いを回避し、高速走行する方法を検討しています。

新幹線の最高速度の260km/hで走行できれば、5時間1分を想定する東京 – 札幌間の所要時間は4時間43分となり、18分短縮されます。

共用区間の最高速度が260km/hに向上すれば、投資効果が1.1から1.2になるとの試算をしています。

2012年12月には、2018年春ごろより日本貨物鉄道(JR貨物)とのダイヤ調整を行ったうえで午前中に2時間程度の「新幹線専用枠」を設け、新幹線のうち1日1往復を青函トンネル内で地上と同様に260km/h運転する方針を固めたと報じられました。

その後、2年前倒して2016年3月の開業時より、1日1往復を260km/h運転する調整が始まりましたが、2015年12月に2016年3月の開業時は東京駅 – 新函館北斗駅間3時間台での運転を断念し、最短4時間2分運転とすることが発表されました。

北海道新幹線の特徴

北海道新幹線は、線路上への降積雪対策として、高架橋内の線路脇に雪を貯めることができる「貯雪式高架橋」や、雪を下に落とすことができる「開床式高架橋」を採用しています。

東北新幹線・上越新幹線で採用されている「散水消雪方式」は、低温時にスプリンクラーの水が凍結することを防止するため、新青森駅付近の一部のみに採用しています。

また、氷塊や雪の介在によるポイント不転換を防止する対策として、電気融雪器を設置することを基本としており、加えてJR北海道の在来線で実績のあるピット式ポイントとエアジェット式ポイント除雪装置を設置します。

海峡線との共用走行区間の三線式ポイントの箇所については、電気融雪器とエアジェット式ポイント除雪装置に加え、スノーシェルターを整備しました。ピット式ポイント、エアジェット式ポイント除雪装置、スノーシェルターは、いずれも新幹線の本線用としては初採用となります。
 

北海道新幹線開通後の見通し

新幹線の開業により、航空機から新幹線への転移と潜在的旅客需要の掘り起こしが期待されています。

北海道経済連合会の試算では、2003年(平成15年)には1410万人(その内鉄道輸送のシェアは2.9%。以下同じ)であった関東 – 北海道間の年間交流量が、新幹線が札幌まで延伸されれば1609万人(48%)に、東北 – 北海道間については234万人(42.4%)から364万人(88.4%)に、北海道内は159万人(86.9%)から326万人(93%)になるなどとしています。

このほか、新幹線は航空機に比べて消費エネルギー単価が4分の1、乗客一人あたりのCO2排出量が6分の1であり、気象条件などによる運休(欠航)の可能性も低く、環境政策や安定した輸送力の確保という点でも有益だと言えます。

国土交通省の試算では、新青森 – 新函館北斗間の開業30年後の年平均収益は北陸新幹線に次いで約45億円で、経済効果は開業50年後には約1兆2970億円となっています。

また、北海道経済連合会では新青森 – 札幌間の総建設費のうち北海道の負担額2438億円に対して、札幌延伸から30年後までの地方税収入は3848億円で、建設費に充てられる北海道債の金利620億円を差し引いても事業収支としては790億円の黒字、経済波及効果は北海道新幹線建設によるものが2兆9287億円、運営によるものが8233億円としています。

また、日本政策投資銀行の試算では、北海道新幹線の新函館北斗 – 新青森間の開業による道内経済への波及効果として関東1都3県と宮城県から道南への来訪者が年間約13万人増の約62万人となり約136億円の経済波及効果が出るとしています。

内訳は宿泊・飲食・土産物などの直接的効果が約73億円、土産物生産や飲食提供に伴う原材料生産増加など1次波及効果が約41億円、これらの生産増に伴って生じる雇用者の所得増を通じての2次波及効果が約23億円となっています。

函館市と栃木県宇都宮市では、2016年3月に予定の北海道新幹線:新函館北斗駅 – 新青森駅間開業により、『はやぶさ』の宇都宮駅停車・乗り換えなしの交通手段を設定し「北関東からの観光客誘致を見据える」函館側と「北海道との交流強化につなげたい」宇都宮側との思惑が一致しました。

両市幹部クラスでの交流会を行なっています。また、福島県郡山市市議会においても宇都宮市同様、従来からJR東日本に要望していた『はやぶさ』停車を、北海道新幹線開業を機に改めてJRに要望してはと、市議会で質疑がなされた事があります

函館・宇都宮両市長・市議会・商工会などはJR北海道・JR東日本に新函館北斗開業を機に『はやぶさ』宇都宮駅停車を要望していましたが、2015年12月18日に発表された東北・北海道新幹線を初めとした全国JRダイヤ改正発表において、従来通り東京駅・大宮駅 – 仙台駅間はノンストップで運行されるとしました。

特に熱心な動きを見せている函館・宇都宮両市は今後もJRに要望などを行う予定です。

北海道新幹線への慎重論

現在、北海道には札幌・道内の主要都市と各地を結ぶ特急・ローカル線が多数走っており、道民の生活や経済を支える上で不可欠なものですが、これらの路線の老朽化が目立っており、線路の破断や亀裂など大事故に繋がりかねない問題が発生していることから、新幹線建設ではなく既存の路線の修復を求める意見もあります。

これに対し、JR北海道は2015年(平成27年)3月20日に国鉄形をはじめとする老朽化している車両の更新・路線施設の維持・社員教育・人材育成などを軌道修正した5年間計画を国土交通省に提出しています。

また、同年11月27日にはキハ40系気動車の老朽化に伴う列車本数の見直しに伴い、全79本の列車見直しが対象となり該当沿線の地方自治体と協議する予定です。

なお、2017年度よりキハ40系の老朽取替え用に新型一般気動車の試作車が、2019年度より同じく量産車が投入される予定です。

そして、前述の老朽化による列車本数の見直しや利用者数が極端に少ない駅の廃止を検討しているものの、開業前を控えた2015年11月6日に発表された平成27年度第2四半期決算についても、新幹線開業準備に対する費用が嵩んだ結果、鉄道事業としての本業は営業損益が悪化しています。

また、JR北海道での収支想定に関しても、2016年(平成28年)-2018年(平成30年)度において差し引き損益でマイナス収支が見込まれています。

北海道新幹線の採算性は不透明である

    JR北海道は、慢性的な赤字路線を多数抱えており、北海道新幹線の開業によって、経営を圧迫しないか懸念されます。

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