子どもの貧困は解消できるか?

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子どもの貧困は社会問題

   
「子どもの貧困」が社会問題になっています。

憲法では、国民が「健康で文化的な生活」を送ることが保障されているはずですが、実際には「貧困率」は上昇傾向です。

子どもの貧困は、解消できるのでしょうか。

子どもの貧困とは?

   
子どもの貧困とは、その国の貧困線(等価可処分所得の中央値の50%)以下の所得で暮らさざるを得ない17歳以下の子どもの存在及び生活状況を言います。

この「等価可処分所得」とは、個人が自由に処分できる所得を世帯の人数の平方根で割ったものです。

OECDや厚生労働省調査の貧困率には等価可処分所得の中央値の50%が使用されています。

この50%という数値は絶対的なものではなく、40%や60%を用いる場合もあり、EUは公式の貧困基準のひとつに中央値の60%を使用しています。

子どもの相対的貧困率については、発表主体、統計利用データ年次によって変動します。

子どもの貧困は、国民生活基礎調査の一環として実施しています。

貧困率は、OECDの作成基準に基づいて算出しています。平成24年(2012年)の「子どもの貧困率」(17歳以下)は16.3%となっています。

2012年度厚生労働省白書では、2000年代半ばまでのOECD 加盟国の相対的貧困率について日本が加盟国中大きい順から4位だったこと、うち子どもの貧困率は13.7%と30か国中ワースト12位であると記載されています。

また、2003年以降のひとり親家庭の相対的貧困率は低減してきていますが、子どもの貧困率はやや上昇傾という状況にあります。

なお、都道府県別の統計は公表されていませんが、各世帯から集められた個票は全て都道府県を通じて厚生労働省に報告されています。

母子家庭の貧困について

相対的貧困に占める子供のいる家庭の割合は40.4%(平成16年現在)となっており、その中で「有業者2名の大人2人以上と子供の世帯」は18.0%、「有業者2名の大人2人以上と子供の世帯」は14.8%、「無業者の大人2人以上と子供の世帯」は2.3%「有業者1名の大人1名と子供の世帯」は4.3%、「無業の大人1人以上と子供の世帯」は1.0%となっています。

このため、貧困世帯に含まれるひとり親家庭(長子が成人している、または祖父母などと同居を除く)は全世帯中最大でも5.3%です。

しかし、母子家庭の一人当たりの平均所得金額は児童のいる世帯の4割程度となっていて、母子家庭の多くは貧困率が高くなっています。

母子家庭の貧困問題を解決するのに、二つの選択肢があり、母子家庭そのものの数を減らし貧困問題を解決するのか、それとも母子家庭の所得を増やして解決するのかという選選択肢です。

アメリカのブッシュ政権は前者の方向を推し進め、その代表的なシンクタンクであるヘリテージ財団のレクターという論者は、「長期に及ぶ子供の貧困問題の80%は離婚・婚外出産の問題から発生しているとし、父親不在の子供たちは情緒的・行動的問題、高校中退、ドラッグやアルコール依存症、犯罪の問題をより多く経験し、さらに大人になっても、結局のところ福祉受給者となる」と指摘しました。

多くの研究から、ひとり親家庭は、子供の貧困率だけでなく高校中退率や10代の出産率が高いことが示されています。

一方、マクラナハンの研究では、ひとり親家庭の高校中退率、10代出産率、ニート率が高いとしつつも、家族の所得を考慮した場合には、ひとり親であるかどうかは統計的に有意を示さなくなってしまうとしています。

 

貧困家庭の養育費

日本では、2006年現在では離婚や未婚の母に対して子どもの別れた父親の実際に支払いがある養育費が2割しかない状況でした。

養育費を取り決めていない理由には、「相手に支払う意思や能力がないと思った」が半数を占めていますが、次いで2割が「相手と関わりたくない」という理由をあげています。

養育費の文書での取り決め状況・養育費の受給状況共に母親の学歴が上昇するにつれ、割合が上がっている傾向がありました。

このように養育費は母の状況に左右されています。

  
養育費の受給分析を通じて、養育費が子どもの権利であるという認識が母に、ひいては社会に不足しているとの指摘もあります。

養育費がない家庭が多数であることが母子家庭の困窮の一因となっています。

ただし、母子世帯の母の学歴構成が同世代の女性にくらべてやや低いほうに偏っていることであることから、一つの解釈として学歴は出身階層の代理変数であり、相対的に出身家庭が裕福とは言えない階層出身者が多いとすると、彼女らは、似たような階層の男性と結婚する確率が高いと考えられ、この推論から別れた父親も比較的所得水準の低いものが多いとした場合、現実問題としての支払い能力を疑問視する分析もあります。

一方、年収の高い父親ほど、養育費を払っている割合は高いですが、年収500万円以上の離別父親ですら、その74.1%は養育費を支払っていません。

貧困層の父親は「支払い能力の欠如」、非貧困層の父親は「新しい家族の生活優先」が理由となり、どの所得層の父親においても、養育費を支払わないという状況が生み出されているとの分析もあります。

なお、民法においては、2011年に第766条1項が改正され「子の監護に要する費用の分担」についても離婚の協議事項と初めて明記されました。

法務省が、改正民法が施行された2012年4月から1年間の結果をまとめました。

この法務省の調査によると、2012年4月からの1年間で、未成年の子がいる夫婦の離婚届の提出は13万1254件ありましたが、面会や交流の方法を決めたのは7万2770件(55%)、養育費の分担を取り決め済みだったのは7万3002件(56%)でした。

子どもの貧困と生活保護

文部科学省の要保護及び準要保護児童生徒数の推移の資料によると、平成22年度には生活保護を受けていないがそれに準ずるものとして、市町村教育委員会がそれぞれの基準に基づき認定した準要保護児童生徒数は140万人に達しています。

要保護児童生徒数を含めると総数は約155万人となっています。

就学援助率は15.3%と過去最高です。

2005年度より、準要保護者に対して行う就学援助は一般財源化されており、自治体の財政力による受給の格差が懸念されています。

全国で約7人に1人の小中学生が、経済的理由により就学困難と認められています。

   
2006年に文部科学省が教育委員会を対象として実施したアンケート調査によれば、過去10年間(1995~2004年度)における就学援助受給者数増加の要因・背景について、「企業の倒産やリストラなど経済状況の変化によるもの」が全体の76%、「離婚等による母子・父子家庭の増加、児童扶養手当受給者の増」が全体の60%に当たることが判明しました。

就学援助利用世帯と収入400万円以下の世帯が厳密に対応しているわけではありませんが,こうした低所得世帯は大きな不利を背負っていることがわかります。

年収400万円をひとつの境界線として、生活と教育の諸断面(朝食摂取、個室、持ち家率、家族旅行の経験、学校の成績、欠席率、塾・習い事など)における明らかな断絶が見て取れます。低所得ということが、こういった問題・困難をもたらすもっとも大きな原因であると結論づけるのは早計であろうが,紛れもなくひとつの原因となっていることが考えられるとの分析があります。

子どもの貧困に対する公費負担

高校教育無償化前の数値ではあるが、2006年における日本の教育支出の公費負担割合は、諸外国に比べ低くなっています。

平成21年度文部科学省資料学部学生への経済的支援の欧米との比較では、大学・大学院の高等教育について「主要国では、奨学金(とりわけ給付型)が充実している(米英)、または授業料が無償または低廉(独仏)のいずれかの傾向にある」としています。

一方、授業料が高く、学生支援が比較的整備されていない国として、例に日本と韓国を掲げています。OECDによると、国立・私立の年間授業料は「データのあるOECD加盟国で最も高額な国の一つです。日本の高等教育機関に対する支出の約52%は、家計からの支出である。」とされています。

なお、ここでは「日本の高等教育機関の学生は民間ローンより低利の公的貸与補助の恩恵を受けることができますが、卒業時に多額の債務を課すこれらの貸与補助を利用している学生は38%のみである」とされています。

   
給与所得者の平均給与推移は平成9年以降、平均給給与は年々減少傾向にあるため、奨学金を必要とする家庭は増加している可能性があります。
    
しかし学生が卒業して就職しても、非正規型雇用就労等のため、返済型の奨学金を返済できない者も増えているとされています。

奨学金を利用することはもはや特別なことではなく、大学学部生では過半数を超え、平成22年度現在で利用割合は52.5%となっています。

貸付型奨学金に対し、最近は多くの大学が、各大学独自の給付奨学金制度を用意しているとも報道されています。

また地方に就職する大学生を対象とした奨学金も創設されています。

奨学金の返還を肩代わりして人材確保につなげる動きが企業や自治体に広がっており、徳島県などが地元企業への就職を条件に肩代わりする制度を新設しています。

子どもの貧困は、様々な支援策が必要である

     子どもの貧困の一番の問題は、子どもが大学等への進学が難しくなり、将来的に年収が低くなってしまい、貧困家庭を作るという「負のスパイラス」です。 国のみならず民間の奨学金制度など、様々な支援策が必要です。

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