中国の「爆買い」が意味するものは?

「爆買い」は中国経済の証か?

  
 旧正月(1月下旬~2月上旬)頃になると、毎年中国から大勢の観光客が日本にやってきます。

中国では旧正月を「春節」と言いますが、この正月休みを利用して海外旅行に行く人が多いのです。

そこで、大挙して押し寄せて大量に買い物をする、いわゆる「爆買い」が話題になります。

好調な中国経済を反映したものですが、この「爆買い」が意味するものは何でしょうか。

「爆買い」とは?

   
爆買いとは、一度に大量に買うことを表現した俗語です。

主に中国人観光客が大量に商品を買う状態に用いられ、2014年頃から定着しました。

2015年2月の春節休暇に、中国人観光客が日本を訪れ、高額商品から日用品までの様々な商品を大量に買いあさる様子を「爆買い」と表現し、多くの日本のマスコミが取り上げました。

中国側のメディアによれば春節期間中、日本を訪れた中国人観光客は45万人に上り、消費額は66億元(約1140億円)を記録、日本企業にとってビジネスチャンスとなっています。

この用語は2015年ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に選出されました。

中国人の爆買いの要因は、大きく分けて2つあります。

一つは「元高・円安」、もう一つが「日本製品の品質・性能への信頼」です。

さらに「中国の税制に起因する内外価格差」がある。中国の現在の税制では、ある特定の日本製品を中国で買うよりも、日本で買って持ち帰ったほうが大幅に安くなることと、日本が免税品の対象を拡大したことです。

さらには中国人特有の気質として、転売目的や家族、親戚以外の他人へ渡す目的も多いと推測されています。

日本では2013年12月に観光庁により「外国人旅行者向け消費税免税制度の改正」が発表され、地域への外国人観光客の誘客に向けた取り組みが始まりました。

平成26年度税制改正で、訪日外国人旅行者向け消費税免税制度の改正が行われました。

元々、免税対象品目は家電機器、装飾品、衣類、靴、鞄等に限られていましたが、免税販売の対象ではなかった消耗品(食品類、飲料類、薬品類、化粧品類等)について、一定の不正防止措置を講ずることを前提に免税対象としました。

2014年(平成26年)10月より施行されました。

また、同年度の税制改正では、様式の弾力化及び手続の簡素化も行われ、「購入記録票」及び「購入者誓約書」は、特定の様式を定めず、記載すべき事項を記載していればよいこととなりました。

訪日外国人旅行者の急増や消費税免税制度の改正によって、2014年(平成26年)に入り免税店の店舗数が急増し、4月1日時点では5777店であったが、2015年(平成27年)4月1日時点では約3倍の1万8779店(対前年比225.1パーセント増)となりました。

日本経済に与える「爆買い」の影響

   
観光庁の「訪日外国人動向調査」は、日本全国の空港や港から帰国のために出国する約1万人の外国人に、聞き取り調査を行うものです。

調査は3カ月ごとに集計されます2015年4月から6月期の集計によると、客一人が使った金額は平均で約18万円でした。

ただし、観光客の出身の国や地域により使い道が大きく異なります。

観光目的で来た人だけをみると、中国人の支出額は、28万160円で、最多です。

内訳は、宿泊費が18%(平均宿泊日数5.6泊)、飲食費が13%、買い物が61%です。

オーストラリア人の支出額が、27万3069円で中国人に迫っています。

内訳は、滞在日数が長いだけに(平均12.2泊)宿泊費が40%を占め、買い物は15%だけでした。

台湾人や韓国人も客数は多いが、中国ほどの買い物志向は見られません。台湾人は、客1人あたり支出額が14万7003円で、買い物の支出割合は44%でした。

同じく韓国人は7万445円でした。以上のことから、「爆買い」は中国人ならではの行動と言えます。

この傾向は、上述「訪日外国人消費動向調査」のうち、訪日する国・地域別の訪日動機の調査からも明らかです。

以下は、2015年版の『観光白書』掲載の2014年度のデータです。

国・地域ごとに訪日の動機を聞き、その種類の割合をみて、ショッピングの割合が多かった順に並べると以下の順になります。

ショッピングを動機に挙げた人が一番多かったタイからの訪日客であり、その74.1%が、ショッピングを訪日の動機として挙げました。

これに続くのが香港からの訪日客であり、69.6%でした。中国からの訪日客は、68.0%の訪日客がショッピングを訪日の動機として挙げている。

ちなみに、ショッピングを訪日の動機に挙げる割合が多い順に、台湾;66.9%、シンガポール;59.1%、ベトナム;58.2%、マレーシア;57.5%、フィリピン;51.9%、インドネシア;50.0%となり、アジアからの訪日客はショッピングを動機として挙げることが多いのです。

旅行者が使ったお金の合計は、1人当たりの平均支出額に人数をかけて算出しています。

2014年に日本に来た外国人は、日本政府観光局の調べによると約1341万人でした。

免税で買える商品の種類が増え、外国人からみれば円安で割安に旅行できることもあり、前年より3割増加しています。消費額の合計も、2013年の1.4倍となり、支出額の合計は約2兆円となり、過去最高を記録しました。

2015年には、中国人の入国ビザが緩和され、中国人訪日客が前年の2倍以上のペースで増加し、来日外国人全体でも1.5倍に増加しました。

それにつれ消費額も増加し、2015年11月の時点でこのままのペースで行けば、年間の消費額は3兆円規模になると予想されました。

この金額は、日本の国内総生産(GDP)の総額の約5000兆円のうち0.6パーセントを占めることになります。

販売額では全国の百貨店販売額である約6兆8000億円、ドラッグストアの販売額である約4兆8000億円に迫る規模です。

「日本経済にとって無視できない水準であり、外国人の消費が(日本経済の)下支えになっている」と永井知美(東レ経営研究所)は話しています。

2015年10月21日観光庁は、同年7月から9月期の「訪日外国人消費動向調査」を発表しました。

この四半期の消費額は前年同期比82%増の1兆9000億円となり、四半期としてはじめて1兆円の大台にのりました。

訪日客も534万人と最高を記録し、1人当たり支出額も前年同期比18%増加しました。

中国人客は7月から9月の四半期調査では、前年同期比19%増の28万円を支出し、このうち14万円を買い物代に充てました。

観光・レジャー目的の中国人の日本での宿泊日数は、平均6.1泊となり、前年同期の5.7泊から拡大しました。

旅行期間の長期化が一人あたりの消費の増加につながったとみられます。

 

「爆買い」についての課題

免税店や高級ブランド品が並ぶ銀座・中央通りでは、中国人観光客による「爆買い」客の利用する観光バスの路上駐車が問題になっています。

この地域を受け持つ築地署には2014年3月頃から「通行の邪魔」という苦情が寄せられるようになりました。

警察でもバスに対して注意することもありますが、周辺をぐるりと回って元の位置に戻ってくるのが現実です。

「近くに駐車場もないし、乗降場所もないし、仕方がない」というのはバスの運転手の弁です。

予定時間内に戻って来ない客が多いのも駐車時間が長引く理由の一つであるとも話しています。

一方で、大丸松坂屋百貨店などで作る組合が進める銀座6丁目再開発計画では、観光バス乗降場の建設を計画していますが、バス駐車場の建設の計画はありません。

地元の町会・商店会などでつくる全銀座会の関係者は、「これからもっと多くの外国人を迎えるというのなら、国や都は駐車場などの整備を進めてほしい」と訴えています。

都内屈指の観光地浅草寺では、台東区が4か所で観光バス5台分の駐車場や待機場を有料で貸し出しているが、区交通対策課の担当者は、「昼間は満車の状態が続き、駐車場は足りていない」と話しています。

また同区は浅草寺周辺の観光バスの乗降場所を2か所に限定していますが、そのうちの一つである区民会館前での乗降場での一日平均利用台数は、2011年度は83.0台だったが、2013年度では101.5台に増えました。

また、秋葉原周辺でも観光バスに関する苦情がここ1、2年で増えています。
  

日本を訪れる外国人観光客が急激に増えているのに伴い、国家資格である通訳案内士が不足に陥っているのにつけこんで、怪しげな健康食品を大量購入させようとしたり、誤解に基づく日本の歴史や文化を紹介したりするような、無資格通訳案内士が横行していると報じられています。

これに対し日本政府・国土交通省は、「旅行者の満足度を低下させるだけではなく、日本の信頼や印象形成にも悪い影響を及ぼす」として、中国当局と連携しながら実態の把握に向けた調査の準備に取り掛かりました。

また、2014年当時に増加中の中国人客の対応にあたって、中国人留学生を雇い入れ「週28時間の法定上限時間を超えて働かせた」として、法人のラオックスおよび同社の中国人社長が2015年12月25日までに不法就労容疑で書類送検されました。

なお、この事件では同容疑で「大阪道頓堀店」の元店長ら店関係者3人と中国人留学生4人が逮捕、11人が書類送検されています。

中国国家外国為替管理局(英語版)は2015年10月1日までに、「銀聯カード」による海外での外貨引き出し上限額を2016年1月1日より、一枚当たり1日1万元から1年間で最高10万元までに規制すると発表しました。

政府幹部らが汚職で得た人民元を海外で資金洗浄したり、人民元安の進行を見込んだ富裕層らが海外へ資金を流出させたりするのを防ぐ狙いがあるものの、中国人観光客による爆買いにも影響すると見られています。

日本は「爆買い」に対応できるか?

    中国経済が減速傾向しているとはいえ、今後も「爆買い」は続いていくと考えられます。 ソフト面、ハード面で、中国人に限らず外国人旅行者に対応していく必要があります。

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