「地方創生」とは?

地方創生は加速するのか?

  
 政府が地方創生として進める政府機関の地方移転で、文化庁が数年後をめどに、全面的に京都に移転する見通しとなりました。

徳島県に移す方針の消費者庁も移転時期や規模を、2016年8月末まで決めるとのことです。

政府の目玉政策の一つである「地方創生」ですが、今後の見通しはどうなのでしょうか。

「地方創生」とは?

    
加速度的に進む日本全体の人口減少は、日本の経済社会にとって大きな重荷です。

従って、今後も続くと考えられる東京圏への人口流入によって、地方の人口減少を是正するため、地方自治体自らによる「地方版総合戦略」の策定と実施に対して、国が情報・人材・財政の各種支援を行うことです。

具体的には、地方における安定した雇用の創出や、地方への人口の流入、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえ、時代に合った地域をつくることです。

それによって、地域間の連携を推進し、地域の活性化とその好循環の維持の実現を目指すとしています。

国の総合戦略の具体的な目標や展望については、以下のとおりです。

1 2020年に向けての主な目標

・地方の若者の雇用数:5年間で30万人(2015年時点では5.9万人)にすること

・若い世代の正規雇用労働者など(自らの希望による非正規雇用労働者等を含む)の割合を、ほかの年代と同水準に(2014年の15~34歳の割合は92.7%に対し、すべての年代では93.7%)すること

・女性の就業率:77%(2014年は70.8%)

・地方から東京圏への人口流入:6万人減少(2014年は1732人増加)、東京圏から地方への流入:4万人増加(2014年は11,152人減少)

・安心して結婚や出産・子育てができる社会の実現(2013年度で、そう考える人の割合が19.4%のところを、40%以上に)

・第一子出産前後の女性の継続就業率:55%(2010年は38%)

・結婚希望実績指標:80%(2010年は68%)

・夫婦の予定子供数(平均は2.12人)の実現率:95%(2010年は93%)

・公共交通の利便性の高いエリアに居住している人口割合:三大都市圏90.8%(2014年度は90.5%)、地方中核都市圏81.7%(78.7%)、地方都市圏41.6%(38.6%)

・地域公共交通網形成計画の策定総数:100件(2015年は60件)

2 長期ビジョン(中長期の展望)

・出生率を1.8にまで引き上げ、東京一極集中の是正をすることによって、2050年台の実質GDPを1.5~2%に維持しつつ、2060年には一億人前後の人口を確保

新型交付金とは?

   
新型交付金とは、地方自治体それぞれの地方版総合戦略に対しての交付金のことです。

地方の自立性や官民連動を要件とした先駆性のある事業に用いられます。

例えば人口流入策なら、一定期間の流入数や増加率のような、自治体自らが策定した具体的な数値目標を、国が精査して交付額や対象事業を決定し、進捗状況を国や地域住民とともに毎年検証して、場合によっては見直しを求め、交付の変更が可能と目標達成のために具体的な数値目標を立て、その進捗状況を計測する「KPI(重要実績評価指標)」の設定や、「PDCAサイクル」を確立するとともに、個々の事業において民間資金を誘発し、将来的には本交付金に頼らない自立した事業構築を促すとしています。

国の総合戦略に設定している主なKPIは、次のとおりです。

・6次産業化市場:10兆円(2013年度は4.7兆円)

・農林水産物などの輸出額:1兆円(2014年は6117億円)

・訪日外国人旅行消費額:4兆円(2014年は2.0兆円)

・地域の中核企業、中核企業候補の支援:1000社(2015年度の施策を踏まえ検証)、雇用数8万人創出(2014年度は0.1万人)

・年間の地方移住あっせん件数:11,000件(2014年は約4000件)

・企業の地方拠点機能強化件数:7500件増加(2015年は808件)、地方での雇用者数を4万人増加(2015年は6600人)

・地元の大学に進学する割合:平均36%(2015年度は32.3%)

・若者の就業率:78%(2014年は76.1%)

・支援ニーズ高い妊産婦への支援実施:100%

・男性の育児休業取得率:13%(2014年は2.30%)

・住民の活動組織(地域運営組織)形成数:3000団体(2014年度は1656団体)

・連携中枢都市圏の形成数:30圏域(2015年は4圏域)

・中古・リフォーム市場規模:20兆円(2013年は11兆円)

「特区」とは?

    
「特区」とは、地域の活性化のために、国のよる規制を緩和するなどの特例を、特定の地域に適用する制度です。

なお規制緩和の具体例はあくまで一例であり、内容がそれのみに限定されるものではありません。

「国家戦略特区」とは、産業の国際競争力を強化し、国際的な経済活動の拠点の形成のため、経済社会の構造改革や規制改革などの施策を推進する特区です。

特徴の一つとして、下記の総合特区や構造改革特区は、地方自治体による申請を国が認めて特区を指定していますが、国家戦略特区は民間や自治体と国が一体となって必要な事業を推進するため、国の主導で特区を指定しています。

また、国家戦略特区の制度を利用した特区の中で、地方創生を目的とした「地方創生特区」があり、更にその一つの形として、遠隔医療、遠隔教育、自動飛行、自動走行などの新技術を実証する領域を確保し、新たな商品・サービスに関するイノベーションの喚起をコンセプトにした、「近未来技術実証特区」があります。

1 起業・開業・雇用

・起業や年金・社会保険などの各種手続きを一箇所で申請可能な窓口の設置など、公証人の役場外での職務が可能に。

・NPO法人の設立手続きの迅速化 (特定非営利活動促進法の特例)

・起業直後の企業の人材確保を支援するため、国家公務員が企業に転職したのち、再び国家公務員となった場合の退職手当の配慮(国家公務員退職手当法の特例)

・シルバー人材センターに登録している高齢者の労働時間の延長など、高齢者の雇用の規制緩和(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の特例)

・外国人による起業の要件の緩和や、家事代行サービスの解禁(出入国管理及び難民認定法の特例)

・法人税の優遇措置などの課税の特例の適用[25](租税特別措置法の適用)

・特区に関する事業を営む企業に融資を行った、指定金融機関への利子補給金の支給

2 医療

・高度先進医療の実現のための病床増設(医療法の特例)

・医療法人の理事長に、医師でなくても就任可能に(医療法の特例)

・血液が原料の試験用細胞などの製造・販売の規制を緩和(安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の特例)

・臨床修練制度における、外国人医師の受け入れの規制を緩和(外国医師等が行う臨床修練等に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律の特例)

3 農林水産業

・企業などの農業への参入の要件の緩和(農地法等の特例)

・国有林の貸付・使用の対象者や面積の規制を緩和(国有林野の管理経営に関する法律の特例)

・漁業生産組合の設立や維持の要件人数の緩和(水産業協同組合法の特例)

4 保育・教育・社会福祉

・地域限定保育士の導入(児童福祉法等の特例)

・公立学校の管理運営を民間に委託する、公設民営学校の設置(学校教育法等の特例)

・都市公園に保育所や社会福祉施設の設置を認可(都市公園法の特例)

5 まちづくり

・建築における、容積率や用途地域の規制の緩和(建築基準法の特例)

・路上イベントなどの、道路占有の規制の緩和(道路法の特例)

・外国人向けの宿泊施設に個人所有のマンションなどを利用できる「民泊」や、歴史的建築物を宿泊施設として活用する場合の要件緩和など、旅館業法の適用の除外(旅館業法の特例)

「地域再生」とは?

    
「地域再生制度」とは、地域の活性化や雇用の創出などを推進するための地方自治体の地域再生計画を支援する制度です。

農地を面積などの要件にかかわらず、企業やNPO法人の施設に転用することができるほか、地方に本社機能を移した企業への税制優遇措置などの規制緩和や、観光客の誘致、道路や港のインフラ整備などの事業に対して、補助金で支援などの施策を行います。

「中心市街地活性化」は、中央市街地の都市機能や経済活動の活性化を、少子高齢化、消費生活などの社会環境の変化に応じて支援する制度です。

市町村が策定した中心市街地活性化基本計画を内閣が認定して、都市再生整備計画事業、暮らし・にぎわい再生事業、中心市街地共同住宅供給事業、街なか居住再生ファンド、中心市街地再興戦略補助金、中心市街地活性化ソフト事業の各種支援を行います。

    
「都市再生制度」は、21世紀型都市再生プロジェクトや土地の有効利用を、環境、防災、国際化等の観点から推進する制度です。

2014年の閣議決定で、医療・福祉、商業施設などが住居の近くにある、あるいは公共交通によりアクセスができるなど、日常生活に必要なサービスが身近にある「コンパクトシティ」を目指すことによって、生産性の向上や都市経営コストの縮減を目指すなどの、都市再生基本方針の変更が行われました。

「地域創生」の課題とは?

     2016年度の新型交付金の要求額が1000億円規模と、2014年度補正予算で先行計上した1700億円を下回っており、2014年度補正を大幅に上回る規模を要請していた全国知事会から不満の声があがっていました。

政府はこれに対応して、1000億円規模の「地方創生加速化交付金」を2015年度の補正予算に組み込んだ。

特区において、外国人医師が臨床修練制度の要件緩和で地方の診療所でも受け入れ可能になったことについて、日本医師会の横倉義武会長は、「単独の診療所で外国人医師に対して一人の指導医がいるだけでいいというのは、安全上の問題がありすぎる」と指摘し、更に、指導医について資格要件を明確にするべきと述べました。

都道府県の地方人口ビジョンでは、人口増加を見込む沖縄県をはじめ、人口ビジョンを示した他の道府県でも施策なしの場合より、人口減少に歯止めがかかるとの推計が示されました。

ただ、一部の地方議員や有識者からは、出生率や人口流入などの想定が、根拠に乏しいなどの批判や、大都市の出生率こそ改善させる必要があるとの意見も出ています。

「地方創生」の成功のためには?

    日本の人口減が本格的に始まり、特に地方の過疎化はますます加速されていくことが予想されます。地方創生の成功のためには、日本のどの地方に住んでも、同じサービスが享受できる社会を作られるかがポイントです。

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