ローソンが銀行業へ新規参入するが、成功のカギは何か?

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セブン銀行、イオン銀行に勝てるか?

先日、「コンビニ大手ローソンが銀行業への参入を検討している」とのニュースが流れました。

流通業が銀行へ参入するのは、「セブン&ホールディングス」、「イオン」に続いて3社目となります。
ローソンが銀行業で成功するカギは何でしょうか。

新たな形態の銀行

金融庁の分類用語に「新たな形態の銀行」というのがあります。

これは、都市銀行、地方銀行、信託銀行などの従来の銀行にはない業務を行う銀行を指します。

その先駆けは、「ジャパンネット銀行」で2000年9月26日に事業免許を取得し、同年10月12日に営業を開始しました。

 営業形態としては、基本的には対面窓口のない「組織上だけの預金口座のある本店営業部」だけを置き、入金・出金業務は提携先・出資元銀行や郵便局、コンビニエンスストアなどの現金自動預け払い機(ATM)やインターネットバンキングを顧客に利用してもらいます。

また、預金通帳は経費がかかるため発行せず、インターネットバンキングで明細を表示したり、利用明細書を郵送したりして、通帳の代わりとしています。このような営業形態によってコストを抑え、従来型の銀行に比べて、各種手数料の安さや預金金利の高さなどの「優位性」を持っているのが特徴です。

この「新たな形態の銀行」には、大きく分けて次の四つの業態があります。

インターネット専業銀行

先ず、一つ目の業態である「インターネット専業銀行」は、利用者に直接現金を支払ったり預かったりする店舗を置かず、営業の上で最低限必要な拠点だけを置くもので、電話やインターネットによって顧客と取引を行う銀行です。

「ネット銀行」と略することもあります。直接取引する店舗がなく、預金通帳も発行しないため、取り引きはインターネットを使ったいわゆる「ネットバンキング」で行います。

また、キャッシュカードやATMで取り引きできる銀行もあります。

店舗がほぼないため、人件費・店舗にかかるコストを抑えることができて、「手数料が安い、預金金利が高い」などの特徴があります。

具体的には、ジャパンネット銀行、ソニー銀行(ソニーバンク)楽天銀行(旧:イーバンク銀行)、住信SBIネット銀行、じぶん銀行、大和ネクスト銀行などがあります。

その中の「楽天銀行」を例にとって、銀行設立の経緯を説明します。

「楽天」はサイト利用者向けに「ネット銀行」の開業を予定していた2007年7月23日、その準備段階として、「東京都民銀行楽天支店」を開業しました。

その後、2008年に楽天がイーバンク銀行と資本提携を行うこととなり、イーバンク銀行が新規に発行する第三者割当の優先株を楽天が引き受けました。

そして、2008年11月14日付で「東京都民銀行楽天支店」の新規口座開設を停止し、翌2009年2月23日付で、既存の口座を全て閉鎖しました。

これによって、「東京都民銀行楽天支店」を廃店として、「東京都民銀行」と「楽天」との提携も解除されました。

その後、正式に「イーバンク銀行」が楽天グループの一員となり、2010年5月4日には「楽天銀行」に改称され、現在に至っています。

商業施設との連携を主体とする銀行

二つ目の「商業施設との連携を主体とする銀行」ですが、現在2つあります。

まず「セブン銀行(旧アイワイバンク銀行)」ですが、この銀行は全国のコンビニにあるATMの展開を主体にする銀行で、親会社である「セブン&アイ・ホールディングス」傘下のイトーヨーカ堂(スーパーマーケット)、セブン-イレブン(コンビニエンスストア)、デニーズ(ファミリーレストラン)、そごう・西武(百貨店)などの店舗内にATMを設置しています。

2007年6月からは、野村證券支店内にもATMを設置し始め、翌年には全店舗に設置が完了しました。

また羽田、成田、新千歳などの空港施設や、業務提携している新生銀行の店舗内外各ATMにも、セブン銀行のものが置き換えられています。

ただし、当初からこのような順調な営業展開とはいかなかったようです。

2001年に開業したこの銀行も、初期投資で赤字が続きましたが、2015年3月期になり経常利益370億円を上げるようになりました。

しかも、収入に占める経常利益の比率が3割超えという優良企業でもあります。

ATMの設置数は約22,000台で、ATMで取引があるごとに、提携する金融機関から利用手数料が入るという仕組みです。

提携している金融機関にとっては、自分の会社でATMを増設するより、セブン銀行に手数料を支払った方が、コスト的に安く拠点拡大ができるというメリットがあります。

またセブン銀行にとっては、ATMで他の銀行の口座からのお金の出し入れというサービスに徹し、できるだけコストがかからないような業務を行うことができます。

もう一つの「イオン銀行」は、「セブン銀行」の開業から6年後の2007年に開業しました。

ショッピングセンターを利用する顧客を対象としています。親会社である「イオングループ」(イオン・ミニストップなど)の各店舗内にATMを設置し、さらに大型ショッピングセンターには、インストアブランチとして店舗を開設しています。

ただし、「セブン銀行」と全く違った収益形態を取っています。

それは、積極的に住宅ローンなどの貸し出し業務を行っている点で、これによって経常利益は約121億円となっています。

ショッピングセンター内に131ヶ所の銀行窓口を設置し、メガバンクよりも低金利の住宅ローンを提供しています。

このローンを契約した顧客には、イオンでの買い物が5%引きになるサービスを提供しており、イオングループならではの総合的なサービスを行っています。

中小企業への融資を主体にする銀行

三つ目は、「中小企業への融資を主体にする銀行」です。

この銀行は、一般の銀行よりも中小企業への融資に特化し、中小企業の事業展開や新事業開発を支援することを目的に設立されました。

石原東京都知事(当時)の肝いりで、2005年4月に開業した「新銀行東京」だけが、それに該当しますが、この銀行はわずか3年で1,000億円近い累積赤字を抱えて、事実上の破綻状態となりました。

その後「都の公共事業請負先企業への貸し付け拡大、都の政策との連動強化などを軸に黒字を目指す」として、400億円の公的資金注入と事業再建とが画策されました。

2010年に、一旦は黒字化しましたが、公的資金導入対して「政官財の癒着政策ではないか」、「独占禁止法違反ではないか」と批判が相次ぎました。

結局、2015年5月に「東京都民銀行」と「八千代銀行」を傘下に置く「東京TYフィナンシャルグループ」との経営統合を検討していることが明らかとなり、2016年4月の統合を目指し協議を進めることで基本合意したと発表されました。

破綻した銀行の業務を一時的に引き継ぐ事を主体とする銀行

最後に「破綻した銀行の業務を一時的に引き継ぐ事を主体とする銀行」ですが、これは具体例として「第二日本承継銀行」があります。

この銀行は、破綻した「日本振興銀行」の業務を受け継ぎましたが、その後「イオン銀行」の傘下となって、「イオンコミュニティ銀行」と改称しました。

そして、2012年に「イオン銀行」に吸収合併され、消滅しました。

銀行に参入したローソン

今回、銀行業への参入を表明したローソンは、二つ目の「商業施設との連携を主体とする銀行」に当たります。

銀行業の参入について、ローソンは、「現段階で開示できることはない」と、はっきりした青写真を示していませんが、さらに「様々な経営上の選択肢を模索している」とも言っています。

ローソンは、2016年にも銀行の監督官庁である「金融庁」に銀行免許を申請する見通しですが、おそらくローソンにある約1万2千店舗というポテンシャルを活かして、利用客に口座を開いてもらい、預金を集める戦略をとるのではないかと予想されます。

それによって、来店の頻度が増せば、まさに一石二鳥です。

また、このローソンの銀行には、三菱東京UFJ銀行が一部出資する案も出ていますから、銀行経営のノウハウを提供してもらうことも考えられます。

ローソンは現在、その傘下の「ローソン・エイティエム・ネットワーク」を通じて、ローソンのほぼ全店舗にATMを設置しています。

ローソンが、銀行業へ参入することで、現金での振り込み、「イオン銀行」のようなローンの申込みなどで、新たなサービスを提供し、収益を上げていくことも十分考えられます。

ただ、懸念材料としては、ローソンの店舗数約1万2千に対して、先発の「セブン銀行」は、既に約2万2千台のATMを設置している点です。

「セブン銀行」との差別化を図らないと、厳しい戦いになる恐れがあります。

この点について、野村証券の正田雅史アナリストは「ローソンが店舗数や客数で上回るセブンイレブンに追いつくのは難しい。

ただ、顧客情報の活用や電子マネーの展開には可能性がある」と述べています。

「ローソン銀行」成功は、他銀行との差別化かがカギ。

    店舗数でセブンイレブンの後塵を拝しているローソンが、銀行業への参入を表明しましたが、いかの先発の銀行と違ったサービスを提供するかが、成功のカギと言えそうです。

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