これだけは知っておきたい「贈与税」のこと

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「贈与税」を知っておこう

   
人に年間110万円を超える金銭を贈った場合、受け取った方には税金がかかります。

これが「贈与税」ですが、どのような仕組みになっているのでしょうか。

贈与税とは?

   
贈与税とは、税金の一つで、相手からの贈与によって受け取った財産に課せられる国税のことです。

贈与税の目的の1つが、生前贈与による相続税回避の防止にあることから、相続税の補完的な税の性質を持っています。

従って、相続税法の中で相続税とともに規定されています。

納税義務者は、贈与によって財産を取得した個人ですが、権利能力なき社団、財団も例外的に納税義務者になることもあります。

株式会社等が贈与によって財産を取得しても、贈与税は課せられず法人税が課せられます。

また、株式会社から贈与によって財産を取得した個人は、贈与税が非課税となり、その代わり所得税が課せられます。

贈与税の基礎控除は、年110万円です。

その金額までの贈与なら、課税されません。

また、その後相続が発生した場合、さかのぼって相続税が課税されることがあります(相続開始前3年以内の生前贈与加算)。

年110万円を超える部分に対して課税される税率は、金額により10%から55%と徐々に高くなる「累進課税制度」です。

相続税より基礎控除額が低いのは、贈与税は相続税の補完税であるためです。

税額の算定に使われる課税標準は、贈与者の数に関わりなく受贈した財産の評価額で決まります。

例えば、一人の贈与者から年間1000万円受け取っても、10人から100万円ずつ受け取っても、税額は同じです。

   
納税義務者は、次のとおりです

   ・贈与により財産を取得した個人で財産取得時に日本に住所を有するもの

   ・贈与により財産を取得した日本国籍を有する個人で財産取得時に日本に住所を有しないもの(ただし、その個人、贈与をした者がその贈与前5年以内のいずれかの時に日本に住所を有していたことがある場合に限られる)

   ・贈与により日本にある財産を取得した個人で財産取得時に日本に住所を有しないもの(上記の者は除かれる)

   財産の贈与を受けた者が、毎年1月1日より12月31日までの一年分の贈与について、翌年2月1日から3月15日までの間に申告して納付します。

金銭で一括納付が原則ですが、一定の要件のもとに延納が認められています。

贈与税の特例

   
配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間において、自己の居住用不動産又は居住用不動産の取得資金の贈与があった場合には、一定の要件のもと、基礎控除110万円とは別枠で、贈与財産の価額から「最大2000万円」の控除が認められる贈与税の特例があります。

なお同一の配偶者間においては、一度しか認められません。

    
2003年度(平成15年度)より、従来の暦年課税制度に加えて、「相続時精算課税」制度が創設されました。

これは、贈与税・相続税を通じた納税を可能とした制度です。

対象者は、贈与者が60歳以上で、受贈者が贈与者の推定相続人(2015年以後は推定相続人でない孫を含む)で20歳以上となっており、親の子供と孫が該当する場合がほとんどです。

控除額は2500万円(累積)で、控除額に達するまで複数年に渡り利用できます。年110万円の基礎控除は使えません。

控除額を超える贈与を受けた場合は、超える金額について贈与税を納付し(税率は一律20%)、贈与者の死亡の時に、それまでの贈与財産が相続財産へ組み込まれた上で納付した贈与税は相続税で精算されます。

「相続時精算課税」制度と従来の暦年課税制度とのいずれかを贈与者毎に申告時点で選択できますが、一度選択したら暦年課税制度に戻ることができません。

なお、2015年1月から2019年6月までの間であれば、住宅取得等資金(一定の住宅新築や購入、増改築用の資金)の贈与に限り、贈与者の年齢に関係なく、2500万円特別控除が受けられます。
 

贈与税がかからない例

   
ここでは、贈与税がかからない例を考えてみます。

例えば、あなたの扶養に入っている子供や親に、生活費や教育費をあげた場合、通常必要だと思われるものには、贈与税がかかりません。

これは、金額の多さではなく、「通常必要」というのが、条件となります。

また、あなたが、大学生の子供にお年玉として、300万円をあげたらどうでしょうか。

当然、お年玉にしては多すぎるので、贈与税がかかります。

しかし、その大学生の子供が、私立の医学部に入学したら、初年度だけで入学金を含めると1,000万円を超えるはずです。

これを子供に教育費としてあげても、贈与税がかかることはありません。

では、あなたが地方に住んでいて、東京の大学に通う子供のために、仕送りするお金はどうでしょうか。

女の子であれば、セキュリティがしっかりしたマンションに住んで欲しいと考えて、年間500万円の仕送りをするかもしれませんよね。

一方、男の子であれば、自分でバイトぐらいやって生活費を稼げと言って、年間100万円しか送らないかもしれません。

5倍も違いますが、どちらも、税金はかかりません。

使い道が、東京での生活費だからです。

同様に、親が体調を壊したので、介護費や病院代として、多額のお金を仕送りしても、贈与税がかかることはありません。

    
以上説明したように、あなたが「通常必要」ではないお金をあげると、それには贈与税がかかります。

ただし、それが1年間で1人につき110万円までは、税金がかからないことになっています。

1年間というのは、1月1日から12月31日で判定します。

そして、注意することは、もらう人で判定しているということです。

1年間のうちに、子供が、父親のあなたから110万円、祖父から110万円をもらうと、合計220万円になってしまうので、贈与税がかかります。

逆に、あなたが、子供1人と孫2人に110万円ずつ、1年間で330万円をあげても、誰にも、贈与税はかかりません。

もし、3人への330万円の贈与を20年間続けると、合計で6,600万円も無税で、あげることができるのです。

子供や孫がもっと多ければ、その金額は、もっと増えます。

    
しかし、ここで疑問が出てきます。

通常の生活費と、110万円を区別することは、本当にできるのでしょうか?

そもそもできなければ、何でも「通常の生活費」として、110万円以上に贈与できるということです。

実は、区別するのは、難しいことではありません。

「通常必要」な生活費や教育費は、必要なので、使ってしまうはずです。

一方、贈与されたお金は、今すぐ使うか、あとで使うかは自由です。

    
大学生の子供に年間500万円を仕送りして、実際に、子供がそれを使いきるならば、贈与税はかかりません。

夜学の専門学校に通っていて、その学費が高いかもしれません。

スポーツでプロを目指していて、機材を買ったり、練習場を借りたりするために、お金がかかるかもしれません。

「通常必要」であれば、贈与税はかからないのです。

夜学に通うのは贅沢でもないですし、プロのスポーツ選手を目指す夢は、すばらしいことです。

その逆で、どんなに「通常必要」と主張しても、子供が、それを使っていなければ、贈与です。

  
すぐに使わないお金をあげる場合には、何年にも分けて贈与する、子供や孫に分散させるなど、110万円の上限をうまく使ってください。

ただし、あなたが勝手に子供名義の通帳を作って、110万円を振り込むだけでは贈与にはなりません。

あなただけではなく、子供が110万円をもらったことを認識しなくては、贈与は成立しないのです。

そこで、110万円を超えた金額を贈与して、子供が贈与税の申告書を税務署に提出する方法をお勧めします。

もらった側が申告書を作成するので、贈与された認識がないということはありません。

そのとき、贈与税とは、310万円以下(110万円の基礎控除を差し引くと、200万円以下)の金額であれば、税率は10%と、大変低くなっています。

この税率10%とは、限界税率とも呼ばれ、310万円以下の贈与をした場合の最大税率となります。

つまり、310万円を子供に贈与すると、110万円を控除した200万円に10%をかけて、20万円が贈与税になります。

20万円という贈与税を、贈与した金額310万円で割ると、約6.5%となり、これを実行税率と呼びます。

結果、あなたが、子供に310万円を20年間あげ続けて、合計6,200万円を贈与したとしても、税金は、400万円ですむことになります。

   
この金額を見て、「400万円も、贈与税がかかるのか? いやだな」と、思うかもしれません。

その気持ちは、全然おかしなことではありません。

なぜかというと、贈与税の申告書の中で、「(1)111万円を贈与して、1000円の贈与税を支払う」と「(2)110万1000円を贈与して、100円の贈与税を支払う」この2つが、ダントツに多いのです。

つまり、あなただけではなく、他の人たちも、贈与税の申告書を作った方が、あとでトラブルにならないことは知っているのです。

ただそのときでも、みんな10%の贈与税でさえ、できるだけ支払いたくないと思っているのです。

今まで、自分が何百万円、何千万円の所得税を支払ってきたからこそ、贈与税は支払いたくないのでしょう。

でも、相続税の限界税率は、最高で55%にもなりますので、実行税率もそれなりに高くなります。

先ほどの、20年間で400万円の税金とは、贈与した6,200万円に対して、実効税率は変わらず、6.5%しかありません。

目先の税金にだけ、とらわれていては、節税はできません。

相続税のシミュレーションの結果から、贈与する金額を決めることが、税金を一番、少なくするのです。

贈与税の特例を利用しよう

    年間110万円の贈与に課税される「贈与税」ですが、特例をうまく利用して、節税することもできます。

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