有名児童文学からお金の正しい使い方を考えよう

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子どものころは知っていた本当の大切なものを思い出そう

一般的には子ども向けに書かれた児童文学、有名なものはたくさんありますが、実は読んだことがない、という方も多いのではないでしょうか。

あるいは、読んだのは何年も前で忘れてしまったという方もいるでしょう。

子どもの頃に読むときには、純粋にストーリーを楽しむものだと思いますが、大人になって改めて読んでみると、大人だからこそ気づかされることがたくさん出てきます。

また、ただ物語を追っていくだけではなく、そこから自分が普段関心をもっている問題に引き寄せて読むことができるのも、オトナの読書です。

今回は、ミヒャエル・エンデの作品『モモ』を振り返りながら、私たちが日々向かい合っている「お金」の問題についても考えてみようと思います。

『モモ』から「いまのわたし」の生き方を問い直す

読んだことがある方も多いとは思いますが、『モモ』は、少女モモが主人公の物語。

モモは家族や家や、ほかのあらゆる身の回りのものをもっていない、街の古くなった円形劇場に住みつくようになった少女です。

不思議なことに、モモは人の話を聞くのがとても上手で、自分の話を聞いてもらいたくて街の人はモモに会いにきます。

街の子どもたちは、モモが一緒にいると素晴らしく面白い遊びが思いつくので、モモのもとに遊びにきます。

モモ自身、特別に話が上手とか、楽しい遊びを提案するというわけではないのですが、モモがそこにいて話を聞いていることが、周りの人を豊かな気持ちにさせていたのです。

そんな街に現れたのは、全身灰色の姿をした男たち。

灰色の男たちは誰にも気づかれぬまま街に入り込み、街の住民たちから「時間」をどんどん節約するように促します。

「いま時間を節約すれば、将来その分の時間を利子もつけて返します」という時間の貯蓄を提案し、その裏ではその人の時間を泥棒していたのです。

時間の節約という思考に染められた街の住民たちは、次第にせかせかと慌ただしく忙しくなり、また怒りっぽくなり、モモにも会いに来なくなってしまう。

この事態に気付いたモモは、人々の時間を取り戻そうと奮闘するーーそんなお話です。

この物語で問われている中心のテーマは、「時間」です。

効率化、時間の節約のために大人たちは子どもを愛し構う時間を惜しみ、他人に譲る気持ちも薄れてしまいます。

名目が「将来のための時間節約」だとしても、自分の身の回りの人たちを思いやる余裕も持てないようじゃ幸せじゃないでしょう、というのが、筆者であるエンデの問いかけです。
お金のことに引き寄せなくても、はっとさせられるテーマではないでしょうか。

お金の問題と『モモ』

さて、改めて「お金」の問題を念頭に、『モモ』を読んでみましょう。

時間もお金も、大抵の人はいつも不足していると感じていて、どうにかしてそれらを増やして豊かな人生にしたいと思っています。

「豊かな人生」という抽象的な、でも多くの人が願う概念を媒介することで、「時間」を中心のテーマと扱う『モモ』を「お金」の問題にも引き寄せやすくなると考えられます。

そこで、読むにあたって私は「エンデは『モモ』の中で、どのように「豊かさ」を提示しているのか」といった問いを立てました。

物語の中盤では、時間を節約するために躍起になった大人たちが、それまで楽しみにしていたモモとの会話も忘れ、せかせかと自分の仕事をこなしている姿が描写されます。

40年以上も前に書かれた物語ですが、この労働者たちの姿は現代の日本の「社畜」たちの姿を彷彿とさせます。

その対比として表される少女モモは、自宅もないし家族もない、食べ物はモモと話したくて会いに来た街の人が持ってきてくれるものくらいで、やっと持ち合わせているのは人の話を聞いてあげるための「時間」だけ。

決して、物理的に豊かな生活を送れているというわけでもありません。

ですが、そのモモが、時間泥棒である灰色の男たちには脅威でした。

人の話をきいてあげ、その人の心を満足させてしまうというモモの力は、人に時間を節約させることで人の時間を奪うという彼らのやり方の邪魔になるためです。

『モモ』における豊かさは、灰色の男たちにとっての標的、つまり、モモが周りの人に与える安らぎや自信につながる時間と捉えることができるのではないでしょうか。

効率化とか節約といった、私たちが当たり前に思っているお金や時間に関する重要な概念よりも、もっとシンプルな「楽しむこと」「満足すること」の方が豊かさにつながっているとも読み解けます。

これは時間の過ごし方に限らず、お金の使い方という視点からみても同じです。

「労働でやっと得たお金を使わずにしまいこむのは本当の豊かさではない」というように読めるのではないでしょうか。

自分のお金の常識を疑ってみよう

「お金」という問題意識をもったうえで大人になって改めて『モモ』を読むと、自分がそれまで、いかに時間やお金に関して「大切にとっておく必要がある」「節約しなきゃいけない」「効率化が大切」「将来のための我慢」といった固定観念をもっていたかということに直面させられます。

大人になって自分で働いてお金をもらうようになったからこそ、上記のような固定観念に縛られやすくなってしまっていたのかもしれません。

しかし、お金との付き合い方はそれだけじゃない、「今の自分」が心豊かに過ごすということが大切だという意識をもってみると、今の生活を見直すヒントが得られるのではないでしょうか。

さて、この物語において「時間」と「お金」と入れ替えて読むというのは、実はすでに実践されています。

学者による研究にとどまらず、日本では『エンデの遺言「根源からお金を問うこと」』という、『モモ』の筆者であるエンデが「お金」の問題をどのように捉えていたのかを探っていく本も出版されています。

この本では、「お金を貯蓄するよりも社会の中での循環を促進する」という思想に深く切り込んでおり、なかなか果たされない経済成長への義務感にあえぐ社会に対して、一度あらためてお金について考え直すべきではないかと投げかけています。

怖がらずにお金を使おう

『モモ』から得られる一つの示唆は、「いまの自分に余裕を与えよう」というものです。

経済状況や労働環境によってはすぐにライフスタイルの大きな変更を実践できるとは限りません。

ですが、例えば花瓶に一輪の花を生ける、家族や友人とたわいもない会話を楽しむ、好きな映画を観るなど、本当に小さな簡単なことからでも、時間やお金との関わり方は変えることができます。

お金とは直接関係なくても、例えば声に出して「ありがとう」「お先にどうぞ」などの言葉を言ってみるというのも、自分の心に余裕をあたえてくれるかもしれません。

その余裕が、結局はその日の自分の満足感につながるのならば、一時間多く残業して残業代をもらうよりも結局は豊かな人生に結びつくとも考えられるのです。

オトナの読書の楽しみと学び

『モモ』から考えるお金と豊かさについての考察、いかがでしたでしょうか。

これは、本記事筆者の個人の考察ですので、他の方が読めばきっとまた異なる考察が生まれてくるでしょう。

「考察」なんて言葉を使うと仰々しく思われますが、要は、何かをインプットしてみてそこから何を感じるか、考えるか、ということです。

そして、「いまの自分に余裕を与えよう」といったような示唆をあたえてくれる文学作品は、古典から最近のものまで、数え切れないほどあります。

普段忙しくてなかなか読書に時間が取れない方にオススメなのが、今回ご紹介したような児童文学です。

「児童」文学とはいえ、あなどってはいけません。

今回「お金」というキーワードをもちながら読んだように、自分に関心のある問題に引き寄せて読むこともできますし、普段は考えたこともなかったテーマに気づかせてくれるきっかけにもなります。

また、自分の中で無意識に抱えていた「常識」を考え直すヒントも与えてくれます。

もちろん純粋にストーリーを楽しむこともできます。

そしてなにより、児童向けなので文体が柔らかく、大変読みやすいのが嬉しいところです。

難しい文学作品も世の中にはたくさんあり、それらももちろん私たちにあらゆることを教えてくれますが、柔らかく易しい文章でしかも示唆に富んでいる児童文学は、忙しいビジネスパーソンにもぴったりなジャンルなのです。

そして、もちろん子どもの頃に読んだことのある作品も見つかるでしょうし、実は読んでいなかったという作品も多くみつかることでしょう。

初めてにせよ、昔読んだことがあるにせよ、一人の大人として読書してみると、きっと何かを得ることができます。

それが自分の人生そのものを問い直すものになるかもしれません。

児童文学の読みやすさにあやかって、いろいろなものを読んでみましょう。

大人のための児童文学

日本でも有名なドイツの作家、エンデの書いた児童文学『モモ』を手掛かりに、「豊かな人生」を考え直してみました。 大人として問題意識をもって児童文学を読むと、たくさんの示唆を得ることができます。 節約とかもったいないとか、そういった時間やお金との使い方を考えるきっかけを与えてくれました。 子どもにも読みやすくわかりやすい文章である児童文学は、忙しい大人にも多くの学びをあたえてくれるジャンルです。

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